新技術事業団報 第664号

平成7年11月6日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「電子線照射による高耐熱性炭化けい素繊維の製造技術」の開発に成功

 新技術事業団(理事長 松平 寛通)は、日本原子力研究所(理事長 下邨昭三)高崎研究所材料開発部次長 瀬口忠男氏、大阪府立大学教授 岡村清人氏らの研究成果である「電子線照射による高耐熱性炭化けい素繊維の製造技術」を当事業団の委託開発制度の平成3年度選定課題として平成4年2月から平成7年8月にかけて日本カーボン株式会社(社長 太田 博、本社 東京都中央区八丁堀2-6-1、電話(03)3552-6111、資本金約74億円)に委託して開発を進めていた(開発費約12億35百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 セラミックスと無機繊維を複合した繊維強化セラミックス基複合材は、耐熱性複合材の中心になるものと考えられているが、従来の無機繊維の耐熱温度は、最も優れている炭化けい素繊維でも1200℃にとどまっており、そのため、セラミックス基複合材の耐熱性は無機繊維により制約されている。
 炭化けい素繊維は、原料のポリカルボシランを溶融紡糸し、高温で焼成して製造しているが、融点が低いポリカルボシランが焼成中に融着するのを防止するため、焼成を行う前にポリカルボシランを空気中で加熱・酸化する不融化処理を行っていた。そのため、製造された炭化けい素繊維には12wt%程度の酸素が結合しており、1200℃以上で炭化けい素繊維を使用すると、この繊維に結合した酸素が離脱し、繊維強度の劣化が生じていた。
 本新技術は、不活性ガス中でポリカルボシランの繊維に電子線を照射して架橋させる不融化処理により繊維への酸素の混入を防ぎ、1700℃の耐熱性と高い引張弾性率を有する炭化けい素繊維を製造するもので、得られた繊維はセラミックスとの複合材として発電用高温ガスタービンや航空機ジェットエンジン等への利用が期待される。

「電子線照射による高耐熱性炭化けい素繊維の製造技術」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、
     管理部管理課 内野、齋藤   
     〔電話(048)226-5625 〕までご連絡下さい。      
  (企業連絡先)日本カーボン株式会社研究所開発管理課長 原田博文   
     〔電話(045)459-7708 〕


This page updated on May 6, 1999

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