本新技術の背景、内容、効果は次の通りである。
ごみの焼却灰の資源化技術の開発が要請されている |
ごみを焼却することにより、有機物、臭気成分等は高温熱分解され、体積で約5%、重量で10〜15%程度に減少する。焼却処理はごみの中間処理に広く利用されており、我が国全体では総排出量のおよそ7割が焼却され、年間数百万トン規模の焼却灰が生じているものとみられる。
我が国のごみの総排出量は長期的には増加する傾向にあり、ごみ埋立処分場の残余容量には減少傾向が見受けられるので、焼却灰の資源化技術の実現が強く望まれている。
焼却灰に酸化物系固化剤、少量のポルトランドセメント等を加え固化体を形成 |
本新技術は、焼却灰に酸化物系固化剤、少量のポルトランドセメント及び水等を加え固化反応を生起させ、各種形状の固化体を形成する技術に関するものである。
近年、焼却灰の安定化、有効利用を目指した研究が各所でなされ、低温処理プロセスとしてセメント固化法、高温処理プロセスでは溶融固化法などがある。
新技術の研究者らは、低温処理プロセスに関する研究にターゲットを絞り、焼却灰に酸化物系固化剤、少量のポルトランドセメント、水等を加え混練、成形することにより、路盤材など土木分野等で利用するのに十分な強度を有し、弱アルカリ性の固化体が得られることを見いだした。
焼却灰に含まれる可能性がある金属成分の溶出の程度は、固化体のpH値に左右される。一般に、金属成分の溶出を低減するには、固化体の性質が弱アルカリ性であることが望ましいとされている。
新技術のよる固化体が弱アルカリ性を示す理由は、(1)弱アルカリ性のポルトランドセメントの添加量が相対的に少なく、さらに(2)ポルトランドセメントと水が反応して生成するアルカリ成分と焼却灰、固化剤に含まれるシリカ等が結合するからであると考えられる。
新技術による焼却灰固化・資源化の工程は(1)大型異物除去工程、(2)乾燥工程、(3)破砕処理工程、(4)金属除去工程、(5)固化剤混合工程、(6)成形・養生工程等から構成される。
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路盤材等に用いるのに十分な強度を有し、金属成分の溶出を低減できる |
本新技術による焼却灰固化・資源化システムは、
(1) | 固化体は路盤材等に用いるのに十分な強度を有し、金属成分の溶出を低減できる。 |
(2) | 水溶液キャスティング法により1.2m幅のフィルムを連続して製膜可能。 |
などの特徴を持つため、
1. | 焼却灰の資源化(路盤材、土木工事用補強材、漁礁材等) |
2. | 焼却灰の飛散防止、安定化 |
などに広く利用されることが期待される。
This page updated on April 14, 1999
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