JST(理事長 中村 道治)は、欧州委員会研究イノベーション総局(EC DG RTD)注1)と共同で「希少元素代替材料」に関する3件の共同研究課題を支援することを決定しました。この支援は、国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)注2)「日本-EU共同研究」注3)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1) 「バイオマス変換反応のための普遍元素触媒」
(研究代表者:北海道大学 触媒科学研究センター 上田 渉 教授、アイントホーフェン工科大学 化学工学科 エミエル・ヘンセン 教授)
本課題は、容易に入手可能な元素による多機能構造触媒を創出し、バイオマス反応を発展させることでバイオマス資源の化学利用を目指す研究です。
(2)「イリジウムを代替するホイスラー合金」
(研究代表者:東北大学 金属材料研究所 高梨 弘毅 教授、ヨーク大学 電気学科 廣畑 貴文 准教授)
本課題は、希少元素フリー反強磁性ホイスラー合金薄膜を創製することで、イリジウム消費量の削減、資源の保護を目指す研究です。
(3) 「単層カーボンナノチューブ薄膜によるインジウム代替」
(研究代表者:東京大学 大学院工学系研究科 丸山 茂夫 教授、アールト大学 応用物理学科 エスコ・カウピネン 教授)
本課題は、希少金属であるインジウムを含むITOやIGZOを完全に代替する高性能カーボンナノチューブ(CNT)薄膜の開発を目指す研究です。
今回の共同研究課題の募集では33件の応募があり、これらの応募課題をJSTの研究主幹と日本側およびEU側の外部専門家により評価しました。その結果をもとにJSTとEC DG RTDが協議を行い、研究内容の優位性や共同研究の有効性などの観点から、日本とEUがともに支援すべきと合意した3件を支援課題として決定しました。日本側、EU側とも本年9月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間で支援額は研究課題あたり総額2億円(上限)を予定しています。