(参考3)

戦略的基礎研究推進事業における募集研究領域の概要


 
平成13年度新規発足研究領域
 
研究領域及び
研究統括
研究領域の概要
「たんぱく質の構造・機能と発現メカニズム」

−たんぱく質の機能発現メカニズムに基づく革新的な新薬、診断技術及び物質生産技術の創製を目指して−

大島 泰郎
(東京薬科大学生命科学部 教授)
 この研究領域は、生命活動の中心的役割を担うたんぱく質の構造及び機能を明らかにしつつ、応用の可能性を探索する研究を対象とするものです。
 具体的には、たんぱく質の構造解析の高度化並びにたんぱく質の動的な構造変化に立脚する触媒活性や代謝調節、情報伝達等の生体反応、発生、免疫、神経系、環境適応等の高次の生命現象のメカニズムの解明とその医薬、診断技術、物質生産への応用、変性・再生等の動的な構造と物性の変化の解析とその制御や改良技術の展開、これら研究に資する新たな測定技術や研究手法の開拓を目指す研究等が含まれます。
「免疫難病・感染症等の先進医療技術」

−遺伝子レベルでの発症機構の解明を通じた免疫難病・感染症の新たな治療技術の創製を目指して−

岸本 忠三
(大阪大学 学長)
 この研究領域は、再生医療や抗体工学等を含む先進医療のうち、免疫が関わる各種疾患(例えば免疫由来各種難病や各種感染症)に対する先進医療技術を中心とし、その他関連する先進医療技術も含め、次世代の医療技術の基礎と応用に関する研究を対象とするものです。
 具体的には、免疫難病(自己免疫疾患やアレルギー等)の発症機構の遺伝子レベルでの解明とそれに基づいた新しい治療法、例えば抗体療法、遺伝子治療、DNAワクチン、幹細胞治療等の開発および結核、マラリア、エイズ等の細菌、原虫、ウイルス感染症に対する新しいワクチンや創薬の開発につながる基礎的研究等が対象となります。
「情報社会を支える新しい高性能情報処理技術」

−量子効果、分子機能、並列処理等に基づく新たな高速大容量コンピューティング技術の創製を目指して−

田中 英彦
(東京大学大学院情報理工学系研究科 研究科長)
 この研究領域は、高速大容量情報処理に不可欠な新しい情報処理システムの実現に向け、その技術についてのハードウエア、ソフトウエアの研究を対象とするものです。
 具体的には、量子コンピュータや分子コンピュータ等を含む新しい原理に基づく情報処理システム、従来型のコンピュータの性能を新しい時代に合わせて飛躍的に向上させる要素技術、従来システムの安全性や信頼性向上のための技術、大負荷に耐えられる大容量システム技術等に関する研究が含まれます。
「水の循環系モデリングと利用システム」

−水資源と気候、人間活動との関連を踏まえた水資源の循環予測・維持・利用のシステム技術の創製を目指して−

虫明 功臣
(東京大学生産技術研究所 教授)
 この研究領域は、グローバルスケールあるいはリージョナルスケールにおいて、大気・陸域・海域における水の循環の諸過程を明らかにし、水循環モデルの構築を目指すとともに、社会システムにおける水の効率的な利用に関する研究を対象とするものです。
 具体的には、気候変動にともなう水資源分布の変化、人間活動が水循環に及ぼす影響に関する研究に加え、水資源の維持・利用、水循環の変化が社会システムに及ぼす影響の予測、生態系環境を維持・保全・回復する水の機能等に関する研究等が含まれます。
「物理的手法を用いたナノデバイス等の創製」

