科学技術振興事業団報 第104号


平成11年4月15日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「成人用高頻度人工呼吸器」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東京大学 医科学研究所 助教授 山田芳嗣氏らの研究成果である「成人用高頻度人工呼吸器」を当事業団の委託開発課題の平成3年度課題として平成4年1月から平成10年7月にかけてスズキ株式会社(社長 鈴木 修、本社 静岡県浜松市高塚町300、電話 (053)440-2061、資本金 855億円)、株式会社メトラン(社長トラン・ゴック・フック、本社 東京都中央区日本橋富沢町12-8、電話 (03)5695-8350、資本金 30百万円)に委託して開発を進めていた(開発費 約2.8億円)が、このほど本開発を成功と認定した。 通常の人工呼吸法は、肺に一度に大量の新鮮な空気を深くゆっくりと送り込み、患者の肺内部に溜まった炭酸ガスと入れ換える方法をとっている。従って、重症の肺疾患患者の場合、肺内部の圧力が高まるため、肺が無意識に大きく引き伸ばされる場合がある。これに対し、今回開発した成人用高頻度人工呼吸器では、浅く速い換気(高頻度換気法)によって、肺に一度に送りこむ新鮮な空気量を少なくし、換気の回数を多くすることで肺の拡張を減らし、肺内部の圧力増大を比較的低く抑えることが可能となった。  本新技術では、人工呼吸時における肺の強制的な動きを小さくできるとともに患者の回復状況に応じて円滑に通常の呼吸状態へ移行できるため、通常の人工呼吸器を使用した場合に比較し、肺損傷の軽減が可能となり、肺の機能が極度に低下した重症の呼吸不全患者の呼吸管理、胸部外科手術時の人工呼吸への適用が期待される。

「成人用高頻度人工呼吸器」(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

成人用高頻度人工呼吸器の概要

成人用高頻度人工呼吸器

※この発表についての問い合わせは以下のとおりです。

科学技術振興事業団 開発業務部管理課長 草野辰雄[電話(03)5214-8996]
管理課 久保 亮
スズキ株式会社 技術研究所 高木俊尚[電話(045)943-7111
株式会社メトラン 技術部 根本三雄[電話(048)665-5969]

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