計算科学技術活用型特定研究開発推進事業(短期集中型)

平成10年度選考された研究開発課題要旨


<物質・材料分野>
課題名 機能性高分子設計のための理論的重合法プログラム
代表者 青木百合子(広島大学 助教授)
課題の要旨 高分子の重合反応を計算機上で行い、各セグメントの反応性を試算しながら高分子の構造を最適化するよう反応経路を決めるシステムを開発する。本システムは高伝導性高分子や有機強磁性高分子体の設計指針に資することが期待される。
課題名 炭素系材料設計システム
代表者 大澤 映二(豊橋技術科学大学 教授)
課題の要旨 フラーレン系炭素用経験的分子間ポテンシャルの設定、炭素ポテンシャルパラメータの精密化、フラーレン構造発生プログラムFULLERの改良等によりバッキーオニオン、カーボンナノチューブの自己組織性、気体フラーレン誘導体の可能性についてシミュレーションを試みる。
課題名 複雑現象のための量子古典ハイブリッド型大規模数値解析手法の開発
代表者 大野 隆央(金属材料技術研究所 室長)
課題の要旨 多数原子からなる物質系で基本物理法則に基づいて分子の挙動を解明するため、階層的空間構造のミクロ、メソ各領域に量子MD法と古典MD法を統合したハイブリッド型解析手法を開発する。この手法は材料破壊等の機械的特性の解明や生体反応等の複雑現象の研究進展に寄与する。
課題名 先進的磁性材料の第一原理計算による設計手法
代表者 小口多美夫(広島大学 教授)
課題の要旨 金属薄膜と金属人工格子のスピン・軌道磁気モーメント、交換相互作用、磁気異方性の磁気構造、及びカー効果、磁気円二色性の磁気光学効果を第一原理計算により予測するシステムを構築する。本システムは、先進的磁性材料の設計指針構築に貢献する。
課題名 複雑現象のはじまりとしての表面反応の解明
代表者 笠井 秀明(大阪大学 教授)
課題の要旨 表面構成原子の配列や振動を考慮するマルチディメンジョン量子力学計算と、表面に吸着している水素原子が脱離する反応を解析するマルチリアクションパス対応量子力学計算を開発する。本研究開発で確立された技術シーズは酵素反応を含む広義の触媒反応等への応用が考えられる。
課題名 スラブ型2次元フォトニック結晶の光波解析
代表者 迫田 和彰(北海道大学 助教授)
課題の要旨 スラブ型2次元フォトニック結晶について解析を行うための高度なシミュレーション技術を開発する。具体的には光の分散関係とフォトニックバンドギャップの解析は平面波展開法、光伝播特性の解析はFDTD法、局所不純物モードの解析は双極子輻射の数値シミュレーション法を適用した光波解析システムを開発する。成果は高性能半導体レーザーや光通信用素子の開発に資する。
課題名 仮想現実材料試験装置の先導的開発研究
代表者 関根 英樹(東北大学 教授)
課題の要旨 炭素複合材料等のモデリング技術、数値計算技術、材料設計技術、製作技術、評価技術の各研究者が情報交換しながら仮想現実材料試験システムを開発する。複合材料の極限状況における強度特性や熱特性をモニタ画面上に表示させ、複合材の開発促進に貢献する。
課題名 材料機能設計のための励起構造計算システム
代表者 田中 功(京都大学 助教授)
課題の要旨 光励起時の酸化物表面上の分子の挙動等の解明のために、擬ポテンシャル法による第一原理分子動力学計算と、分子軌道法バンド計算、及びクラスター計算を用いた定量的な電子論計算システムを開発し、新規光触媒の開発を試みる。
課題名 液柱マランゴニ対流の大規模数値計算
代表者 棚橋 隆彦(慶応義塾大学 教授)
課題の要旨 微小重力下の振動とマランゴニ対流を考慮した液柱の現象を解明するため、自由表面記述手法の選択、表面張力とマランゴニ効果のモデルの開発、及び三次元大規模並列計算法の検討を行い、実験結果と数値解析結果を比較検討する。
