(別紙3)

研究概要一覧


【個人研究型】

「ナノと物性」(領域総括:神谷 武志 大学評価・学位授与機構学位審査研究部 教授) 10件

氏 名 機関・所属・役職  研究課題名 研究課題概要
市田 正夫 甲南大学理工学部講師 カーボンナノチューブの非線形および磁気光学特性の研究 単層カーボンナノチューブは、自然に成長した量子細線と言える構造を持ち、一次元電子構造が実現している。さらに、構造に依存して半導体あるいは金属的なバンド構造を持つという特異な系でもある。本研究では、単層カーボンナノチューブの特異な一次元電子状態を解明し、さらに、一次元電子系に特有な状態密度の発散や励起子状態の安定化などに着目して、赤外領域の非線形光学材料や磁気光学材料としての可能性を探る。
王 正明 産業技術総合研究所海洋資源環境部門研究員 ナノプロセシング技術による高性能ガス吸蔵体の創製 壁の極めて薄いナノ構造体は空間的にガス吸着・貯蔵に有利にもかかわらず、その合成技術に関して系統的に研究された例は殆どない。本研究は単層構造を持つバーネサイトやグラファイトなどの層状化合物を出発物質にし、インタカレーションやテンプレート法等のソフト化学的ナノプロセシング技術を適用し、ガス貯蔵に理想的なポア構造を持つナノ構造体を創出することを目指す。
古賀 貴亮 NTT物性科学基礎研究所機能物質科学研究部リサーチアソシエイト 半導体ナノ構造中に現れる新スピン物性の制御と応用 本研究では半導体ナノ構造中の伝導電子のスピン物性を自在に制御する手法を開発し、将来のスピン・デバイス応用に向けた道筋をつけることを目的とする。そのための道具立てとして、系の構造反転対称性の崩れに起因するスピン−軌道相互作用を用い、磁性材料を一切使わない非磁性半導体スピン・フィルターを提案し、その実現を目指す。また、人工ナノ構造中でのスピン歳差運動の効果やスピン干渉現象について の研究も併せて行う。
菅原 聡 日本学術振興会リサーチアソシエイト エピタキシャル強磁性トンネル接合を用いた強磁性体/半導体融合デバイス 本研究は強磁性体と半導体の融合デバイスに関するもので、原子スケールで界面構造を制御した強磁性体/半導体/強磁性体エピタキシャル三層ヘテロ構造に、ナノスケールの微細加工を施すことによって発現する新奇な磁気伝導現象を用いた機能デバイスを構築する。従来の半導体エレクトロニクスにキャリアのスピン自由度を応用した新しいエレクトロニクスの展開を目指す。
竹内 淳 早稲田大学理工学部助教授 量子ドット中のキャリアスピン操作 電子のスピンは、人為的に操作しうる新しい自由度になる可能性がある。とくに量子ドット中では三次元量子閉じ込めによって、コヒーレントにスピンをナノ秒間維持させられるため、「情報としてのスピン」を記憶させたり演算させる場に利用できる可能性がある。本研究では、量子ドット中でのスピンの振る舞いや、隣接するドットの間でのスピンの移動や、相互作用によるスピンの反転操作を調べ、スピンという未開拓の自由度を将来の工学応用、とくに量子コンピューティングなどの情報処理に利用することを目指す。
田中 秀和 大阪大学産業科学研究所助手 ナノスケール機能調和人工格子による強相関電子デバイスの創製 遷移金属酸化物は、非常に強い電子相関のため強磁性、超巨大磁気抵抗、超伝導、等の多彩な物性(強相関電子物性)発現する。この物質と光・電場に応答する酸化物半導体材料をナノスケールで組み合わせた機能調和人工格子により、強相関電子の振る舞いを明らかにすると共に、界面を通じて電子の動きを制御して強相関電子物性を室温で光・電場を用いスイッチできる新機能材料・デバイスを創出する。
戸田 泰則 北海道大学大学院工学研究科助教授 時空間制御光を用いた単一量子ドットの量子状態制御 半導体量子ドットでは原子に類似の離散化した量子準位が形成されるため、キャリアとフォノンの相互作用はバルク状態と大きくことなることが予測される。本研究では、局所空間でコヒーレントに選択励起されたフォノンを用いて、単一ドットにおけるキャリアのコヒーレンスを制御することを目指す。キャリア-フォノン相互作用を積極的に利用することにより、新しい量子状態制御の実現が期待される。
古薗 勉 厚生労働省国立循環器病センター研究所生体工学部室長 無機ナノ粒子・有機・細胞三元複合体による生体活性材料の開発 「人工物と生体との長期に渡る接着性の発現」・・・これはあらゆる人工臓器が抱えている共通の問題点であり、また次世代の装着型人工臓器の開発には不可欠な周辺技術である。本研究では、人工物(人工臓器)と生体との接着性を長期に発現し感染を防止する新規経皮材料の開発を行い、臨床応用の早期実現を目指す。
水野 清義 九州大学大学院総合理工学研究院助教授 ナノ新材料開発のための表面微小構造解析法による原子位置決定 ナノ材料の物性を理解し、新しい機能の発現につなげるためには、その内部の原子の種類と位置を3次元的に決定する必要がある。本研究では低速電子線を走査トンネル顕微鏡探針を用いて微小領域に照射し、そこからの回折パターンを測定する手法を開発する。これにより、ナノ材料の物性を原子一個一個の構造をふまえて評価できるようにし、新材料の開発に役立てることを目指す。
渡辺 正裕 東京工業大学大学院総合理工学研究科助教授 超ヘテロ・ナノ結晶の創製と光・電子新機能 本研究では、ナノ構造中の電子伝導や光-電子相互作用を人工的に制御するための基本構造として、物性の大きく異なる絶縁体、半導体および金属などの異種材料同士をナノメートル層厚で積層した人工単結晶(超ヘテロ・ナノ結晶)を提案し、その実現技術開拓と物性探査、さらには将来のデバイス応用に関する基礎的研究を行う。シリコン基板上へのエピタキシャル特性に優れた弗化物系絶縁物、シリサイド系金属などから成る超へテロ量子構造は、大規模集積回路との融合も可能な集積メモリ素子や、サブバンド間遷移光デバイスへの応用可能性を有している。
*下線部は研究の実施により期待される技術の発展や新技術の創製を示す。

This page updated on November 12, 2001

Copyright©2001 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp