科学技術振興事業団報 第123号


平成11年11月11日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「近赤外域微弱光検出装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、信州大学工学部教授 野村彰夫氏、助教授斉藤保典氏及び日置電機株式会社田中光喜氏の研究成果である「近赤外域微弱光検出装置」を当事業団の委託開発制度の平成8年度課題として、平成8年7月から平成11年7月にかけて日置電機株式会社(社長 日置勇二、本社 長野県上田市小泉81、資本金約28億円、電話0296-28-0555)に委託して開発を進めていた(開発費約1億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 可視光に近い領域の赤外線を近赤外線と呼ぶが、この領域の光の利用については、自然科学の研究だけでなく、レーザ光の吸収・散乱を検知する方式の大気・環境計測や各種工業分野での微量物質計測及び医療診断などへの応用が検討・研究されている。これら検知する光は微弱である場合が殆どであり、微弱光の検出は一般には光電子増培管などの光検出素子が用いられているが、近赤外域においてはこれまでは非常に高感度な検出器が存在せず、新たな検出手段の開発が求められていた。
 本新技術は受光ダイオードを検出素子として用いて、近赤外領域の極微弱な光をその光子数を計測することにより検出する装置に関するものである。半導体素子を冷却してノイズを低減させ、高SN比で増幅することで近赤外域の微弱光の検出(波長:0.9〜1.5μm)を可能とする。近赤外域微弱光の検出限界は、従来技術を用いた光パワーメータでは10-12W程度であったが、本技術により、10-16Wまでの検出が可能となった。これにより、大気中の水滴・チリの測定などの環境計測や各種工業分野におけるガス検出および微量物質の分析等、さらに、将来的には医療診断などへの応用が期待される。

「近赤外域微弱光検出装置」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

図-1 近赤外線の波長とその特徴

図-2 近赤外域微弱光検出装置のシステム構成

図-3 近赤外域微弱光検出装置外観

※この発表についての問い合わせは以下のとおりです。

科学技術振興事業団 開発業務部参事役管理課長 草野辰雄[電話(03)5214-8996]
管理課 木曽原 直之 [電話 03-5214-8996]
日置電機株式会社 第5研究室長 田中光喜[電話 0268-28-0624]

This page updated on November 11, 1999

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