−ナノスケールでの物理現象を応用した画期的なデバイス、センシング、操作、制御に関する技術の創製を目指して−

梶村 皓二
((財)機械振興協会 副会長・技術研究所 所長)
 この研究領域は、ライフサイエンス、IT、材料等さまざまな分野の基盤となるナノテクノロジーのうち、物理的手法を用いて新しいデバイス、センシング、装置を実現するための研究を対象とするものです。
 具体的には、物理現象で、ナノスケールにおいてはじめて現れる電子系やスピン系の特性を応用して演算、記憶等のアクティブな機能をもつ新しいデバイスを実現するための研究、ナノスケールの局所的特性を対象として電気、機械、光等の物理的手法を用いてセンシング、操作、制御等を行うデバイスや装置を実現するための研究等が含まれます。また、センシングにおける精度、分解能、判別機能や、デバイスや装置における速度、集積度、容量、エネルギー消費等の点で既存技術の限界を打破する新しい技術の創出に向けた研究、現在まだ対象とするものの性質の研究にとどまっている現象をデバイスに結びつける研究等が含まれます。
「化学・生物系の新材料等の創製」

−ナノスケールでの化学や生物系の革新的な機能材料、分子機械、バイオ素子、バイオセンサ技術の創製を目指して−

相澤 益男
(東京工業大学 学長)
 この研究領域は、ライフサイエンス、IT、材料等さまざまな分野の基盤となるナノテクノロジーのうち、ナノスケールにおける化学や生物系の新材料、デバイス等の創製に関する研究を対象とします。
 具体的には、化学や生物系機能性新材料創製、ドラッグデリバリーシステム等に応用可能な分子機械やバイオ素子、バイオセンサ等の設計・組立、それらの材料やデバイスの自己組織化技術等、将来医療や環境、エレクトロニクス等の多様な分野における革新を促す基盤的技術に係わる研究等が含まれます。
 

平成11・12年度発足研究領域

研究領域及び
研究統括
研究領域の概要
「生物の発生・分化・再生」

堀田 凱樹
(国立遺伝学研究所 所長)
 生物の発生・分化の過程をとおして分子・細胞・器官等さまざまなレベルでみられる分子機構、生物の巨視的な姿・形の形成を支配する法則、及び失われた組織や細胞の復元・再生過程にみられる生物自身が示す調整性やその分子生物学的メカニズムに関する研究、さらには器官形成の研究等を対象とします。
 具体的には、発生・分化・再生過程における形質発現プログラムの解析、細胞の個性と多様性の分子機構の解明、幹細胞の増殖・分化に関わるプロセスの解析、器官形成・組織形成やそのメカニズムの解明等のテーマについて、遺伝学・分子細胞生物学や遺伝子工学等のさまざまなアプローチによる研究を取り上げます。
「植物の機能と制御」

鈴木 昭憲
(秋田県立大学 学長)
 植物の持つ多様な機能を解明するとともに、その機能を制御し、利用することをめざす研究を対象とします。
 具体的には、植物ゲノムの解析並びに遺伝情報の解明、植物と環境との相互作用や環境ストレス下での植物遺伝情報の発現、さらには分子育種や生理機能の制御等を通じて、食料生産の増大及び質の向上、創薬への応用、パルプや建築材、繊維等の工業製品、その他未利用植物資源の利用、地球環境の保全や災害防止などに至る様々な植物の利活用をめざす研究等が含まれます。
「高度メディア社会の生活情報技術」

長尾 真
(京都大学 学長)
 日常生活に深く関連する様々な情報技術を、「あらゆる人々が自由に使いこなせる」という観点からとらえて研究するとともに、社会科学的な側面からの研究についても対象とし、質が高く安心できる暮らし、活力ある社会の構築をめざします。
 具体的には、バリアフリー情報システム技術、人間重視ヒューマンインターフェイス技術、調和のとれた社会の構築のための情報システム技術などの研究を行います。また、これらを支えるソフトウェアの開発研究、情報コンテンツ構築とその構築技術の研究、教育情報コンテンツ構築とその活用システムの研究、煩雑化する情報社会の有るべき姿の多角的な探索および次世代情報社会へ向けた基盤技術などの研究を行います。
 

This page updated on November 12, 2001

Copyright©2001 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp