研究成果展開事業「先端計測分析技術・機器開発プログラム」は、日本の将来の創造的・独創的な研究開発を支える基盤の強化を図るために、革新的な先端計測分析技術や機器およびその周辺システムなどの開発を目的とするプログラムです。
平成25年度の公募にあたっては、「一般」、「ライフイノベーション」(平成25年度新規)、「グリーンイノベーション」、「放射線計測」の4領域を設定し、開発課題の公募、採択を行いました。
我が国は世界で最も急速に高齢化が進行するとともに、人口の減少に直面しており、今後、ますます深刻となる医療や介護の問題について、その解決の方策を見出すことが喫緊の課題となっています。そのため、第4期科学技術基本計画では、我が国の将来にわたる成長と社会の発展を実現するための主要な柱の1つとして、「ライフイノベーション」が明記されています。ライフイノベーションの推進においては、疾患の早期診断や発症前診断をはじめ、患者への負担が少ない非侵襲・低侵襲な診断技術・機器の開発や、疾患マーカーの同定に繋がる革新的な計測分析技術・機器の開発が必要不可欠です。また、現在の医療や研究の現場では、国産機器のシェアが低下傾向にあり、ライフイノベーションの推進を担う基盤が諸外国の技術・機器・システムに頼らざるを得ない状況となっており、国産の技術・機器の開発を推進する重要性が増しています。
そこで、本プログラムでは平成25年度に、重点開発領域として「ライフイノベーション領域」(領域総括:榊 佳之(豊橋技術科学大学 学長)、領域副総括:菅野 純夫(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授))を新設し、ターゲット(マーカーや症状)を測定するための診断技術・機器の開発、および、ターゲットの解明に?がる革新的な計測分析技術・機器の開発を推進することを目的として公募を行いました。
再生可能エネルギーの効率的な利用やエネルギーの効率的な変換・蓄積等に関して研究開発が進められており、そのうち、太陽光発電・蓄電池・燃料電池の研究開発においては、その飛躍的な性能向上や低コスト化を達成するため、発電システムの評価・診断や電池内部の物質挙動の可視化等を可能とする計測分析技術・機器の開発が求められています。そのため、本プログラムにおいて、昨年度から引き続き、重点開発領域として「グリーンイノベーション領域」(領域総括:佐藤 祐一(神奈川大学 名誉教授))を設定しました。
具体的には、「太陽光発電」、「蓄電池」、「燃料電池」に関して、その飛躍的な性能向上と低コスト化を目指した優れた研究開発成果創出を図る上でのボトルネックとなっている計測分析技術・機器・システムのうち、研究開発現場の利用ニーズに応えることが可能で、かつ高い独創性・新規性が認められる技術・機器・システムを開発するために公募を行いました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の影響から復興と再生を遂げるため、放射線計測に関して、行政ニーズ、被災地ニーズなどが高い高度な技術・機器およびシステムを開発するために、昨年度から引き続き、重点開発領域として「放射線計測領域」(領域総括:平井 昭司(東京都市大学 名誉教授))を設定しました。
具体的には、放射線量および放射能濃度の迅速かつ高精度・高感度な把握を可能とするプロトタイプ機の開発、性能実証およびシステム化を行い、プロトタイプ機を実用可能な段階まで仕上げる開発を行うために公募を行いました。
類型 | 要素技術タイプ | 機器開発タイプ | 実証・実用化タイプ |
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開発期間 | 3.5年以内 | 5.5年以内 | 2.5年以内 |
開発内容 | 要素技術の開発 | プロトタイプ機の開発 | プロトタイプ機の性能実証、 高度化、システム化 |
到達目標 | 既存の技術または機器から飛躍的に性能を向上する、オンリーワン・ナンバーワンの技術または機器を開発する | 開発した機器・システムを実用可能な段階(開発期間終了時に受注生産が可能)まで仕上げる | |
チーム構成 | 産と学・官が連携注1) | 産と学・官が連携 (チームリーダーは企業) |
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採択予定数 | 数課題程度 | 数課題程度 | 数課題程度 |
開発費の目安 (直接経費) |
20百万円程度/年 | 50百万円程度/年 | 40百万円程度/年(JST負担額) |
全額JST支出 | マッチングファンド形式 |
注1)要素技術タイプについて、平成24年度公募では、産と学・官が連携したチーム構成による申請を要件としましたが、平成25年度は、革新的な提案を幅広く募ることの重要性を鑑み、産と学・官が参画した体制構築を開発者に求めることを基本としつつ、各種コーディネータもしくは企業の研究開発関係者による見解がある場合においても産学連携の要件を満たすこととし、学・官による単独申請も可能とします。
(カテゴリー1)ターゲット(マーカーや症状)を測定するための診断技術や機器・システムの開発 | |||
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類型 | 要素技術タイプ | 機器開発タイプ | 実証・実用化タイプ |
