JST(理事長 中村 道治)は、ベトナム科学技術省(MOST)注1)およびタイ国家科学技術開発庁(NSTDA)注2)と共同で、「ナノテクノロジー・材料」および「バイオマス・植物科学」分野に関する3件の共同研究課題を支援することを決定しました。この支援は、『東アジア・サイエンス&イノベーション・エリア構想注3)』共同研究プログラム(略称:e-ASIA JRP)の一環として行われるものです。
支援決定した課題は次の通りです。
<「ナノテクノロジー・材料」分野>
(1)「環境因子の影響理解に基づいたアジア地区における構造材料の腐食マッピング」
日本 | :独立行政法人 物質・材料研究機構 材料信頼性評価ユニット 篠原 正 グループリーダー |
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ベトナム | :ベトナム科学技術アカデミー 材料研究所 材料/損傷解析センター レ・ホンリエン センター長 |
タイ | :タイ国立科学技術開発庁 国立金属・材料技術研究所 材料信頼性研究ユニット チアンパイロット・アムニャイサック 博士 |
本研究交流は、構造用金属材料の大気による腐食に関連する環境因子(付着物の量や雨水中のイオン濃度など)や気象因子について、各国で測定しデータベース化することによって、金属材料の腐食に関わる因子をマップ化するとともに、それらを総合して、アジア地区に適した環境腐食性区分法の規格化を目指すものです。
(2)「東南アジアで深刻な病原体を検出するためのプラズモニックバイオセンサー」
日本 | :独立行政法人 物質・材料研究機構 高分子材料ユニット 三木 一司 グループリーダー |
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ベトナム | :ベトナム科学技術アカデミー 物質科学研究所 クワンリーム・グエン 所長 |
タイ | :タイ国立科学技術開発庁 国立ナノテクノロジー研究所 タララジ・ダラクル シニア・アドバイザー |
本研究交流は、金属ナノ粒子の合成技術およびセンサー技術、バイオマーカー技術を融合し、東南アジア地域で深刻な2つの疾病であるマラリアと子宮頚癌を検出するバイオセンサーの実現を目指すものです。
<「バイオマス・植物科学」分野>
(3)「最先端科学技術を用いたアジアにおけるキャッサバ分子育種の推進」
日本 | :独立行政法人 理化学研究所 植物科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム 関 原明 チームリーダー |
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ベトナム | :ベトナム農業遺伝学研究所 リ・フイハム 所長 |
タイ | :タイマヒドン大学 理学部 ナランガジャヴァナ・ジャランヤ 助教授 |
本研究交流は、最先端科学技術を重要な熱帯作物であるキャッサバの有用遺伝資源に適用することによって、有用遺伝子の単離・同定、さらに東南アジアにおける高収量・高付加価値キャッサバの分子育種推進を目指すものです。
今回の研究交流課題の募集(平成24年5月締切)では「ナノテクノロジー・材料」分野で11件、「バイオマス・植物科学」分野で3件の応募があり、これらの応募課題を日本側、ベトナム側およびタイ側の外部専門家により評価(平成24年6月開催の評価委員会)しました。JSTとMOST、NSTDAはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本、ベトナムおよびタイがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。日本側とタイ側は平成24年11月ごろ、ベトナム側は平成25年1月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。