非接触式歯車歯面測定装置


本新技術の背景、内容、効果は次の通りである。

(背景)
さらに測定精度が高く、測定時間の短い、歯車歯面の自動測定方法が望まれている。

 歯車は、OA機器、自動車、精密機械など多くの分野で欠くことのできない存在である。歯面の形状精度は回転精度、振動、騒音、強度的信頼性などに大きく影響するために、その測定精度の向上、測定時間の短縮を可能にする新たな方法が切望されている。従来より針で面をなぞる接触式測定法が用いられてきたが、測定精度を上げるには測定回数が多くなるために時間がかかり、さらに、針や面が歪んだり傷ついたりするために、測定時間の短縮や測定精度の向上には限界があった。

(内容)
針のかわりに光を歯車歯面に当てて形状を測定する非接触式歯車歯面測定装置の製造技術の確立

 鏡面のような滑らかな面に対しては光計測の利用が進んでいる。しかし、歯車歯面のような粗な面に対しては光を当てると反射光が散乱してしまうために光計測が困難なものとされていた。本技術では、光を面すれすれに入射させると反射光が散乱されにくくなるという現象に着目し、この現象を利用した形状測定装置を実現する。光を面すれすれに当てて、その反射光のデータから面の形状を捉えるのであるが、本研究者らは測定精度が高く測定時間が短くなるようなデータ処理方法を見いだしたことで実用化の道を開いた。
 光を使って形状を測定する方法として反射光を別の光とをスクリーン上で重ね合わせて干渉させる方法が良く使われる。スクリーン上には光と光が合わさってできた干渉じまが見られる。このしまは地図でいう等高線のようなものであるために地形を知るように面の形状を知ることができる。本技術でもこの干渉じまを使って測定を行う。しかし、面すれすれに光を入射した時でも反射光のなかに多少の散乱光が含まれているため、干渉じまがぼやけてしまいそのままでは測定精度が向上しない。そこで本技術では光を当てる条件を変えながら幾つかの干渉じまをCCDカメラで記録して、そのデータを独自の方法によりコンピュータで処理してきれいな干渉じまを得ることで精度の高い測定を可能にした。得られた面形状は、ディスプレイにカラー映像で表示されるために測定結果が非常に分かりやすい。さらに、設計値をあらかじめコンピュータに入力しておけば、その誤差を測定することもできる。また、針で測定する時のように多数の測定点を集めて形状を把えるのではなく、光を当てた面を一度に測定できるので測定時間を短くすることができる。自動測定も可能にするため使いやすい装置になることも期待される。

(効果)
高精度かつ短時間で歯車歯面など表面粗さの大きな曲面の形状を自動測定することができる。

  本新技術による非接触式測定装置は

(1) 歯車歯面など表面粗さの大きな曲面形状を、非接触で精度良く測定できる。
(2) 照射面全体の形状を一度に測定することができ、測定時間の短縮が可能になる。
(3) CCDイメージセンサの導入などにより使用環境に対する許容度を向上させ、取扱いを容易にする。
(4) 被測定物の形状誤差を求める際に、設計値とのズレをコンピュータによって算出することができ、より正確な値が得られる。

などの特徴を持つため、

(1) 歯車の回転精度、振動、騒音などに大きく影響する歯面形状の高精度測定
(2) 光ディスクの金型、タービンの翼、などの面形状測定

などに広く利用されることが期待される。


This page updated on May 6, 1999

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