科学技術振興事業団報 第115号


平成11年8月26日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「固有振動数測定による骨診断装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、国立長野病院整形外科医長 中土幸男氏及び信州大学工学部教授 野村彰夫氏の研究成果である「固有振動数測定による骨診断装置」を当事業団の委託開発制度の平成3年度課題として、平成4年1月から平成11年1月にかけて株式会社エー・アンド・ディ(社長 古川 陽、本社 東京都豊島区東池袋3-23-14、資本金約28億円、電話03-5391-6123)に委託して開発を進めていた(開発費約1億円)が、このほど本開発を成功と認定した。 
 腕や脚の骨折時の診断は、一般にX線撮影によって行われているが、X線撮影は損傷の形態の把握には適しているが、治癒経過を定量的に捕らえることには不向きである。特に、治癒初期の段階では骨折部にカルシウムが付着していないため修復状況を画像として捉えることは難しい。 
 骨折箇所の組織は、治癒するに従い力学的強度が増加していくが、本新技術はこの強度の増加が骨の固有振動数の上昇となって現れることを利用した診断方法である。測定では、骨の一端に皮膚組織を通じて極微少な振動を加え、他端で振動波形を受振し、この波形を計算処理して骨の固有振動数を求める。診断においては健常な側の骨の固有振動数も合わせて測定しており、両者を比較することによって骨折の治癒状況を把握する。 
 固有振動数測定法は骨折箇所の治癒状況(強度)を早期の段階から定量的に把握できるため初期治療の適否の判定(注1)や、治癒を促進するための骨折部への加重負荷開始時期を特定することができる。このためX線撮影だけでは検査困難な領域を補う技術として外科部門における骨損傷の診断に利用される。また強度がわかるので、データを蓄積することにより骨の発育障害や骨粗鬆症の診断などへの利用も期待される。
 本新技術の背景、内容、効果は以下の通りである。

「固有振動数測定による骨診断装置」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

図-2 固有振動数測定骨診断装置による臨床治験例

※この発表についての問い合わせは以下のとおりです。

科学技術振興事業団 開発業務部参事役管理課長 草野辰雄[電話(03)5214-8996]
管理課 木曽原 直之 [電話 03-5214-8996]
株式会社エー・アンド・ディ  販売促進部企画課 関口 秀孝[電話 03-5391-6124]

This page updated on August 27, 1999

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