課題名 大規模分子軌道計算を高速かつ低コストで実現するための研究開発
代表者 長嶋 雲兵(物質工学工業技術研究所 室長)
課題の要旨 生体酵素反応の解析や材料・医薬分子の開発に必須である分子構造最適化を高速化しかつ低コスト化するため、大規模分子系においてエネルギー一次微分を計算する非経験的分子軌道プログラムを開発する。最も時間のかかる二電子積分計算にはデータ並列性の漸化計算法を用い高速化する。
課題名 多層膜構造を利用した高性能熱電材料の最適化設計
代表者 平野 徹(ダイキン工業株式会社 所長)
課題の要旨 熱電材料の電子物性の数値解析技術をより発展させ、微視的な立場から多層膜の垂直伝導のモデル化を行い、数値解析システムを開発する。最適化設計を通して、高性能熱電材料の創製を目指す。具体的には、磁性多層膜の巨大磁気抵抗の理論を熱電多層膜へ拡張する。
課題名 理論状態図の統合的計算システムの研究
代表者 松宮 徹(新日本製鐵株式会社 解析科学研究部長)
課題の要旨 シリコンの点欠陥、ドーパント及び不純物元素について希薄溶体としての熱力学的性質の予測を与え、シリコン−酸素系について酸素高濃度まで拡張して熱力学的性質を予測し、状態図を記述する。シリコン−酸素系の状態図はギガビット級半導体の開発に寄与する。
課題名 単結晶育成過程の仮想実験室システムの開発
代表者 宮崎 則幸(九州大学 教授)
課題の要旨 バルク単結晶育成過程のシミュレーションのうち、熱応力解析、マクロな割れ評価解析、可視化のシステムを開発する。本システムは酸化物単結晶やVX族化合物半導体のような臨界剪断応力値が低いため無転位単結晶の育成が困難な単結晶成長制御技術の確立に寄与する。
課題名 高温超伝導体の電子機構モデルの研究
代表者 山地 邦彦(電子技術総合研究所 首席研究官)
課題の要旨 変分モンテカルロ法を用いて有限な超伝導ギャップを持つGutzwiller型BCS超伝導波動関数に対して、2次元d-p模型が最低エネルギー状態になることを確認し、超伝導凝縮エネルギーを計算し、超伝導相関関数の増大等の超伝導特性を確認する。既に得ている6×6格子についての結果を20×20格子まで拡張するための、大規模並列計算システムを開発する。
課題名 第一原理計算による電子励起新機能半導体の材料設計
代表者 吉田 博(大阪大学 教授)
課題の要旨 磁性イオンをドープしたワイドギャップ半導体の電子励起原子移動機構を解明するため、量子力学第一原理に基づく量子シミュレーション等を開発する。この計算システムを用いて遷移金属等の磁性状態を光や電子の電子励起により制御できる新機能半導体材料を設計する基礎を確立する。

<生命・生体分野>
課題名 タンパク質モジュールの機能と属性の研究
代表者 郷 通子(名古屋大学 教授)
課題の要旨 立体構造既知の全てのタンパク質をアミノ酸モジュールに分解して、そのモジュールの機能や属性等の情報を付加し、研究者がアクセスできるデータベースシステムを構築する。タンパク質の構造と機能構築の原理の解明や、ゲノム情報からタンパク質機能構造の予測に資する上、酵素や新薬の創製にも繋がる。
課題名 特異点理論に基づく医療用画像処理技術の研究開発
代表者 品川 嘉久(東京大学 講師)
課題の要旨 医療用ボリュームレンダリングに対し位相幾何学的考察に基づく特異点フィルターを用いて、連続断面画像間のマッチングと、二次元画像から三次元物体画像を鮮明に自動再現するシステムを構築する。既存のCT-スキャン画像データから器官や患部の三次元物体画像を正確に再現し、今後のデジタル医療や僻地医療遠隔診断等の推進に寄与する。
課題名 プロテオーム配列空間からの正規構造の抽出
代表者 芝 清隆(財団法人癌研究会 主任研究員)
