JST Front Line
新年にふさわしく、覚書締結、研究成果、開発成功、イベント、電子アーカイブと話題が満載。
2009年も、日本人ノーベル賞受賞者続出に沸いた昨年以上に、活気に富んだ1年になりそうです。

(News01 覚書締結)JSTとカリフォルニア再生医療機構(CIRM)との間で幹細胞研究の協力に関する覚書を締結。

覚書を締結した左からJSTの北澤理事長、京都大学の山中教授、CIRMのトロンソン理事長。当日は、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事からのお祝いのメッセージも読み上げられました。覚書を締結した左からJSTの北澤理事長、京都大学の山中教授、CIRMのトロンソン理事長。当日は、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事からのお祝いのメッセージも読み上げられました。

 約1年前、世界中に衝撃を与えたヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製成功を機に、体中のさまざまな細胞へと分化する幹細胞による再生医療の研究が、世界中で活発に行われています。その研究を1日でも早く実用化へつなげるべく、JSTとカリフォルニア再生医療機構(CIRM)が、2008年11月18日(火)に東京にて、幹細胞研究の協力に関する覚書に署名しました。
 CIRMは、再生医療を支援するためにカリフォルニア州が2005年に創設した、幹細胞研究に関する世界最大級の研究費配分機関です。JSTは、戦略的創造研究推進事業を通じて、京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞の作製を支援したほか、2008年に「人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術」(CREST)、「iPS細胞と生命機能」(さきがけ)という2つの研究領域を開始するなど、この分野の研究に積極的な支援を行っています。
 両者の橋渡しの役割を果たしたのは、iPS細胞の作製者である山中教授です。山中教授はかねてから、iPS細胞研究に関して国際間競争のみが強調されがちな傾向に大きな危惧を抱き、「国際協力なくして早期の応用実現はない」と主張していました。そこで、自身がカリフォルニア州のグラッドストーン研究所に研究の場を広げていたことなどから、CIRMとJST双方に働きかけ、提携を実現させたのです。
 「こうして日米間の協力体制が作られたことは、科学の進歩にとって歴史的な瞬間」(アラン・トロンソンCIRM理事長)、「まず未来を担う双方の若手研究者が一緒に研究し合う機会を作ることから始めたい」(JST北澤宏一理事長)と、両機関のトップも、今回の提携の意義の深さや決意を述べました。
 今後は、ジョイントスクールやシンポジウム、セミナー、研究者の交流、さらには共同研究などを通じ、日米両国のみならず、世界中の人たちを救う再生医療の実現を目指していきます。


(News02 受賞)「先端計測分析技術・機器開発事業」の成果が2008年“超”モノづくり部品大賞「機械部品賞」を受賞!

受賞した“高耐圧金属微細流路部品”
検出の際たんぱく質が容易に吸着分解・消失する問題点を、部品内部の内径20マイクロメートルの微細流路に通すことで解決。この技術が評価されました。

 モノづくりの縁の下の力持ちである部品・部材にスポットを当てた懸賞制度「2008年“超”モノづくり部品大賞」の「機械部品賞」に、先端計測分析技術・機器開発事業の開発課題「超高感度質量分析のためのサンプル前処理・導入システムの開発」(チームリーダー:夏目徹・産業技術総合研究所研究チーム長)の成果が選ばれました。プロジェクトに参加し、金属微細加工技術で開発のポイントとなる微細流路の開発に貢献した(株)テクニスコが応募し、受賞したものです。
 受賞対象の「高耐圧金属微細流路部品」は、超微量のたんぱく質検出の前処理のために開発され、従来の200倍以上の飛躍的な高感度化を実現。さらにこの技術を用いて高輝度発光ダイオード(LED)用水冷ヒートシンクなどを開発し、燃料電池など幅広い用途への応用も期待されることが評価の対象となりました。
 本開発課題は平成19年度に終了しましたが、20年度以降も新しい課題に引き継がれ、(株)テクニスコも参画し、新たな成果を目指して開発を進めています。