評価
本新技術における生体置換型有機無機複合人工骨とは、生体模擬環境下において骨類構造を持つ水酸アパタイト・コラーゲン複合繊維を合成し、その繊維を原料として作製したスポンジ状多孔体である。生体骨と極めて類似した構造および組成を有しているため、生体内における骨リモデリングサイクルに取り込まれ、自家骨に置換するという特徴を有する。また、弾力性があって変形するため、複雑な形状の骨欠損部に適切に移植することが可能であり、次世代人工骨として社会に貢献することが期待されている。
本開発では、製造条件を最適化し、医療用具GMP基準に準拠した多孔体の製造技術を確立した。非臨床試験で既存製品に対する優位性を実証した。
現在では臨床試験が完了し、術後の一定期間の経過観察において、骨へ置換された症例数が比較対照品に比べて多く、特に24週での著効率が高いという結果が得られており、有効性が示された。
また、副作用が一部確認されたが、白血球数やCRP値の変化は一過性であり、比較対照品に比べて有意差が無いと結論されており、安全性に問題は見られていない。開発実施企業は、本臨床試験結果を基に薬事法に基づく製造販売承認を申請しており、承認取得の見通しがある。
以上の委託開発実施結果から、成否認定基準を達成し、成功終了とするのが適当であると考える。
評価者 | 独創的シーズ展開事業 委託開発 プログラムディレクター 林 善夫 プログラムオフィサー 小舘 香椎子、吉村 進、桐野 豊 |
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評価日 | 平成24年5月7日 |