課題の要旨 データベース化された全タンパク質の配列から繰り返し構造を抽出し、この繰り返し単位と、生物活性、立体構造、生物進化との相関を調べるシステムを確立し、インターネットで公開する。繰り返し配列の発現機能を解明するため、アミノアシルtRNA合成酵素の繰り返し構造を検索できるシステムを開発する。
課題名 大規模並列処理技術を用いたタンパク質の構造解析システムの開発
代表者 清水謙多郎(東京大学 教授)
課題の要旨 溶媒の連続体近似を行うPoisson-Boltzmann方程式法を分子動力学法に組込む手法の統合的改良システム、タンパク質の配座空間のエネルギー曲面を解析する手法、ならびに分子動力学法の並列アルゴリズムを開発し、大規模並列計算処理により巨大なタンパク質分子の自由エネルギー的解析が可能なシステムを実現する。
課題名 機械学習技術によるボクセルファントム作成システムの開発
代表者 寺邊 正大(株式会社三菱総合研究所 研究員)
課題の要旨 人体の画像データ(CT画像データ、MRIデータ)を利用して、人体の外形、臓器・組織構造を詳細に模擬した人体ファントムに対してモンテカルロシミュレーションを行い放射線癌治療の被曝線量評価を行う時、ファントム作成作業の大幅な省力化と効率化を図るため、知識情報処理技術を応用した知的支援システムのプロトタイプを開発する。
課題名 蛋白質の表面形状と物性に基づく機能分類
代表者 中村 春木(株式会社生物分子工学研究所 部門長)
課題の要旨 蛋白質の立体構造と機能との関連を骨格構造ではなく、分子表面の形状とその静電物性や疎水性等から分類整理し、データベース化して、インターネット上で公開し、今後の構造ゲノム科学の発展に寄与する。
課題名 マルチスライスCTの低線量化への技術開発
代表者 中村 仁信(大阪大学 教授)
課題の要旨 スクリーニング用から精密検査用までの多種類の画像が短時間で同時に得られるマルチスライスCTのX線線量を従来の10〜50%に低減したスキャン手法を開発する。更に、臨床的な情報は維持しながら画像処理で1枚にする画像フィルターを開発する。被曝による人体健康面の配慮をした上で、疾患部の検出効率の向上を目指す。
課題名 連成有限要素法による人工心臓拍動のシミュレーション技術の開発
代表者 久田 俊明(東京大学 教授)
課題の要旨 拍動型人工心臓血液ポンプの数値解析における、半球殻に類似した形状の膜の曲率が反転し完全に裏返るまで油圧によって押し込まれるという極限的な座屈後解析と、膜が裏返った時ほぼ全ての血液が押し出され再び血液が流入しポンプ内を満たすという境界領域大変動の流体解析が可能な三次元構造・流体連成有限要素解析プログラムを開発する。
課題名 人体変形とそれに伴う心地のシミュレータの開発
代表者 前川 佳徳(大阪産業大学 教授)
課題の要旨 乳房、臀部、背中及び手の変形に伴う圧覚、痛覚を示すシミュレータを開発する。乳房等の人体の各部が均質な超弾性体、或いは表層部と内部の2重構造の超弾性体で構成されているモデルについてプログラムを開発する。このプログラムは、乳癌の機械化触診検査ソフト、介護ロボットの作動ソフト、床ずれ防止ベッドや座り心地の良い椅子や動きやすい運動着等の開発に資する。
課題名 膜タンパク質構造・機能予測のためのプロテオーム情報解析システム
代表者 美宅 成樹(東京農工大学 教授)
課題の要旨 膜タンパク質構造の各特徴を支配する物理化学的な要因を表現する適切なインデックスを開発し、全プロテオームの30%を占める膜タンパク質の構造・機能情報を抽出するためにプロテオームの情報処理を行い、シグナルペプチド予測、膜タンパク質判別、膜貫通ヘリックス領域予測、膜内外トポロジー決定、膜貫通ヘリックス配置予測、タンパク質機能推定ができるシステムを開発する。
課題名 循環器病治療支援計算生体力学シミュレータ
代表者 山口 隆美(名古屋工業大学 教授)
