「戦略的基礎研究推進事業」平成11年度
採択研究代表者および研究課題一覧


2.研究領域「分子複合系の構築と機能」

研究代表者氏名 研究者所属及び役職 研究課題名
クワジマ イサオ
桑嶋 功
(社)北里研究所
生物機能研究所
研究部長
高次構造天然物の全合成:制癌活性物質の探索と創製
スズキ ケイスケ
鈴木 啓介
東京工業大学
大学院理工学研究科
教授
ハイブリッド型生理活性分子の高効率構築法の開発
タナカ  ジュンゾウ
田中 順三
無機材質研究所
第10研究グループ
総合研究官
無機ナノ結晶・高分子系の自己組織化と生体組織誘導材料の創出
フクズミ シュンイチ
福住 俊一
大阪大学
大学院工学研究科
教授
有機・無機複合光電子移動触媒系の開発
ヨシカワ ケンイチ
吉川 研一
京都大学
大学院理学研究科
教授
自己生成する高分子ナノ秩序体:高次構造制御と機能発現
(アイウエオ順)

総評 研究統括 櫻井 英樹

 「化学の持つ無限の可能性を」

 化学を基礎とする本研究領域の研究提案には、二年目を迎えた本年も極めて多数の応募があった。国公私立大学のみならず、国立研究機関や民間研究機関などからも優れた提案が寄せられ、戦略的基礎研究推進事業のなかでももっとも激戦の領域となった。化学の持つ可能性と、研究人口の豊富さを実感した次第である。
 本年度も7名の研究アドバイザーにお願いして2段階の書類審査を行い、13件の提案を選択し、面接による三次審査によって5件の研究提案を採択した。面接では研究の背景、ねらい、構想、研究の進め方、研究体制、将来展望などの説明に基づき質疑応答によって理解を深めながら行った。
 本研究領域の趣旨に添って、物質系の構築と機能の両面にわたってどのようなねらいによって研究を進めるかを重点にして選考をすすめた。化学は物質系を分子レベルでとらえ、その構造や機能を明らかにし、反応機構を解明するところに存在意義がある。さらに、分子系の複合化によって新たな機能を獲得し、21世紀に向けてマテリアルズサイエンスやバイオサイエンスにもその領域を積極的に展開しようとしている。化学は無限の可能性を持っていると言える。提案の中には魅力的ではあるが、分子レベルで構築する本研究領域とは背馳していて割愛せざるを得なかったものもあった。
 本年度採択された提案には、光電子移動反応論、天然物有機化学や有機合成化学、高分子ナノ組織体の構築、さらには無機ナノ結晶など多彩な研究が含まれる。すでに世界的な評価を得つつあるものもあり、今後の発展が楽しみである。しかしながら、選に漏れた研究の中にもこれらに匹敵する優れたものもあり、落とさざるを得なかったのは残念であった。来年度も引き続き優れた研究提案を期待したい。

This page updated on September 8, 1999

Copyright©1999 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp