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別紙2

平成25年度 新規実装プロジェクト(成果統合型)の概要

1.実装プロジェクト名:「国際基準の安全な学校・地域づくりに向けた協働活動支援」

実装代表者名::山本 俊哉(一般社団法人 子ども安全まちづくりパートナーズ 代表理事/明治大学 理工学部 教授)

概要:

本プロジェクトは、「犯罪からの子どもの安全」研究開発領域(平成19〜24年度)で得られた複数の研究開発成果を統合・集約し、安全・安心な地域および学校づくりの持続的な取り組みを支援する仕組みを構築する。モデル地域として、神奈川県厚木市および厚木市立清水小学校でのセーフコミュニティ(SC)注1)インターナショナルセーフスクール(ISS)注2)の認証取得(再認証を含む)に向けた取り組みを支援することを通じて、安全・安心な地域・学校づくりの持続的な仕組みの構築を目指す。さらに、「全国セーフコミュニティ推進自治体ネットワーク会議(SCネットワーク会議)」や種々の情報発信を通じて他地域への展開を図り、自治体、学校、地域社会と協働し、領域の成果である科学的根拠に基づく支援活動を実装していく。

具体的には、子どもの傷害情報データベース注3)や、子どもの自尊感情を育て主体的に危険から身を守るe−learning教材注4)などの成果を統合し、「外傷記録評価システム」、および「ISS版総合安全学習プログラム」を構築するほか子どものヒヤリ・ハット調査に基づく、防犯活動支援ツール注5)や、子どもの加害・被害防止の対人関係能力育成プログラム注6)、地域ぐるみでインターネットを介したトラブルから子どもを見守るシステム注7)などの成果を、「SC版総合安全学習プログラム」の研修メニューとして組み込むことを予定している。また、SC・ISSへの取り組みの効果を評価する「安全意識評価システム」を構築することで、科学的根拠に基づいた記録・分析・評価のプログラム作成・実行を総合的に支援し、SC・ISSの認証取得に向けて取り組む関係者の負担軽減と、関係者のパートナーシップにもとづく安全・安心な街づくりの協働を促進する。

これら一連の活動によって得られた認証支援プログラムやその適用事例などの成果は、本プロジェクトでつくる「協働促進Webサイト」で公開し、SCネットワーク会議の参加自治体(2013年1月現在、12市町村)をはじめ、SC取り組み表明・検討の自治体(約30地域)やISS認証に係る地域組織などで、広く活用されるようにする。これらの活動を通じて、安全・安心の向上に向けた地域・学校の取り組みが広がり、持続的に行われることが期待される。

研究開発成果実装支援プログラム(成果統合型)
注1、2) セーフコミュニティ(SC)、インターナショナルセーフスクール(ISS)
地域ぐるみまたは学校ぐるみで取り組む、安全性向上プログラムの国際認証のこと。安全性向上に向けて取り組む仕組みが構築され機能していることが評価される。国内の取得状況(2012年度末時点)は、SCは取得6自治体、取得表明9自治体、検討14自治体、ISSは3校となっている。
注3) 「虐待など意図的傷害予防のための情報収集技術および活用技術」プロジェクト(山中 龍宏 代表)
注4) 「犯罪からの子どもの安全を目指したe−learningシステムの開発」プロジェクト(藤田 大輔 代表)
注5) 「子どもの被害の測定と防犯活動の実証的基盤の確立」プロジェクト(原田 豊 代表)
注6) 「犯罪の被害・加害防止のための対人関係能力育成プログラム開発」プロジェクト(小泉 令三 代表)
注7) 「こどものネット遊びの危険回避、予防システムの開発」プロジェクト(下田 太一 代表)

2.実装プロジェクト名:「科学技術イシューの議題構築に向けた媒介機能の実装」

実装代表者名:田中 幹人(早稲田大学 政治経済学術院 准教授/一般社団法人 サイエンス・メディア・センター リサーチ・マネージャー)

概要:

原子力、エネルギー、地球温暖化問題など早急に解決すべき多様な科学技術イシューが存在する中、東日本大震災を経て、科学技術への信頼回復、テクノロジーアセスメントの実施、政策立案・推進における国民参画の促進、リスク対応も含めた科学技術コミュニケーションの推進などに対する社会の要請が高まっている。

本プロジェクトでは、「科学技術と人間」研究開発領域(平成17〜24年度)の個々の試みの中で積み重ねられた成果や、発掘・養成された人材、ネットワークを統合して、リスク判断を伴う科学技術をめぐる社会問題(科学技術イシュー)に対して、日本社会としてどのように取り組むのかの議論を喚起・醸成する仕組みや、議論し意思決定していく仕組みを、整備・強化できる支援システムの構築を目指す。

具体的には、「科学技術情報ハブとしてのサイエンス・メディア・センターの構築」プロジェクト(瀬川プロジェクト)が中核を担う。さらに、具体的な科学技術イシュー(ナノテクノロジー、再生医療、エネルギー・環境、食の安全の問題など)への取り組みを通じ、当該領域の中でも普遍的な規範モデルや基盤形成に取り組んできた複数の研究開発成果注8)を統合・集約する。本プロジェクトの実装活動は、専門家などから発信されるトップダウン型と、市民や現場から生まれ出るボトムアップ型の2つのアプローチから、潜在的なリスクやすでに顕在化しつつある科学技術イシューを発見・抽出する。その科学技術イシューの状況や特性に応じて、社会技術モジュール(テクノロジーアセスメントの実装モデルやリスクコミュニケーション・モデル、さまざまな主体を対象とする対話の場のデザイン・方法論やノウハウ、媒介のガイドラインや事例データベースなど)を融合・適用し、いま何が問題で、どのように議論していけばよいのか、その情報や選択肢などを広く社会に提供する。科学技術イシューに関する人や情報、ノウハウなどの集積・流通機能を整備することで、社会的議題の構築を支援・媒介する機能を実装する。

研究開発成果実装支援プログラム(成果統合型)
注8)「先進技術の社会影響評価(テクノロジーアセスメント)手法の開発と社会への定着」プロジェクト(城山 英明 代表)
「市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織の開発」プロジェクト(平川 秀幸 代表)
「政策形成対話の促進:長期的な温室効果ガス(GHG)大幅削減を事例として」プロジェクト(柳下 正治 代表)
「アクターの協働による双方向的リスクコミュニケーションのモデル化研究」プロジェクト(飯澤 理一郎 代表)