課題の要旨 循環器病の臨床医療における高精細度診断、高信頼度の予測に基づく治療計画、安全度の高い医療訓練に資する計算生体力学シミュレータを開発中である。本研究開発では心筋梗塞等の診断、予防、治療の基礎となる計算力学応用システムのためのモデリングシステムとそのインターフェイスを開発し、これを可視化するシステムを開発する。
課題名 金属酵素の機作およびDNA損傷の電子論的研究
代表者 吉岡 泰規(大阪大学 助教授)
課題の要旨 チトクロムc酸化酵素の活性中心である(ヘムa3、CuB)鉄・銅原子2核系での酸素分子の水分子への還元反応機構を量子化学的手法のシミュレーションで解明する。更に、DNAの損傷におけるグアニン核酸塩基の1電子酸化反応機構と塩基間での正孔の移動機構を量子化学的手法のシミュレーションで解明する。

<環境・安全分野>
課題名 超臨界流体の熱・流体・反応数値解析技術の開発
代表者 天野 研(株式会社日立製作所 主任研究員)
課題の要旨 超臨界水(圧力22MPa以上、温度370℃以上)を利用した化学反応は、有機性廃棄物の減容・無害化・再資源化、有機溶媒の代替、エネルギー資源の形態転換などに有用な新技術である。自家開発の燃焼数値解析プログラムをベースにこの反応の数値解析プログラムを開発し、超臨界反応装置設計に資する。
課題名 地域環境騒音の計測・心理評価システム
代表者 安藤 四一(神戸大学 教授)
課題の要旨 不快感のような人間の心理評価に結びつく聴覚−大脳機能モデルに立脚した環境騒音評価システムを開発する。計測システムは時系列に騒音の音圧振幅を取り込むバイノーラル騒音計とコンピュータから構成される。
課題名 CFD解析に基づく室内温熱環境の自動最適設計手法の開発
代表者 加藤 信介(東京大学 助教授)
課題の要旨 室内環境CFD(Computational Fluid Dynamics)解析に基づく室内温熱環境の自動最適設計手法を開発する。室内の環境性状を設計目標値に最大限近似させるための室内の物理的な境界条件を求める手法、すなわち逆問題解析による環境設計の最適化を行う。
課題名 画像ベクトル表示による材料欠陥目視検査の自動化技術の開発
代表者 兼本 茂(株式会社東芝 主幹)
課題の要旨 大型発電プラントの経年劣化、放射線損傷による亀裂の目視検査を遠隔自動化するため、3波長による検査画像を3次元ベクトル表示し、欠陥の特徴を顕在化させるシステムを開発する。更に、この画像の復元処理で視認性を高める。
課題名 固体力学諸問題の新しい離散化解析法(TK法)の開発・検証
代表者 川井 忠彦(株式会社富士総合研究所 非常勤技術顧問)
課題の要旨 メッシュ分割技術の抜本的簡略化と、計算精度の保証と、粒度の問題の起こらない大規模計算法の開発を目指す。有限要素法に、修正された胡−鷲津の原理を用いて隣接要素間の未定係数の関係式を導き、直接法で解く。この非弾性解析は極限荷重の決定に資する。
課題名 プランクトン蛍光の画像解析自動処理システム
代表者 熊谷 道夫(滋賀県琵琶湖研究所)
課題の要旨 特定波長光に蛍光を出すプランクトンのクロロフィルやDNAを蛍光画像として取り込むシステム及び微生物の画像データベースを用いて、塵や泥などの様々な夾雑物を含む試料からプランクトン等の同定と計数を行うシステムを開発する。本システムにより赤潮等の環境異変に迅速対応が可能となる。
課題名 地質構造の3D自動モデリング・メッシングツールの開発
代表者 向上 拡美(株式会社ハザマ技術研究所 主任研究員)
課題の要旨 面積座標を用いて3Dモデルのデータ量を従来の1/100に留め、トポロジーCADで互いに切断関係にある地質構造部品を自動的に組み立てるツール、及び隣接地質ブロック間で粗密情報を継承しながら自動的に3Dメッシュを作るツールを開発し、土石流等の災害解析等に資する。
