(別紙3)

研究概要一覧


【個人研究型】

「組織化と機能」(領域総括:国武 豊喜 北九州市立大学 副学長) 10件

氏 名 機関・所属・役職 研究課題名 研究課題概要
青井 啓悟 名古屋大学大学院生命農学研究科 助教授 分子ピラミッドによる機能性ナノ組織体の創出 本研究では、ピラミッド状分子の精密分子組織化を行い、糖鎖などの機能素子の空間配置をナノスケールで精密制御したナノマトリックスの創出を目指す。この新しいナノ組織体の構築法を確立することによって、精緻な細胞認識能・情報伝達能を発 現する生医学材料、ナノ材料などへの応用を目指す。
木村 睦 信州大学繊維学部 助手 両親媒性ディスク状化合物の自己組織化とナノデバイスへの応用 ディスク状化合物の形成するカラム状組織体内では電子・ホールがカラム軸に沿って高速に輸送されることから、新規なナノスケールの分子ワイヤー・ケーブルとして期待されている。本研究では、両親媒性ディスク状化合物の自己組織体の周囲に無機物の壁を構築することにより、固体基板上でカラム内のディスク間の距離およびカラム同士の配列を制御した有機・無機複合体を創製し、これらを用いたナノデバイスへの応用を目指す。
清川 悦子 理化学研究所フロンティア研究システム 研究員 スフィンゴ脂質の自己組織化と細胞機能 生体膜ではスフィンゴ脂質と呼ばれる一群の脂質がナノメートル・オーダーの集合体を形成し、細胞の機能を発現するのに重要な役割を果たすと考えられているが、その詳細は不明のままである。本研究では、スフィンゴ脂質を初めとする生体膜構成脂質の特異的なプローブを開発して、生細胞で生体膜のダイナミクスを観察する。更に、脂質の集合体を制御する分子を同定し、脂質集合体が細胞機能に果たす役割の解明を目指す。
グン 剣萍 北海道大学大学院理学研究科 助教授 筋肉タンパク自己組織化ゲルによるソフトナノマシンの創製 本研究は筋肉蛋白であるアクチンとミオシンを基本素材として用い、それらをそれぞれ自己組織化させると同時に、酵素活性を生かしながら化学架橋することにより、ATPで駆動するソフトナノマシンを創製することを目指す。この研究によって、これまでにないATPで駆動する生体適応性ソフトマニュピレータやソフトアクチュエータの実現が期待できる。
佐々木成朗 科学技術振興事業団 戦略的基礎研究推進事業 研究員 ナノ力学理論の開発と力学的制御による表面機能発現 固体表面上に組織化されるナノ構造体は外場により容易に変形して物性が変化し、新たな機能を発現する。本研究では外場の例として「力」を考え、表面・界面ナノ構造の力学的挙動を第一原理的電子状態計算により明らかにし、ナノサイエンスの基礎としての「ナノ力学」理論の構築を目指す。具体的には摩擦、金属吸着、半導体表面の動力学機構の問題を通して、有用な機能を示す表面の力学的制御・加工法の理論的提案を狙う。
田中 賢 北海道大学電子科学研究所 助手 バイオインターフェイスにおいて組織化された水分子の機能 水分子はタンパク質や細胞の接着形態や機能発現の場を形成しており、この水分子のクラスター構造が医療用デバイス材料に要求される 生体適合性に大きな影響を与える。本研究では、フェムト秒パルス赤外レーザーを組み込んだ多光子励起 顕微分光装置の開発を通じて、生きた細胞と材料との界面(バイオインターフェイス)で組織化された生体分子(高分子鎖−水分子−タンパク質ポリペプチド鎖−細胞膜表面糖鎖)の多元構造の解明し、この知見をもとに新規医療用材料の分子設計指針の創出を目指す。
出羽 毅久 名古屋工業大学応用化学科 助手 脂質−膜タンパク質ドメインの制御によるナノプラントの構築 生体膜は、多段階反応を複数の酵素群により極めて効率よく行うナノスケールの工場(ナノプラント)である。そこでは、脂質二分子膜の「敷地」内に機能ユニットとしてのタンパク質が「適材適所で配置」されて機能している。本研究では、複数の膜タンパク質が脂質との分子間相互作用に基づきドメイン状に組織化する方法を確立し、これらの膜タンパク質が多段階反応の触媒として機能するナノプラントの構築を目指す。
中村 史夫 理化学研究所局所時空間機能研究チーム フロンティア研究員 自己組織化単分子膜を用いたDNAセンサーの構築 生物の遺伝情報伝達物質であるDNAの基板上への固定化および効率的なハイブリダイゼーションは、DNA内部の塩基配列の解読(シーケンシング)および遺伝子診断の分野において大変注目されている。しかし、既存の手法では20塩基対程度のオリゴDNAにおいても、効率的な1塩基多型(1塩基ミスマッチ)検出は容易ではない。本研究では、表面上に一本鎖DNAを分散させた、DNA自己組織化単分子膜を新規に作製し、その基板上でのハイブリダイゼーション、さらにはDNA配列中の1塩基ミスマッチの検出を目指す。この手法を用いることによってDNAに蛍光等の標識することなく、高感度かつ迅速な1塩基ミスマッチの検出が期待される。
深澤 倫子 北海道大学低温科学研究所 特別研究員 氷内部および界面に存在する気体分子の拡散と組織化 南極大陸に存在する天然の氷結晶は、気体分子等の不純物を含んでいる。氷中の気体分子は、界面や結晶中を拡散移動することにより、周囲の水分子を再配置させ、ハイドレートと呼ばれる新たな結晶組織を形成すると考えられている。本研究では、氷結晶内部および界面における水分子と気体分子のダイナミクスをナノメーターレベルで理解することにより、南極氷床において数万年のタイムスケールで起こる気体分子の拡散とハイドレートの組織化のメカニズムの解明を目指す。
物部 秀二 神奈川科学技術アカデミー 光科学重点研究室 副研究室長 無電解めっきのサイズ依存性とナノ光デバイスへの応用 ナノメーターサイズの先端径を持つよう先細り加工されたガラスファイバーに無電解めっきにより金属コーティングを行うと、サブミクロンサイズの末梢部分にのみ金属析出が生じないことがある。このようなサイズ依存性を示す無電解めっきについては、メカニズムや時間的ダイナミクス、その制御方法も、よく知られていない。本研究は、それらの解明を通じて、無電解めっきのサイズ依存効果を制御する物理的・化学的技術の創出を目指す。この制御技術はナノ光学デバイス(近接場光学顕微鏡用プローブなど)製造技術への応用が期待される。
*下線部は研究の実施により期待される技術の発展や新技術の創製を示す。

This page updated on November 12, 2001

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