新技術事業団報 第693号

平成8年6月27日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「酸化物超電導材料(Bi系超電導線)の製造技術」の開発に成功

 新技術事業団(理事長 松平 寛通)は、東京理科大学教授 笛木和雄氏、東京大学教授 北澤宏一氏、東北大学教授(元科学技術庁金属材料技術研究所総合研究官)前田弘氏らの研究成果である「酸化物超電導材料(Bi系超電導線)の製造技術」を当事業団の委託開発制度の平成 2年度選定課題として平成3年3月から平成8年3月にかけて住友電気工業株式会社(社長 倉内憲孝、本社 大阪府大阪市中央区北浜4-5-33、電話(06)220-4141、資本金約 672億円)に委託して開発を進めていた(開発費約9億27百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 合金系超電導材料が液体ヘリウム(約−269℃)での冷却を必要とするのに比べ、酸化物超電導体は液体窒素(約−196℃)を利用することができることから、広い応用分野への展開が期待されている。しかし、酸化物超電導材料は、層状の結晶構造に基づく異方性の強いセラミックスであり、結晶粒度、結晶粒界や結晶の配向性及び微細構造等が超電導特性(臨界温度、臨界電流密度、臨界磁場等)と密接な関係をもつことから、精緻なプロセス技術の開発が望まれていた。
 本新技術は、ビスマス、ストロンチウム、カルシウム、銅等からなるビスマス系酸化物超電導体を使用して、液体窒素温度で利用可能な超電導線を製造するもので、その製造過程において、塑性加工(伸線、圧延など)や焼結のプロセスを精密に制御することにより、超電導線に要求される特性を得るものである。
 本新技術による超電導線は、長さ1,000m以上で16,000A/cm2 以上と世界最高の臨界電流密度を持つことから、電力ケーブル、マグネット用コイル線や金属系超電導マグネット用パワーリードなどの分野で利用されることが期待される。

「酸化物超電導材料(Bi系超電導線)の製造技術」(背景・内容・効果)

写真:酸化物超伝導線

 
(*) この発表についての問い合わせは、 管理部管理課  内野、齋藤 [電話(048)226-5625]までご連絡下さい。
(企業連絡先)
   住友電気工業株式会社大阪研究所超電導研究部
主任研究員 林 和彦 [電話(06)466-5639]


This page updated on April 14, 1999

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