戦略目標および研究領域の概要


T.戦略目標「大きな可能性を秘めた未知領域への挑戦」のもとの研究領域

1.研究領域: 「高度メディア社会の生活情報技術」
研究統括:
長尾 真(京都大学長)
概  要:
 この研究領域は、日常生活に深く関連する様々な情報技術を、「あらゆる人々が自由に使いこなせる」という観点からとらえて研究するとともに、社会科学的な側面からの研究についても対象とし、質が高く安心できる暮らし、活力ある社会の構築をめざします。
具体的には、バリアフリー情報システム技術、人間重視ヒューマンインターフェイス技術、調和のとれた社会の構築のための情報システム技術などの研究を行います。また、これらを支えるソフトウェアの開発研究、情報コンテンツ構築とその構築技術の研究、教育情報コンテンツ構築とその活用システムの研究、煩雑化する情報社会の有るべき姿の多角的な探索および次世代情報社会へ向けた基盤技術などの研究を行います。


U.戦略目標「分子レベルの新機能発現を通じた技術革新」のもとの研究領域

1.研究領域: 「電子・光子等の機能制御」
研究統括:
菅野 卓雄(東京大学名誉教授)
概  要:
 この研究領域は、電子や光子等の静的、動的特性を制御することで、新しい機能を発現しうる技術の可能性を探索する研究を対象とするものです。
 具体的には、 信号の発生、増幅、処理、変換等の機能を発現させるための物理的、化学的メカニズムや、その実現に向けた技術的可能性の探索を行う研究等が含まれます。特に界面を含む物質内部、表面における電子や光子等に関わる量子力学的現象の発見、解明、利用およびその具体化のための材料、構造作成技術の研究等が含まれます。


2.研究領域: 「分子複合系の構築と機能」
研究統括:
櫻井 英樹(東京理科大学理工学部教授)
概  要:
 この研究領域は、有機分子や無機分子等からなる分子複合系の構築並びにそれに基づく新しい物性や機能の発現を目指す研究を対象とするものです。
 具体的には、有機分子や無機分子等が分子内あるいは分子間でさまざまな相互作用を行い、新規の物性を発現することに着目し、これら分子の設計、分子複合系の構築、静的及び動的な相互作用の解明、さらにはこれらの知見に基づく新しい機能材料の創出に関する研究が含まれます。


3.研究領域: 「ゲノムの構造と機能」
研究統括:
大石 道夫((財)かずさDNA研究所所長)
概  要:
 この研究領域は、現在急速に発展しつつある各種生物のゲノムの構造とその機能に関する研究を対象とするものです。
 具体的には、種々の生物ゲノムの構造解析、ゲノム解析技術、ゲノム機能の分子生物学的研究、ゲノム研究に関連した遺伝子やタンパク質の研究、それらの研究成果に基づく細胞の機能発現に関する研究等が含まれます。


V.戦略目標「環境にやさしい社会の実現」のもとの研究領域

1.研究領域: 「内分泌かく乱物質」
研究統括:
鈴木 継美(東京大学名誉教授)
概  要:
 この研究領域は、内分泌かく乱物質問題の本質的な理解と解決をめざした研究を対象とする領域です。
 具体的には、ヒトや野生生物を対象とした内分泌系への作用メカニズムの解明、これを発端とする生殖、神経/行動、発達、免疫等への影響のメカニズムの解明、ヒトおよび生態系に対する個別さらには複数の内分泌かく乱物質に関する量と影響、量と反応の関係の評価、それらをもとにした対策技術に関する研究等を対象とします。



W.戦略目標:「資源循環・エネルギーミニマム型社会システムの構築」のもとの研究領域

1.研究領域: 「資源循環・エネルギーミニマム型システム技術」
研究統括:
平田 賢(芝浦工業大学システム工学部教授)
概  要:
 この研究領域は、大量資源消費型文明社会を是正し、持続的発展を可能とする社会を構築するため、地球温暖化等の環境問題を克服し、資源循環・エネルギーミニマム型システムの構築を目指す研究を対象とするものです。
 具体的には、長期的な観点から、産業から民生に至る地球温暖化ガス放出を抑制する新たな技術の探索、生物機能を利用した水素等エネルギー源創生、温暖化ガスの固定・分解等に関する研究、また、資源循環・エネルギーミニマム型システム構築のために必要となる製品設計技術や製造技術等に関する革新的な研究等が含まれます。また、環境問題は社会システムとも密接な関係があるため、総合システム技術に関する研究も含まれます。



X.戦略目標:「技術革新による活力に満ちた高齢化社会の実現」のもとの研究領域

1.研究領域: 「生物の発生・分化・再生」
研究統括:
堀田 凱樹(国立遺伝学研究所 所長)
概  要:
 この研究領域は、生物の発生・分化の過程をとおして分子・細胞・器官等さまざまなレベルでみられる分子機構、生物の巨視的な姿・形の形成を支配する法則、及び失われた組織や細胞の復元・再生過程にみられる生物自身が示す調整性やその分子生物学的メカニズムに関する研究、さらには器官形成の研究等を対象とするものです。
 具体的には、発生・分化・再生過程における形質発現プログラムの解析、細胞の個性と多様性の分子機構の解明、幹細胞の増殖・分化に関わるプロセスの解析、器官形成・組織形成やそのメカニズムの解明等のテーマについて、遺伝学・分子細胞生物学や遺伝子工学等のさまざまなアプローチによる研究を取り上げます。


2.研究領域: 「植物の機能と制御」
研究統括:
鈴木 昭憲(秋田県立大学長)
概  要:
 この研究領域は、植物の持つ多様な機能を解明するとともに、その機能を制御し、利用することをめざす研究を対象とするものです。
 具体的には、植物ゲノムの解析並びに遺伝情報の解明、植物と環境との相互作用や環境ストレス下での植物遺伝情報の発現、さらには分子育種や生理機能の制御等を通じて、食料生産の増大及び質の向上、創薬への応用、パルプや建築材、繊維等の工業製品、その他未利用植物資源の利用、地球環境の保全や災害防止などに至る様々な植物の利活用をめざす研究等が含まれます。

This page updated on October 5, 2000

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