科学技術振興事業団報 第106号


平成11年4月19日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「低速陽電子ビーム短パルス化装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東京大学 原子力研究総合センター 助教授 伊藤泰男氏の研究成果である「低速陽電子ビーム短パルス化装置」を当事業団の委託開発制度の平成7年度課題として、平成7年11月から平成10年11月にかけて住友重機械工業株式会社(社長 小澤三敏、本社 東京都品川区北品川5-9-11、資本金309億円、電話03-5488-8219)に委託して開発を進めていた(開発費約1.9億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
近年の半導体デバイスの高集積化や金属、高分子物質などからなる新材料の開発において結晶欠陥(原子空孔型の格子欠陥)及び構造や状態などを高精度で分析する技術が要求されている。
 これに対応するひとつとして、低速で短パルス化した陽電子(ポジトロン:注1)ビームを用いる分析法(パルス陽電子寿命測定法:注2、陽電子消滅誘起オージェ電子分光法:注3)がある。これは陽電子源からの連続低速陽電子ビームを、分断器でパルス化し、さらに圧縮器で短パルス化して試料に照射することにより行うものである。
 従来の装置ではパルス化時における陽電子利用率が低いため、精度の向上を図るには大規模な陽電子源を必要とし、この分析法の普及にとって分析費用の低減が課題となっていた。
 本新技術は最適な電場によりパルスビームの前部を減速し、後部を加速する新しい短パルス化装置の開発を行い、陽電子利用率を向上させたことで小規模な陽電子源でも十分な精度が得られ、設備費用の大幅な削減が可能となった。このため、半導体、薄膜、金属、高分子材料などの欠陥検査、構造解析及び元素分析への利用が期待される。

「低速陽電子ビーム短パルス化装置」(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

※この発表についての問い合わせは以下のとおりです。

科学技術振興事業団 開発業務部管理課長 草野辰雄[電話(03)5214-8996]
管理課 木曽原 直之
住友重機械工業株式会社 業務本部 広報グループ[電話(03)5488-8219]

This page updated on April 22, 1999

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