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研究概要一覧


【ポスドク参加型】

「生体と制御」(領域総括:竹田 美文 実践女子大学生活科学部教授) 10件

氏 名 機関・所属・役職 研究課題名 研究課題概要
上田 啓次 大阪大学大学院医学系研究科助教授 ウイルス潜伏感染機構の解明とその制御法確立の試み 慢性ウイルス感染症は宿主の状態により様々な病態をもたらす。中でも、γヘルペスウイルスの潜伏感染は発癌に至ると考えられ、その制御は極めて重要である。本研究では、ヘルペスウイルス潜伏感染状態におけるゲノムの維持・分配機構を解き明かし、それを制御する方法の確立を目指す。
川端 重忠 大阪大学大学院歯学研究科助教授 ゲノム情報を応用したA群レンサ球菌感染症の制御法の確立 微生物のゲノム情報は次々に公開され、ポストゲノム時代に入った。本研究では、ゲノム配列が公開されたA群レンサ球菌の機能タンパクに存在するアミノ酸配列をプローブとして、病原性関連遺伝子・タンパクを検索し、その機能を解析する。さらに、得られた情報を応用して本感染症の制御法を探索する。
鈴木 敏彦 東京大学医科学研究所助手 粘膜病原細菌の感染に対するワクチン開発を目指した新戦略の構築 赤痢菌をはじめとする粘膜病原細菌による感染症は、発展途上国を中心に死亡原因の1つとして知られている。臨床分離株のほとんどが多剤耐性菌であることから、有効なワクチンの開発が求められている。本研究では、これまで明らかにされた病原細菌の感染機構や宿主粘膜炎症機構を基盤にした新たなワクチン開発を目指す。
高柳 広 東京大学大学院医学系研究科助手 自己免疫性関節炎における骨破壊の分子機構の解明とその制御法の確立 慢性関節リウマチに代表される自己免疫性関節炎の病態を「免疫系による骨代謝制御の異常」と考え、骨破壊を引き起こす破骨細胞がなぜ活性化するかを明らかにする。特に、破骨細胞分化因子RANKLのシグナル経路に注目し、破骨細胞を特異的に制御するための新たな分子標的を発見し、これを用いて炎症性骨破壊の新規治療法の開発を試みる。
田中 義正 京都大学大学院生命科学研究科助手 感染および抗腫瘍免疫における交差性生体制御機構の意義 ヒトγδ型T細胞は病原性微生物の産生する非ペプチド性抗原を認識することにより感染に対する初期生体防御機構に関わっている。また、癌細胞表面上に付着した非ペプチド性抗原を認識することにより効率よく癌細胞を除去する。このようなヒトγδ型T細胞の示す交差性生体制御機構を分子論的に明らかにする。
野崎 智義 国立感染症研究所寄生動物部室長 プロテオーム解析による赤痢アメーバの病原機構の解明 これまで寄生体の病原機構は主として宿主に対し障害をもたらす病原因子を特定化し解析することにより研究されてきた。この研究では寄生体の病原機構を貪食と抗酸化機構というユニークな視点でとらえる。寄生性原虫である赤痢アメーバにとってこの2つの細胞機能は腸管内外での寄生成立に不可欠であることから、本研究では寄生性原虫の貪食機構と抗酸化機構を分子論的に明らかにすることにより原虫感染成立の機構を理解することを目指す。
三田村 俊秀 大阪大学微生物病研究所講師 赤血球期マラリア原虫の細胞増殖と脂質代謝・輸送の分子機構の解明 赤血球期マラリア原虫は、良好な細胞増殖を保つために、ある種の取り込み系を細胞外に発達させる必然性がある。この生物学的にユニークな現象について、血清中細胞増殖必須因子であるパルミチン酸とオレイン酸の感染赤血球内での代謝・輸送の分子機構に関する解析を進める。同時に、未だ人類の脅威である寄生虫感染症マラリアの新規化学療法標的分子の提供を目指す。
宮沢 孝幸 大阪大学微生物病研究所助手 ウイルスとの共生:生まれながらにしてもつ自然抵抗性機構の解明 動物は様々なウイルス感染に対して、免疫系以外の自然抵抗性をも獲得することで生き残りを図ってきた。本研究では、「人は新興病原体であるレトロウイルスに対して自然抵抗性をまだ獲得していないか、抵抗性遺伝子が休眠状態になっており機能していない。」という仮説のもとで、自然抵抗性をつかさどる遺伝子を動物からクローニングし、抵抗性発現機構を解明するとともに、病原性レトロウイルスの新たな制御方法の確立を目指す。
牟田 達史 九州大学大学院医学研究院助教授 自然免疫による微生物認識の分子機構の解明 全ての多細胞生物は、微生物に対する自然免疫という防御機構をもって生まれる。脊椎動物は、遺伝子の再編成によって生じる多様な抗体・抗原受容体を活用する獲得免疫系を持っているが、その発動は自然免疫によって制御されている。自然免疫では、ゲノムに含まれる限られた数の遺伝子で、どのようにして多彩な微生物を認識しているのだろうか。本研究では、哺乳動物の自然免疫における微生物認識、応答の分子機構を明らかにする。
吉田 裕樹 九州大学生体防御医学研究所助手 サイトカイン受容体による初期Th1誘導機構の解明 サイトカイン・サイトカイン受容体ネットワークは、免疫反応の形成を司っている。感染症などの病態形成にかかわるTh1/2反応の誘導には、様々なサイトカインや転写因子が関与している。この研究では、新規サイトカイン受容体を中心にサイトカインを介したTh1反応誘導機構を解析し、その制御により病態をコントロールすることを目指す。
*下線部は研究の実施により期待される技術の発展や新技術の創製を示す。

This page updated on November 12, 2001

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