中国科学院上海光学精密機械研究所の概要


1.概要
 中国科学院上海光学精密機械研究所は、中国で設立が一番早く(1964年)、規模の最も大きいレーザーの研究開発を主たる研究テーマとする中国科学院所属の研究所である。設立以来、極強光光学、量子光学、光通信、光機能材料などレーザー科学の基礎理論からレーザー技術の開発と応用まで、世界的に注目される成果を数多く上げてきた。
 上海光学精密機械研究所は、オプトエレクトロニクス分野で30年以上知識と経験を蓄積してきた。これまで、結晶レーザー、ガラスレーザー、オプトエレクトロニクス基板材料、光学薄膜、非線形光学材料、ハロゲン化物発光と赤外伝送用光ファイバー、光メモリー材料などを開発してきた。その中の多くは既に製品化し、主に国内市場に販売されているが、一部はヨーロッパ、アメリカと日本に輸出されている。

2.共同研究相手機関としての概要
 近年、上海光学精密機械研究所は高性能オプトエレクトロニクス材料についての先端的な研究を展開してきた。また、材料のキャラクターレーゼーションの面では、幅広い波長域のレーザーシステムを有し、波長が250nmから10.6μmまでのCW及びパルス幅がms、μs、ns、ps、fs、エネルギーがmWから1万WのCWレーザーとmWからTWまでのパルスレザーをもつ。それらのレーザーを用い、材料の発光、レーザー特性、光誘起構造の形成及び機能性発現の評価に用いられる。その他、機能性材料の合成、加工条件を備えている。例えば、酸化物から、フッ化物、カルコゲンガラスの作製、ファイバー成形、薄膜形成及びゾルゲルによる材料の合成など。したがって、国際共同研究の過程では、上海光学精密機械研究所はその特徴を生かし、新しい光機能性材料を合成し、実験場所を提供することができる。また、中国科学院上海材料研究センターの中心メンバーで、そのセンターの構造解析などの精密装置を利用し、材料の評価とキャラクターレーゼーションすることができる。
 また、本研究は希土類の光学材料への応用を一つの重要な目標に上げている。上海光学精密機械研究所は光機能材料、特に希土類イオンドープ材料で大きな成果を上げている。また中国は世界中の60%の希土類資源を有し、その付加価値の付与に大きな関心を寄せている。日本側との共同研究により、これまでにない光機能材料の効率的な創出が期待される。日本は共同研究を行うことにより、国際的な貢献をするだけでなく、関連分野での知的所有権の面で優位に立つことも期待される。
 上海には中国科学院上海分院の各研究所以外、復旦大学、上海交通大学など数10の大学がある。最優秀の人材を集めて、最高レベルの研究を展開することが容易である。


This page updated on March 15, 2000

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