科学技術振興事業団報 第10号

平成9年2月24日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「スピン電子顕微鏡」を委託開発課題に選定並びに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、北海道大学大学院工学研究科電子情報工学専攻 教授 武笠 幸一(むかさこういち)氏らの研究成果である「スピン電子顕微鏡」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 エレクトロニクス分野の急速な進展に伴い、磁気ハードディスクや磁気テープ等の磁気記録媒体における記録情報量の高密度化が進んでいる。特にハードディスク分野では1990年代以降、10年で情報記録密度が100倍となるペースで開発が進んでいる。このため、情報1ビットに割り当てられる磁性体材料上の部位(磁区)の面積も微小化が進み、磁気記録分野における研究開発や生産現場において、高い二次元分解能で記録状態を直接評価しうる磁気計測技術が望まれている。
 本新技術は、試料表面にビーム径を絞った電子ビームを照射し、試料から放出される二次電子のスピン状態を検出することにより、磁性材料表面の微小磁区を観察する装置に関するものである。二次電子のスピン状態は試料表面の磁化状態を反映しており、本装置ではこれを測定するとともに二次電子放出部位の構造を観察することにより、磁性材料表面の磁気的状態と構造の測定を同時かつ詳細に行うことが可能である。本スピン電子顕微鏡は、10Gビット/(インチ)2の高密度記録状態の観察に対応する0.02μm程度の分解能が得られ、磁気記録材料を含む磁性材料全般の研究開発、特にハードディスク等の磁気記録媒体の研究開発及び生産工程での検査等に利用されることが期待される。
 本新技術の開発は、株式会社エイコー・エンジニアリング(代表取締役社長 高橋弘、本社 茨城県ひたちなか市山崎50番地、資本金1,800万円、電話029-265-7401)に委託し、開発期間は2.5年間、委託開発費は1.2億円を予定している。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「スピン電子顕微鏡」(背景・内容・効果)

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This page updated on March 3, 1999

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