科学技術振興事業団科学技術情報流通促進事業評価報告書について


総合評価委員会委員長 殿

科学技術情報流通促進事業評価部会部会長

1. 平成11年度科学技術振興事業団の科学技術情報流通促進事業の評価を科学技術情報流通促進事業評価部会が担当し報告書をまとめましたが、その要点は以下の通りです。
(1) 事業団は、国公立及び民間の双方を含めた研究開発関係者に対する全般的な科学技術情報の中枢的な情報提供機関であり、その存在意義は大きい。事業団には様々な制約があるが、全体として事業に誠実かつ上手に取り組んでいると評価できる。
(2) 今後は、インターネットとWWWに関連する新しい情報科学の急速な発達に対応し、統一的な理念の下に有機的に連携して事業を進める必要がある。
(3) 文献情報関係事業については、今後如何なる事業が事業団の存在価値を高めることになるのかを明らかにし、その中でどこを国が負担し、どこを利用者が負担すべきか考える必要がある。
(4) 各種一般会計事業については、事業団としての理念を明確にし、これらの手段を統合的に活用することが必要である。
(5) 外部の助言を定期的に得るしくみの導入と短い期間での素早い事業の見直しを行うべきである。
(6) 科学技術庁に対しては、事業団の自主性を尊重するとともに、創造性が発揮できるよう十分配慮することを要望する。
2.  これらの問題点や提言については、科学技術情報流通促進事業の評価の視点から行いましたが、科学技術振興事業団の機関評価はそれぞれの事業の評価結果を踏まえ平成14年度に事業団全体の運営の評価として総括的にまとめられるものとされています。従って平成11年度科学技術情報流通促進事業の評価については、既に平成10年度に評価が行われた技術移転推進事業、今後評価の行われる予定の基礎的研究推進事業等の評価と併せて科学技術振興事業団の運営全般の評価に総合的に反映されるものと考えています。
 このような観点から、科学技術情報流通促進事業評価部会部会長として、事業団全体の運営の評価に当たり留意をお願いしたい点をあげておきます。
 第一に、科学技術情報流通促進事業は報告書の中でも再三言及されているように、科学技術情報の作成や流通に関することも我が国の安全保障や文化の維持の観点から欠かすべからざる側面を有しており、国の果たすべき役割も大きく、事業団の役割も全般的な科学技術情報の中枢的な提供機関としての存在意義は大きいものです。科学技術振興事業団の他の事業と比較しても最も重要性の高い事業の一つであり、経営資源(資金、人材等)の配分に当たっても十分配慮を要するものであります。
 第二に、科学技術振興事業団が他の事業を含めて効果的効率的に科学技術情報流通促進事業を進めるためには、事業団全体としての統一的な理念を明確にし、その理念の実現に向けてのプロセスを明らかにすることが必要ですが、一般的な方法としては長期的計画の策定がふさわしいと考えます。もちろん、情報科学技術の発展に対応してアジリティ(俊敏さ)の確保の必要性はいうまでもなく、このためには外部の助言を迅速に採り入れつつ、見直しを行うことも科学技術情報流通促進事業にとって重要であると考えます。
平成12年5月9日

This page updated on June 15, 2000

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