課題名 ダイオキシン抑制のための計算化学的手法に関する研究
代表者 田辺 和俊(物質工学工業技術研究所 首席研究員)
課題の要旨 ダイオキシン生成機構解明のため、廃棄物焼却炉内の燃焼反応をシミュレーションする計算化学的手法として、第一原理分子動力学計算法の高速化プログラムを開発する。約50原子系の反応解析を約100時間で完了させ、ダイオキシンの抑制対策を提言する。
課題名 ソフトコンピューティングによる耐震性能評価システムの研究
代表者 堤 和敏(株式会社フジタ 担当課長)
課題の要旨 顧客が性能を選択できることによって、より満足度の高い耐震構造物を設計するため、地震による被害レベルと構造物の性能を多様な顧客の満足度で表現し、構造物の地震応答予測と制御シミュレーションを行う構造物設計評価システムを開発する。
課題名 ダイオキシンの定量的リスク(毒性)評価システムの研究開発
代表者 藤井 敏博(国立環境研究所 上席研究官)
課題の要旨 ダイオキシン異性体の分子構造や電子状態から分子の平面性、イオン化ポテンシャル、電気陰性度の算出及び定量的構造活性相関用ニューラルネットワーク法の実用化を通じて、定量的リスク(毒性)評価システムを開発する。
課題名 都市温熱環境シミュレータの開発
代表者 森川 泰成(大成建設株式会社 課長)
課題の要旨 大気環境を予測するために熱流体解析システム、マルチグリッド分割した解析領域を個々のCPUで並列処理するシステム、解析結果を3次元グラフィックス可視化するシステムから成る環境シミュレータを開発し、都市の緑化計画や温熱環境改善に資する。
 
課題名 波の影響を考慮した干潟水質予測モデルの構築と運用システムの研究開発
代表者 山田 満男(株式会社海洋工学研究所 取締役)
課題の要旨 波浪による砂泥の浮上及び輸送を予測する数値モデルと、干潟の水質と底質予測モデルを結合したシステムを開発し、干潟の水質浄化機能の解明、環境保全、修復技術の研究開発に寄与する。また、干潟生物環境情報データベースもあわせて開発する。
課題名 リスク対応型地域環境情報システムの開発
代表者 吉川 耕司(名城大学 助教授)
課題の要旨 時間情報と空間情報を統合した、平常時と災害時に両用可能な自律分散型のリスク対応システムを開発する。具体的には、時空間情報処理が可能な多次元地理情報システム、時空間記述が可能な高圧縮データ構造、地域環境情報システムに必要な応用プログラムを開発する。本システムは震災時の復旧支援活動等に貢献することが期待できる。
課題名 リモート制御による大規模構造解析システムの開発
代表者 渡邊 英一(京都大学 教授)
課題の要旨 実験装置とオンライン化したコンピュータを連携させるハイブリッド実験手法の開発と高度化を達成し、構造物の耐震解析システムの検証を行う。このために、制御用コンピュータの遠隔操作技術の開発、並列ハイブリッド解析アルゴリズムの開発を行う。
課題名 生物多様性データベースのプロテオーム情報による再構築
代表者 渡辺 信(国立環境研究所 部長)
課題の要旨 種の命名・記載データと標本・培養系統の生物材料資源データを網羅したデータベース、ゲノム情報の分類学的利用システム、及びタンパク質分子の全発現系解析システム等の開発を行う。塩基情報から得られた結果と不一致な形質発現に関与している分子を特定し、正確な分類学マーカーを系統樹にマップする研究を行う。

<地球・宇宙観測分野>
課題名 人工衛星による大気中CO2濃度測定手法の開発
代表者 今須 良一(資源環境技術総合研究所 主任研究官)
課題の要旨 人工衛星が測定した地球大気の赤外線スペクトルデータから、CO2の全球濃度分布を求めるデータ解析手法を開発する。高分解能大気放射伝達シミュレーターを用いた観測シミュレーションにより、開発した手法の精度評価を行うと同時に、1996年に打ち上げられたADEOS衛星搭載IMGセンサーのデータを解析し、実測値と比較評価を行う。
