心表象プロジェクトの概要


 本共同研究は当事業団の「国際共同研究事業」として行うもので、研究実施場所は、マサチューセッツ工科大学など2ヵ所を予定している。研究期間は平成8年1月から5年間の予定で、ヒトの高次認知機能の解明について研究を進める。
 ヒトは進化の過程で、言語の使用、推論、思考など、「高次認知機能」と呼ばれる高度な知的能力を獲得した。この機能が脳の中のどの領域のどのような活動によって現れるのか、また、脳のどのような構造に支えられているのかについては、未だ解明されていない。
 高次認知機能の解明には、心と脳の両面からの解析が必要である。これまで、心の働きをモデル化する試みは認知科学が担い、ヒトの言語機能の習得過程や遺伝的制約の解析などに成果を上げてきた。また、脳の働きにアプローチする試みは神経科学が担い、脳の非侵襲計測画像技術により、ヒトの脳機能の解析に成果を上げてきた。
 本研究では、認知科学と神経科学を融合させ、言語習得、思考や記憶など、高次認知機能に係わる脳の活動を、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)などの非侵襲計測画像技術を駆使して計測・解析することにより、高次認知機能発現の仕組みの解明を目指す。
 この研究により、ヒトの高次認知機能、特に記憶や言語の機能に関する基礎的な知見が得られることが期待される。また、臨床面においては、脳活動の画像化技術による老年痴呆や脳血管障害の診断法の進歩に寄与し、脳ドックなどの予防医学の発展に役立つことが期待される。


This page updated on May 14, 1999

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