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研究概要一覧


【個人研究型】

「情報と細胞機能」(領域総括:関谷 剛男 医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構 研究顧問) 13件

氏 名 機関・所属・役職 研究課題名 研究課題概要
芦高 恵美子 関西医科大学医化学講座講師 1分子からの定量的解析によるシナプス活性化機構の解明 高次神経機能の最小単位は、神経細胞とそれがつくるネットワークの働きであるシナプス伝達である。痛みのシナプス伝達において抑制、促進を示す神経ペプチド、ノシスタチンとノシセプチンは、いくつかの相反する高次機能を示すにもかかわらず同一前駆体蛋白から産生される。シナプス伝達におけるノシスタチンとノシセプチンの分子機構の解明を通して、シナプスの活性化機構の解明を目指す。
阿部 高明 東北大学医学部講師 有機アニオントランスポーター遺伝子群の機能解明と制がん剤デリバリーへの応用 がん化学療法の取り組みの一つとしてがん細胞内の抗がん剤濃度を増加させる薬物送達システムの解明と特異的基質の開発が挙げられる。ヒトにおいては、有機アニオントランスポーター遺伝子群は臓器特異的分布をなし、ある種の抗がん剤を特異的に取り込み感受性に関与していることが明らかになった。そこで本研究では有機アニオントランスポーター遺伝子群の機能解析とがん特異的発現調節のメカニズム解明を通して新たな制がん剤送達系の開発を目指す。
大場 雄介 大阪大学微生物病研究所助手 生きたマウスにおけるがん遺伝子産物活性化の観察 生きたマウスで、たんぱく質の活性化が、「いつ、どこで」起こっているのかを観察する。特に、がん遺伝子産物が構成する細胞内情報伝達について解析を行い、その生理的機能の解明をし、「個体レベルでの細胞情報伝達研究」という、新しい分野の創設を目指す。
小坂 仁 国立精神・神経センター疾病研究第4部外来研究員 神経難病におけるタンパク質リフォールディング・分解能検出系の構築 アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患は、いずれも“蛋白質の不溶化”という病態を共有している。多くの場合これらの疾病が中年期以降まで発症しないのは、もともと生体内に備わるタンパク質リフォールディング・分解能のためと考えられている。これら2つのパラメーターの測定系を確立し、神経変性への関わりを明らかにするとともに、根本治療につながる化合物・タンパク質のスクリーニングを行っていきたいと考えている。
角谷 寛 京都大学医学部研修員 睡眠時呼吸障害と痴呆との関係解明 睡眠時呼吸障害は、睡眠中に無呼吸・低呼吸を引き起こす。このために頻回に生じる低酸素血症によって、不可逆的な脳の障害が生じ、痴呆症を引き起こす可能性が示唆されている。本研究では、睡眠時呼吸障害の状態をマウスで再現し、痴呆症との関係を解明する。
亀井 康富 大阪バイオサイエンス研究所第4研究部研究員 核内受容体コファクターによる脂肪形成の制御 核内受容体はステロイドなどの脂溶性ホルモンをリガンドとし、標的遺伝子の転写調節を行う。近年、核内受容体の転写調節にはコファクターと呼ばれる蛋白質との相互作用が重要であることがわかってきた。本研究では、生体のエネルギー蓄積および消費の重要な場である脂肪組織における、コファクター蛋白質の生理的役割および作用機構の理解を試みる。そして、肥満と肥満に由来する糖尿病や高血圧等の疾病の発症メカニズムの解明および治療薬の開発を目指す。
後藤 聡 国立遺伝学研究所系統生物研究センター助手 ゴルジ体の多様性とその生理学的意義の解明 分泌蛋白質や膜蛋白質の多くは、糖修飾やペプチド鎖切断などの翻訳後修飾を主にゴルジ体で受けている。しかも、その修飾パターンは蛋白質の種類によって様々である。このような複雑な修飾が、どのようなメカニズムで行われるのかを、ゴルジ体の「区画」という観点から明らかにすることを目指す。
佐々木 雄彦 東京都臨床医学総合研究所薬理研究部門研究員 疾病の発症、進行におけるリン脂質因子の生体内動態解析 リン脂質の一種であるホスファチジルイノシトールはシグナル伝達において、セカンドメッセンジャーの前駆体として重要な役割を果たしている。そのイノシトール環に存在する水酸基がリン酸化を受けることで、ホスホイノシチドと総称される8つのリン酸化代謝産物が派生する。本研究では、ホスホイノシチドの動態を生体内で解析するためのトランスジェニックマウスを作製する。このマウスを用いて、がんやアレルギー性疾患などの発症と進行におけるホスホイノシチドの関与を解析する。
武川 睦寛 東京大学医科学研究所助手 環境ストレスに応答する細胞内情報伝達機構の解明 細胞は紫外線、温度や浸透圧変化など外界からのさまざまなストレス刺激に曝されると、細胞内の特定の情報伝達経路を活性化し、環境変化に適応している。このような環境ストレス適応反応は生体の恒常性を維持する上で基本的かつ重要な機構ですが、そのメカニズムはほとんど明らかにされていない。本研究では細胞の環境ストレス受容機構、およびストレス応答シグナル伝達機構の解明を目指す。
門叶 冬樹 山形大学理学部助手 新素材キャピラリーガス検出器による細胞機能解析 キャピラリープレートは、極めて細いガラス管(6μmφ〜200μmφ)の束であり、放射線の入射位置を〜10μmという超高位置分解能で検出することを可能にするガス放射線撮像型検出器のための新しい素材である。本研究では、この新しい概念の優れた位置分解能を有する撮像型放射線検出器であるキャピラリーガス比例計数管を高感度、幅広いダイナミックレンジ、高速処理機能を持つ光検出器として応用し、細胞機能解析に向けた新しいデバイスの構築を目指す。
中田 和人 筑波大学生物科学系講師 ミトコンドリア病の病態発現機構の解明と遺伝子治療法の探索 近年、ミトコンドリア病(脳筋症)の患者はもとより、糖尿病や神経変性疾患の患者、さらには老化した個体からも突然変異ミトコンドリアDNA(mtDNA)の蓄積が見出されている。本研究では、大規模欠失突然変異 mtDNA を導入したミトコンドリア病モデルマウスを用いて、この突然変異mtDNAによって生じる様々な疾患の病態発現機構を解明するとともに、効果的な遺伝子治療法の開発を目指したいと考えている。
山口 雄輝 バイオロジー開発技術研究組合微粒子研究部門博士研究員 転写伸長反応の制御を介した細胞機能発現機構の解明 RNAポリメラーゼIIという酵素はDNA上をスライディングしながら、ゲノムに書かれた情報を読み取っている。RNAポリメラーゼIIのスライディングを制御する核内装置が、ゲノム情報の発現、ひいては細胞機能の発現にどのような役割を果たしているのか明らかにすることを目指す。
吉田 秀郎 京都大学大学院生命科学研究科研修員 センサー型転写因子とセンサー型RNaseによる生体防御ネットワークの解明 小胞体内に異常タンパク質が生じると、細胞は分子シャペロンやタンパク質分解装置を増やして異常タンパク質を処理しようとしている。この小胞体ストレス応答と呼ばれる生体防御機構が老化や遺伝的要因によって破綻すると、アルツハイマー病などの脳神経疾患が発症すると考えられている。本研究では、異常タンパク質を監視する2つのセンサー分子による巧妙な情報伝達の分子機構を解明し、また他の生体防御機構においても類似のセンサー分子が存在することを明らかにする。
*下線部は研究の実施により期待される技術の発展や新技術の創製を示す。

This page updated on November 12, 2001

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