ホームJSTについて情報の公開・個人情報保護機構の評価に関する情報(参考) 科学技術振興事業団(平成14年度まで)の評価結果平成10年度評価結果(技術移転推進事業)評価報告等第1部 事業団の機関評価にあたって 2.評価対象事業の概要

第1部 事業団の機関評価にあたって


2.評価対象事業の概要

 委員会では機関評価の実施に当たり、評価対象事業の説明を受けたがその概要は次のようであった。
 事業団は、大学、国公立試験研究機関等の優れた研究成果を、開発力を有する企業に技術移転して実用化することにより、社会経済の発展や国民生活の向上に寄与することをねらいとし、以下の事業を展開している。今回の機関評価を行うに当たり、事業団ではこれらの事業を技術移転推進事業と総称している。
(参考資料6:「科学技術振興事業団の各種事業・業務の流れ」参照)

(1)

委託開発事業

ア  目的・内容
 本事業は、国民経済上重要な科学技術に関する試験研究の成果であって、特に企業化が困難なものを新技術開発課題として選定し、企業等に委託して開発を実施することにより、当該新技術の企業化を促進することを目的としている。
 本事業では、大学、国公立試験研究機関等の研究成果をもとに、[1]新しい産業の創出や新展開が期待される産業関連技術については「新産業創出型技術開発課題」を、また、[2]人類の共存のための科学技術や、豊かな生活・社会を実現するための科学技術については「生活・社会技術開発課題」を、さらには、[3]先端的な研究開発のためのツールとして用いられる科学技術や様々な科学技術の融合により複雑な問題を総合的に解決するための基盤となる科学技術については「先端的基盤技術開発課題」を選定している。
 事業団は、開発の委託にあたり企業に支出した開発費について、開発が成功した場合は返済を求めるが、開発不成功の場合には、開発費の返済を免除する。開発に成功した新技術については、当該新技術を実施する企業から売上高に応じた実施料を徴収し、原則としてその50%を新技術の所有者に支払うことにしている。
 本事業の一定の割合(限度額30億円)については平成11年度より、資本金10億円以下の中堅中小企業による大学、国公立試験研究機関等の優れた研究成果の実用化を促進することを目的として次の内容の改革を予定している。 ・開発成功後、開発費の1/2は5年(生活・社会技術開発、先端的基盤技術開発は8年)年賦返済、1/2は売り上げに応じて返済。
・担保は、開発費相当額を設定するが、その額の1/2は開発実施により生まれた知的所有権等に設定することができる。
 
イ  体制及び予算
職員22名(プロジェクト部10名、開発業務部12名)で実施。
平成10年度予算は43億6200万円(契約限度額86億円)。
 
ウ  業務実績・成果
委託開発課題数
昭和36年度から平成9年度までの委託開発選定課題総数は430件。平成9年度末までに開発が終了したものは338件、開発中は69件、開発中止は 23件。(平成9年度20課題採択)
開発を終了した課題338件のうち開発成功は319件、不成功は19件。
開発と総支出額
昭和36年度から平成9年度までの開発費総支出額は約1,070億円、開発費回収金は約734億円。
実施料収入
開発が成功した課題からの実施料収入(研究者分を含む)の累計は約80億円。
(平成9年度約3億円)

(2)

研究成果普及事業

ア  目的・内容
 本事業は、大学、国公立試験研究機関等から収集した研究成果を対象とする開発あっせん候補課題並びに当事業団の基礎研究の成果を対象とする実施許諾候補課題等を民間企業へ円滑に移転し企業化することを目的とする。
 本事業では、新技術の開発に取り組む企業を探し、研究者と企業の間にたって実施契約の条件を調整することなどを行う。あっせんした新技術については、原則として実施料の90%を研究者に配分し、10%を事業団が取得する。
 
