JST News Vol.4/No.4
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科学技術振興機構の最近のニュースから……
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理科の授業が楽しみになる!
理科教育の現場で大きな注目を集めているデジタル教材。
映像や音声を駆使した新しいコンテンツの数々が、授業をより魅力的にし、子どもたちの目を輝かせている。
その現状を学校と制作者の生の声から探ってみた。
Topics01
持続可能な都市水利用システムの構築を目指して
Topics02
大学等向け特許・文献統合データベースの無償提供
赤井 恵 大阪大学大学院工学研究科助教
日本科学未来館の耳より情報

入れるのは試薬だけか?

【試薬瓶】

 当然のことながら化学の実験や分析では、さまざまな化学物質の反応や合成を行うが、その際、物質に不純物が混ざっていては正確なデータは得られない。そこで現在では、JISなどの公定規格に基づいて一定の品位が保証された数万種もの化学物質が、メーカーによって製造されている。これが「試薬」(reagent)である。“薬”という呼び名にはそぐわないが、例えば塩酸や硫酸、亜鉛や硫黄などももちろん試薬である。
 試薬やその反応によって得られた物質・溶液を保存するための容器が「試薬瓶」(reagent bottle)。そのほとんどがガラス製であるのは、合成樹脂の容器などに比べて中の試薬の化学作用や熱・電気的性質に対する耐性が高いという理由による。同じ理由から栓もまたガラス製である。このような瓶と栓が同じ材質からできている瓶を「共栓(ともせん)瓶」という。表紙の試薬瓶は、固体の試薬が取り出しやすいように口が広くなっている「広口共栓瓶」である(液体用には口の細くなった「細口共栓瓶」が使われる)。
 さて、ガラスは塑性がないので、気密性を高めるために栓と瓶の接合面に細かいすり傷を与えて不規則な凹凸をつくりだす、いわゆる「摺り合わせ」が施される。これでピッタリと密着するのはいいのだが、そうなると今度は、栓が抜けないという事態がしばしば発生する。そこから、栓を横から交互に押すとか、机の端で軽くたたき続けるとか、瓶の頸の部分をわずかに熱したうえで栓を揺り動かすとか、涙ぐましい努力がつづけられることになるのである。実際、試薬瓶を扱ったことのある者で、どうやっても栓が抜けず途方にくれるという経験をしたことのない者はいないだろう。
 この試薬瓶、最近では、その機能性に徹したデザインが若い人たちに受けて、シャレたインテリア小物や調味料の壷として使われているらしい。なるほど、ビーカー、フラスコ、シリンダーと、たしかに実験器具には「実用の美」があるように思われるのである。
(文・西田節夫)



JST News 発行日/平成19年7月
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