「戦略的基礎研究推進事業」平成12年度
採択研究代表者および研究課題一覧


5.研究領域「内分泌かく乱物質」
研究代表者氏名 所属及び役職 研究課題名
カタクセ イツオ
交久瀬 五雄
大阪大学
大学院理学研究科
教授
高感度質量分析計の開発と内分泌かく乱物質の分析
カワト スグル
川戸 佳
東京大学
大学院総合文化研究科
教授
脳を制御する神経ステロイドの作用を撹乱する環境ホルモン
タケダ ケン
武田 健
東京理科大学
薬学部
教授
大気中に存在する新しいタイプの内分泌撹乱物質
ナガハマ ヨシタカ
長濱 嘉孝
岡崎国立共同研究機構
基礎生物学研究所
教授
魚類生殖内分泌系に及ぼす内分泌かく乱物質の影響の分子メカニズム
ミヤモト カオル
宮本 薫
福井医科大学
医学部
教授
生殖系での低濃度内分泌撹乱物質関連遺伝子データーベースの構築
(アイウエオ順)
総評 研究統括 鈴木 継美

 「内分泌かく乱物質問題:今日的課題へのアプローチ」

 「内分泌かく乱物質」研究の募集も第三年次にはいり,今年が最終となる。応募件数は49件とやや少なめであったが,なかなか力の入った提案が多かった。内分泌かく乱物質問題が抱えている今日的課題に対して基礎的研究の側から切り込もうとする提案がいくつか採択された。たとえば生殖系で低濃度のかく乱物質によって誘導もしくは抑制される遺伝子を探し出そうとする研究,魚類の生殖腺性分化,精子形成、卵成熟に対するかく乱物質の作用メカニズムを分子・細胞レベルで解明しようとする研究がそれで,このほかに脳を制御する神経ステロイドに対する影響,大気中の内分泌かく乱物質の正体に迫ろうとする研究が採択され,異色編ではあるが分析用の高感度質量分析計の開発が取り上げられた。
 なお審査の過程で審査員の間からも指摘されたことであるが,内分泌かく乱物質について既に確定した物質群であるとの前提に立って研究計画を立てる向きがあり,本問題に対する研究者としての構えが問題とされた。
 なお昨年の総評で疫学研究が欲しいと指摘した。本年それに応える形で何篇かの応募がなされたが,残念なことに採択に至らなかった。本格的な前向きの疫学研究は10年を越す長期研究になることが予想される。現在の戦略的基礎研究のプログラムではなく新しい枠組みが必要と感じた。

This page updated on October 5, 2000

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