本新技術の背景、内容、効果は次の通りである。
望まれる高密度集積や高速動作に対応できるIC検査用カード |
集積回路(IC)素子の製品製造においては、ICが基板ウエハ上に形成された段階でICをテスタに接続して回路を動作させる機能検査を行い、不良品をパッケージに組み立ててしまう無駄を低減させることにより生産性の向上が図られている。近年、ICの高機能化に伴い製造コストの低減の要求が厳しくなっており、早期に不良品を発見することの重要性が増している。また、最近は、個々のチップのパッケージを行わない実装技術も普及しつつあるが、この場合にも出荷製品チップの品質保証の立場からウエハでの機能検査の充実が求められている。
このような検査において、テスタからIC上の電極パッドへ一時的に配線するために、あらかじめ目的IC製品の電極パッドの配置に合わせて電気的接点を配置したIC検査用カード(注1)を用意し、これを駆動装置(プローバ)によりウエハに押しつける方法がとられている。(図1,図2)
従来、IC検査のプローブとしては数十o長のタングステン針が用いられているが、狭ピッチのパッドには対応が困難であり、電気的にもその高周波特性により60MHz以上の交流信号を扱うのが困難である。そこで、最近のICの高密度化や高速化に伴い、数十μmの狭ピッチで配置された電極パッドへの対応や200MHz程度の高周波駆動を目的として、プローブに数十μm径の微小なバンプを使用したIC検査用カードが開発され販売されている。
しかし、従来のバンプを用いたIC検査用カードは、バンプの高さのばらつきを吸収できず、接触圧が不十分な場合があり、また、ICの電極パッドのアルミニウム表面は自然な状態では絶縁性の酸化膜に被覆されているが、バンプの可動性の制限から、相手パッド表面を引き掻くような自然酸化膜を破る動きを付加しにくいなどの問題があり、必ずしも十分な評価を得ていなかった。
このため、ICの電極パッドへの良好な電気的接触が取りやすく、かつ、狭ピッチパッドや高速回路動作に対応できるIC検査用カードの開発が重要となっている。
金属超微粒子によるバンプ形成法により、高密度、高速ICの検査に対応可能 なIC検査用カードを実現 |
本新技術は、高密度ICや高速ICの機能検査に求められる狭ピッチのパッド配置、高周波動作に対応でき、かつ従来のバンプを用いたIC検査用カードに比べ、バンプによる相手電極パッドの表面酸化層の破壊が容易であり、バンプ−パッド間の接触性の高いバンプ型IC検査用カードに関するものである。
本新技術のバンプは、次のようなガスデポジション法により形成される。ニッケル等金属を加熱して蒸気とし、不活性ガスにより冷却して、数十nm径の超微粒子とする。この超微粒子を内径30-60μmの内径のノズルより吹き出し、基材の目的位置に、硬質な金属突起(バンプ)を形成する。安定した超微粒子の生成を続けながら、各目的位置に一定の時間ずつ堆積させて同一規格のバンプを形成する。
この方法により、μmオーダーで高さおよび基材上の位置の精度をもってバンプを形成することができる。従来のメッキとフォトリソグラフィーによるバンプの製法に比べて、工程が単純で材料の消費を抑えられるとともに、任意の目的箇所にバンプを形成でき、また、合金組成や多層構造のバンプも容易に形成できる、などの特徴を有する。
本新技術によるIC検査用カードは、このようなガスデポジション法によるバンプの特色を利用したものであり、バンプの独立可動性を高めた基板形状とクッション構造により、バンプと相手パッドの接触性を高める。またプローバの動作との連携によりパッド上の表面酸化層を破壊して良好な電気接触が得られる。
本新技術によるIC検査用カードにより、50μm程度のパッドピッチや200MHz以上の高速テストへの対応を、良好な電気的接触により高い信頼性をもって行えることが期待される。
ウエハ上の高速動作検査や高密度ICの機能検査に利用 |
本新技術によるIC検査用カードは、
などの特徴を有する。
従って、各種IC、特に、高速動作のもの、高密度のもの、個々のチップをパーケージしない状態で品質保証が必要なものの機能検査への利用が期待される。
* この発表についての問い合わせは、電話03(5214)8995 野田、天野までご連絡下さい。
This page updated on March 3, 1999
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