開発期間 | 3.5年以内 | 5.5年以内 | 2.5年以内 |
開発内容 | 要素技術の開発 | プロトタイプ機の開発 | プロトタイプ機の性能実証、 高度化、システム化 |
開発目標 | 同定されたターゲット(マーカーや症状)を測定するための診断技術(要素技術タイプ)又は診断機器を開発(機器開発タイプ) | 開発したプロトタイプ機・システムを治験実施可能な段階まで高度化・最適化 | |
チーム構成 | 産と学・官が連携し、かつ医師が参画注2)した開発チームを編成 | 産と学・官が連携し、かつ医師が参画注2)した開発チームを編成(チームリーダーは企業) | |
採択予定数 | 数課題程度 | 数課題程度 | 数課題程度 |
開発費の目安 (直接経費) |
30百万円程度/年 | 50百万円程度/年 | 40百万円程度/年(JST負担額) |
全額JST支出 | マッチングファンド形式 |
(カテゴリー2)ターゲットを解明するための計測分析技術・機器の開発 | |||
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類型 | 要素技術タイプ | 機器開発タイプ | 実証・実用化タイプ |
開発期間 | 3.5年以内 | 5.5年以内 | 2.5年以内 |
開発内容 | 要素技術の開発 | プロトタイプ機の開発 | プロトタイプ機の性能実証、 高度化、システム化 |
開発目標 | ターゲット(マーカーや症状)を解明するための革新的な計測分析技術(要素技術タイプ)又は機器を開発(機器開発タイプ) | 開発した機器・システムを実用可能な段階(開発期間終了時に受注生産が可能)まで高度化・最適化 | |
チーム構成 | 産と学・官が連携臨床医の参画注3)を推奨 | 産と学・官が連携(チームリーダーは企業)、臨床医の参画注3)を推奨 | |
採択予定数 | 数課題程度 | 数課題程度 | 数課題程度 |
開発費の目安 (直接経費) |
30百万円程度/年 | 50百万円程度/年 | 40百万円程度/年(JST負担額) |
全額JST支出 | マッチングファンド形式 |
注2)申請には、医師(大学病院等において、日常的に患者の診察に従事している者や臨床開発研究に精通している者)が、少なくともチームリーダー/サブリーダー/分担開発者のいずれかとして参画することを必須とします。
注3)申請には、医師(大学病院等において、日常的に患者の診察に従事している者や臨床開発研究に精通している者)が、少なくともチームリーダー/サブリーダー/分担開発者のいずれかとして参画することを推奨します。
類型 | 要素技術タイプ | 機器開発タイプ | 実証・実用化タイプ (平成25年度新規) |
---|---|---|---|
開発期間 | 3.5年以内 | 5.5年以内 | 2.5年以内 |
開発内容 | 要素技術の開発 | プロトタイプ機の開発 | プロトタイプ機の性能実証、 高度化、システム化 |
到達目標 | 既存の技術または機器から飛躍的に性能を向上する、オンリーワン・ナンバーワンの技術または機器を開発する | 開発した機器・システムを実用可能な段階(開発期間終了時に受注生産が可能)まで仕上げる | |
チーム構成 | 産と学・官が連携 | 産と学・官が連携(チームリーダーは企業) | |
採択予定数 | 数課題程度 | 数課題程度 | 数課題程度 |
開発費の目安 (直接経費) |
30百万円程度/年 | 50百万円程度/年 | 40百万円程度/年(JST負担額) |
全額JST支出 | マッチングファンド形式 |
類型 | 実用化タイプ |
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開発期間 | 2.5年以内 |
開発内容 | プロトタイプ機の開発、性能実証、システム化、その他実用化を促進するための新たな技術開発 |
到達目標 | 開発した機器・システムを実用可能な段階(開発期間終了時に受注生産が可能)まで仕上げる |
チーム構成 | 産と学・官が連携(チームリーダーは企業) |
採択予定数 | 数課題程度 |
開発費の目安 (直接経費) |
60百万円程度/年 (開発期間終了時点からさかのぼって最低1年間は、JST負担額含む) |
開発期間終了時点からさかのぼって最低1年間以上はマッチングファンド形式。その他はJST支出 |
選考は、以下の観点に重点を置いて実施しました。
・要素技術タイプ
開発する技術・手法について、
・機器開発タイプ
開発する技術・機器について、
・実証・実用化タイプ
開発する機器・システムについて、
・要素技術タイプ
開発する技術・手法について、
・機器開発タイプ
開発する診断機器について、
・実証・実用化タイプ
開発する機器・システムについて、
・要素技術タイプ
開発する技術・手法について、
・機器開発タイプ
開発する計測分析機器について、
・実証・実用化タイプ
開発する機器・システムについて、
・要素技術タイプ
開発する技術・手法について、
・機器開発タイプ
開発する技術・機器について、
・実証・実用化タイプ
開発する機器・システムについて、
・実用化タイプ
開発する機器・システムについて、
・知的財産権の管理体制が明確になっており、取得やライセンス方針が適切であること
・その他、国益に繋げるための一層の工夫が提案されていれば、積極的に評価する