フォトンクラフトプロジェクトの概要


  光子コンピューターの概念は提案されて久しいが、多くの研究者の努力でその夢が現実になりつつある。しかし、光子コンピューターの基本素子となる光導波路を1つ例にとっても、CVD法やイオン交換法などの煩雑なプロセスを経て始めて作製されるという難題を抱えている。光子コンピューターの実現には三次元光集積回路、超高速光スイッチ、光論理素子、超高密度光記憶素子などフォトニックデバイスの効率的な合成とシステムの構築が望まれている。また新しい概念下での光素子の構成が期待されている。
  このような背景のもと、最近、パルス幅の非常に狭いフェムト秒レーザーを非晶質材料であるガラスや高分子内部にレンズで集光して照射すると、空間選択的に新しい永続的または準安定な電子構造を材料内部に誘起することができることが初めて見出された。これによりガラス内部に光導波路を一筆書きのように簡単に描けるだけでなく、サブミクロンの非常に微細な三次元の光回路も作製できることとなった。これはレーザーの集光性と短パルス化を最大限に利用し、多光子吸収をおこさせた例の一つである。しかしながら、今までレーザーのコヒーレンス性を充分に生かし、新規な機能性材料を創製した例はほとんどなく、また物質中の光の相互作用を利用した新しい光素子の検討は少なかった。
  本研究では、レーザーの集光性、超短パルス化、コヒーレンス性を最大限に利用し、物質中の光と光の相互作用による新しい材料の効率的な創製(フォトンクラフト)を目指す。
  本研究により、フォトンクラフトにより光子合成された人工格子材料は、高効率な発光素子、光スイッチ、光ディスプレイ、光変調材料、光論理演算素子の創製に寄与するばかりでなく、斬新な光素子の概念の創出にも大きく寄与することが期待される。


This page updated on March 15, 2000

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