課題名 次世代型 汎用計測・制御カーネルの研究開発
代表者 黒川 眞一(高エネルギー加速器研究機構 教授)
課題の要旨 大型実験系から小規模測定系まで共有できる、既に構築している汎用化可能な計測・制御モデルのオブジェクト分析再検討を行い、汎用化計測・制御カーネルの実用化研究を行う。市販パッケージ計測ソフトとの融合、最新ネットワーク技術による各種計測・制御ソフトの融合とグローバル分散運用を試み、データやアプリケーション・プッシュ技術の導入を図り、実用化試験を行う。
課題名 地理画像変化域抽出の自動化
代表者 小杉 幸夫(東京工業大学 助教授)
課題の要旨 異なった時点で撮影された2画像をCoincidence Enhancementという脳型情報処理機構に基づいた独自の非線形写像によって照合し、そのマッチングスコアの分布から地理画像上の変化域を自動抽出するシステムの実用化を図る。本システムは、へリコプター等からの映像をもとに短時間に被災情報を収集でき、災害救援活動に寄与する。
課題名 人工衛星画像による3次元GISプラットフォームの開発
代表者 野口 正一(会津大学 学長)
課題の要旨 人工衛星画像からウォークスルーが可能な3次元地図(VRML)を作成するプラットフォームソフトを開発する。森林基本図等のアナログ地図からelevationデータを取得し、得られた座標データを基に人工衛星画像を3次元イメージDEM(Digital Elevation Model)化し、高速VRMLレンダリングで作成する3次元地図は地球温暖化、環境・災害調査等に活用が期待される。
課題名 地球惑星流体現象を念頭においた多次元数値データの構造化
代表者 林 祥介(北海道大学 教授)
課題の要旨 地球惑星科学で扱っている流体現象の多次元データのうち、主として時空間データとその解析手法を吟味し、可能な構造化手法を探り、データの形式を定め、オブジェクト指向型言語を用いてデータ解析アプリケーションへ実装する。本研究開発の中で提案されるデータ記述の共通仕様は、データ流通・解析の効率化に役立つことが期待される。
課題名 衛星データを利用した列島応力分布の逆解析手法の開発
代表者 堀 宗朗(東京大学 助教授)
課題の要旨 衛星データから得られる歪み分布を利用して、日本列島全体を対象に、各地域の応力分布を逆解析する数値計算手法を開発する。主にGPSデータを24時間365日間逆解析し、刻々と変化する応力分布をモニタすることを試みる。本手法は、地震等の異常現象の発生推定に貢献することが期待できる。
課題名 天体回転プラズマシミュレータの開発
代表者 松元 亮治(千葉大学 教授)
課題の要旨 X線天文衛星で観測されたX線放射を伴う天体活動現象を、重力まで含めた3次元磁気流体として数値解析し、実験してきた。このプラットフォームに自己重力、放射冷却、熱伝導等のモジュールをプラグイン形式で接続したシミュレータを開発し、数値実験によってX線スペクトルの時間変動等を求めて観測と比較する。
課題名 X線CCDの新しいイベント検出方法の確立とそのシミュレーション
代表者 宮田 恵美(大阪大学 助手)
課題の要旨 天体からの微弱X線検出のため、CCDの1画素より小さい穴のメッシュをCCDの前に配置し、CCD内部で生成される電子雲の形状を測定できるようにした。この結果を元にX線イベントのパターンを調べてX線入射位置とエネルギーを決定する手法を確立するための基礎開発として、大規模計算システムを作成し、実データに基づいたシミュレーションを行う。

This page updated on March 31, 1999

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