JST News Vol.4/No.5
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科学技術振興機構の最近のニュースから……
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味認識装置「味覚センサー」開発物語
味は主観だから測ることはできない! それは本当か? 客観性はないのか?
「おいしさ」に尺度を与える機械「味覚センサー」の実用化に成功した、
1人の研究者と1人の企業人による開発物語。
Topics01
水中での有機合成反応の開発
Topics02
JST情報事業50周年特別インタビュー
浅田 稔 大阪大学大学院工学研究科教授
日本科学未来館の耳より情報

目盛りは科学への入口である

【メスシリンダー】

 小中学校での理科・化学の授業で、ビーカー、フラスコ、シャーレ、試験管などと並ぶ花形がメスシリンダーである。しかも、前四者が反応・加熱・蒸留・培養などの実験に使われるのに対し、メスシリンダーだけは「測定」のための器具であるという特徴がある。
 メスシリンダー(独:Meβzylinder、英:messcylinder)のメスは、「測る・計る」を意味するドイツ語「messen」に由来し、シリンダーは「円筒・円柱」を意味するギリシア語「kýlindros」に由来する。その名の通り円筒状のガラス器であり、外側に表示された目盛り線(標線)を読むことで、中に入れた液体の体積を測定する器具(体積計)である。容量は小は5mlから大は2ℓ以上まであり、口径も高さもまちまちだが、100〜500mlのものがよく使われる。
 さて、科学というものの基本的性格の1つに「定量化」がある。事物の質や状態を数値に置き換えて表すことである。その際、対象を正確に「測定」する作業が定量化の不可欠の前提となることは言うまでもない。逆に言えば、測定とは優れて科学的なものの見方への入口なのである。
 その意味で、小中学校でメスシリンダーの扱いや目盛りの読み取り方を学ぶことには、大きな意義がある。たとえば、目盛りを正確に読むには目線を液面と水平の位置に置く。あるいは、メニスカス(狭い管内の液体は、液体自身の凝集力と管内壁との付着力に応じて、表面が水平に対して凹になったり凸になったりする。その湾曲した表面のことをメニスカスという。もとはギリシア語(「三日月」の意)で、その最深部、つまり湾曲した表面の下端または上端を読む。こういった知識を得ることによって、小中学生は科学的な態度や技術というものにまず触れる。そして、より精密な体積計であるメスフラスコ、ピペット、ビュレットへの興味をかきたてられる……ということになれば素晴らしいのだが。
(文・西田節夫)



JST News 発行日/平成19年8月
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