イ  体制及び予算
職員5名(技術展開部特許普及課 開発あっせん業務2名、特許維持・管理業務3名)で実施。
平成10年度予算は1億4000万円。
 
ウ  業務実績・成果
開発あっせん成立件数及び企業数
昭和36年度からの累計は547件(課題数)、872社(企業数)。
(平成9年度:7件(課題数)、7社(企業数))
実施料収入
実施料収入の累計は約23億円。(平成9年度約1億円)

(3)

特許化支援事業

ア  目的・内容
 本事業は、大学、国公立試験研究機関等の研究成果の権利化を支援することを目的とする。
 本事業では、研究機関(研究者)の依頼に応じて事業団職員(特許主任調査員が研究機関を訪問し、将来企業化される可能性のある研究成果について研究者とともに特許出願の検討を行う特許出願に関する支援、研究者に代わって事業団が特許出願を行う有用特許取得、及び研究機関(研究者)に特許出願等に対する理解を深めていただくため研究機関等において事業団の嘱託弁理士等を講師とする知的所有権研修会の開催を行う。
 本事業の前身となる特許出願サービスと有用特許取得業務は、昭和54年度以来、委託開発・開発あっせんの候補課題の収集、課題の育成・編成業務の一環として、小規模ながら実施されてきた。
 本事業は「科学技術基本計画」等に基づき、上記業務を基本にしてその内容の充実を図り、新たに担当課を新設する等組織体制を整備し、平成10年4月から新規事業として開始されたものである。
 
イ  体制及び予算
 職員5名(技術展開部特許化支援課)、特許主任調査員3名(東京・つくば地区及び関西地区)で実施。
平成10年度予算は2億1000万円。
 
ウ  業務実績・成果(平成10年度4月以降11月末まで)
特許出願に関する支援件数:383件
有用特許出願件数
国内出願86件
外国出願10件
知的所有権研修会:5カ所で開催、参加者合計で約300人。

(4)

独創的研究成果育成事業

ア  目的・内容
 本事業は、中堅中小企業が有する新技術コンセプト(大学、国公立試験研究機関等の研究成果に基づく、新しい産業を生み出す可能性のある概念や製品構想)を当該研究機関又はその研究者との協力により試作品として具体的な形とする(モデル化する)ことを目的とする。
 本事業では、公募で研究開発型の中堅中小企業を選定してモデル化を委託し、必要な資金を支出する。受託企業は、研究機関(研究者)の研究成果の導入や技術指導等を得ながらコンセプトのモデル化を実施する。
 
イ  体制及び予算
職員5名(技術展開部技術展開課)で実施。
平成10年度予算は6億6600万円。
更に平成10年度補正予算として100億円。
 
ウ  業務実績・成果(採択件数)
平成8/9年度79件(平成8年度補正予算及び平成9年度本予算の合計)
平成10年度51件(本予算)
平成10年度81件(第1次補正予算)
平成10/11年度260件(予定)(平成10年度第3次補正予算分及び平成11年度本予算の合計)

(5)

平成11年度新規施策

ア  新規事業志向型研究開発成果展開事業
 本事業は、大学、国公立試験研究機関等の研究成果に内在する実用化の可能性を迅速に見出し、ベンチャー起業による迅速な実用化につなげていくことを目的とする。
 本事業では、新産業の創出が期待できる実用化研究プランを募集・選定し、2人のプラン提案者の一方をリーダーとし他方をサブリーダーとする実用化のための研究開発チームを事業団が組織し、最長3年間、実用化の可能性について研究を行う。
 
イ  研究成果活用促進拠点育成事業
 本事業は、独創的新技術による新規事業創出に資するため、大学等の研究成果の活用促進を目的とする。
 本事業では、地域研究開発促進拠点支援事業等で整備された各地の科学技術振興拠点を活用して大学等との連携拠点を形成し、大学等の先端的研究成果をいち早く掘り起こして育成し実用化につなげるための機動的な体制整備を図る。


This page updated on June 21, 1999

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