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(News05 製品化)技術移転支援センター事業「良いシーズをつなぐ知の連携システム(つなぐしくみ)」支援課題「脳波のフラクタル解析に基づく感性志向型スポーツ用品の開発」 ボールを打ったときの心地よさを「脳波」の解析によって追求!爽快な打球感を持つ“気持ちいい”テニスラケットを開発!

脳波測定の様子 テニスラケットでボールを打ち返したとき、腕に伝わるラケットの振動と、「気持ちよさ」の関係を脳波を利用することで解析した。

 テニスのプレー中、ボールを打ちきった感覚が、じわーっと腕に伝わってきたときの気持ちよさを体験したことがある人は多いでしょう。その「気持ちよさ」をいつでも感じられるテニスラケットが、研究室と企業の協力によって現実の製品となりました。
 ある商品の使い心地を、実際に使用する人がどのように感じているか、正確に調査するのはとても困難です。従来はアンケートなどを利用して、統計的な分析を行うケースがほとんどでした。しかし、対象者の個性や年齢、地域などにより評価基準にばらつきが生じてしまうため、明解な解析結果を得られないという問題がありました。
 長岡技術科学大学の中川匡弘教授らのチームは、人が感じる「好き・嫌い」「快感・不快感」などの心の動きを、脳波を利用して的確に判定するシステムの開発を行っています。このシステムにより、「気持ちいい」と感じている人の脳波を測定し、「フラクタル次元解析」という手法で解析。感情を解析するための基準となる「感性モデル」を構築し、どのような脳波のときに「気持ちいい」と感じているかを具体的な数値として算出することに成功しました。この研究成果をもとに、中川教授らはヨネックス株式会社と共同開発に着手。「感性モデル」を用いて、テニスラケットでボールを打ったときの、ラケットに生じる振動と筋肉の動きを分析しました。そして、年齢や性別、体型にかかわらず、快適と感じる振動の強さを科学的に導き出したのです。
 製品化されたテニスラケットは、もっとも気持ちのよい打球感が得られる特性を持っています。高弾性のカーボンなどの素材を複数重ねあわせ、不快と感じる振動を排除し、気持ちいいと感じる振動のみを生み出せるよう工夫されています。
 今回のように、人が感じている「好き・嫌い」や「快・不快」を、脳波を使って解析する「感性情報工学」が、研究室を飛び出して実際の製品開発に活用されるのが常識になる日は、もうすぐそこまできているようです。



(News06 シンポジウム)10月29日(木)、シンポジウム“未来への挑戦”グリーン・ニューディール ‐世界、そして日本はどう変わるのか?‐

 米国・オバマ大統領は新たなアメリカのエネルギー政策、いわゆる「グリーン・ニューディール政策」を打ち出しました。
 太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを3年間で倍増させ、「家庭で充電できるプラグイン・ハイブリッド車を2015年までに100万台普及させる」などの具体的目標を掲げることによって、500万人規模の雇用を想定しています。その規模の大きさから、「グリーン・ニューディール政策」は21世紀の“新アポロ計画”とも呼ばれています。
 さらに、総額7800億ドル(約72兆円)を計上する「景気対策法」によって、IT技術による次世代型エネルギー網(スマートグリッド)や、公共施設の省エネルギー化、自動車用高性能電池の開発など、環境、および先端技術導入に配慮した、大規模景気対策がすでに始まっています。
 ドイツ、フランス、イギリスや中国、韓国など、アメリカ以外の国々も、いっせいに環境・エネルギー分野へ重点投資をする動きを見せており、「グリーン・ニューディール政策」は、産業界に新たなビジネスチャンスを生むばかりか、世界中の経済・社会に、大変革をもたらすとみられています。
 これを受けてJSTは、10月29日(木)に、東京・日本教育会館一ツ橋ホールにて「サイエンスアゴラ2009プレ・イベント シンポジウム“未来への挑戦”グリーン・ニューディール ‐世界、そして日本はどう変わるのか?‐」を開催します。
 産学官を代表する講師を一同に集め、産業界、アカデミア、行政機関に新たなる提言をすることを目的とし、活発な議論を行うことによって日本の進路を探っていきます。
 基調講演は米国 キュー・パラダイムのマネージング・ディレクター=ジェラルド・ハネ氏、および、JST研究開発戦略センター・吉川弘之センター長。パネルディスカッションには、東北公益文科大学・黒田昌裕学長、(財)地球環境産業技術研究機構・秋元圭吾グループリーダーをはじめ、多彩なパネリストが登壇する予定です。
 詳しくは、下記URLをご覧ください。

TEXT:設樂愛子