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科学技術振興機構報 第903号

平成24年7月31日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)
Tel:03-5214-8404(広報課)
URL http://www.jst.go.jp

「小学校理科教員支援策検討合同委員会報告書」の発表について

ポイント

JST(理事長 中村 道治)は、小学校理科授業の充実および教員の理科指導力の向上を図るため、平成19年度より、小学校の5、6年生を担当する教員を対象に、理科における観察・実験活動をサポートする外部人材を「理科支援員」として配置する「理科支援員配置事業(以下、「本事業」)」を実施してきました。

この間、多忙な教員に対する理科授業充実のための支援や、理科に苦手意識を持つ教員に対する指導力向上支援など、一定の成果をあげてきました。しかし、本事業は、平成21年度の事業仕分けの評決などを踏まえ、平成24年度限りで終了することとなりました。

当機構では、本事業の終了により、小学校理科教育における教員サポートが低下する懸念があることから、本事業によって得られた成果やノウハウおよび課題などを検証・分析し明らかにすることにより、国や自治体などにおいて後継施策などが展開される際に参考となる知見を提供できることを期待して、外部有識者で構成される「理科教育支援検討タスクフォース小学校分科会」と「理科支援員配置事業推進委員会」による合同委員会を設置し、検討を重ね、このたび報告書としてまとめました。

報告書の主な内容などは以下の通りです。

<本事業の配置規模>

本事業は平成21年度から23年度までは、全ての都道府県・指定都市で実施されており、平成24年度までの6年間で、延べ約25,300校(複数年度に配置された場合は、複数カウント)に理科支援員約28,000人が配置され、実配置校数としては全小学校の約7割にあたる約14,200校になる予定です。

<事業成果アンケート調査結果(毎年度配置校を対象に実施)>

平成19年度から23年度までの5年間の事業成果アンケート調査において、理科支援員が配置されたことによる理科授業の充実や教員と児童の理科に対する意識に関して、次のような肯定的な回答を得ています。

  • ○授業の充実面:「観察・実験の回数」については6〜8割、「きめ細かな指導」「安全性」「理科室などの整理」「計画的な授業」については9割
  • ○教員の資質向上に対する意識面:「科学に関する話題の取り上げ」「多様な考えの採りいれ」「教員の理科への関心」「教材作成能力」「観察・実験の技術」については、いずれも7〜8割
  • ○児童の関心・意欲・理解面:「理科はおもしろい」「授業がわかるようになった」「理科の学習意欲」などは7〜8割

<本事業から得られた課題>

  • 配置期間について、配置方針の見直しにより単年度活用が多くなっており、理科支援員を複数年度活用した方が教員の理科指導にノウハウが蓄積し、高い自信につながるとの調査結果が見られることから、公平性の観点にも留意しつつ可能な範囲で、少なくとも2年以上継続して配置することが望ましいと考えられます。
  • 配置時間について、限られた時間数の中で一定水準の質と量を確保するためには、適切な配置時間数のガイドラインを示すなど、学校現場における運用を具体的にサポートすることが望まれます。
  • 支援員人材の確保と活用について、地域の実情などによって、退職教員、技術者OB、学生、その他地域人材など、さまざまな属性と経歴を持つ人材を安定的に確保し、効果的に活用していくことは困難であることから、理科支援員の経歴などを考慮した具体的な活動メニューを示すなど、教育委員会や学校をサポートしていくことが期待されます。

また報告書では、代表的な人材属性(退職教員・企業関係者・地域人材・学生)ごとに、活用の好事例も掲載しました。

これらの成果と課題などに加え、今まで国や地域などで取り組んできた小学校理科教育におけるさまざまな取り組みなどから得られた知見などを可能な限り広くまた深く、国、地方公共団体、産業界、地域社会などの関係者間で共有するとともに、相互にネットワークを構築し、さまざまな地域における有用な人材が小学校理科教育の充実に向けて連携・協働していけるようなしくみや体制づくりが期待されます。

今後、国や地方公共団体などで小学校理科教育の充実に向けた施策を検討する際に、この報告書が活用されることを期待しています。

※本報告書は、下記のウェブサイトからダウンロードできます。
http://gakushu.tokyo.jst.go.jp/scot/scot_houkokusho_h2407.pdf

※本報告書のデータのうち、理科支援員や理科専科教員の配置の有無を比較した調査結果は、科学技術振興機構報 第890号(6月15日)でも報告しています。

<添付資料>

別紙:小学校理科教員支援策検討合同委員会報告書(平成24年7月)【概要版】

<お問い合わせ先>

科学技術振興機構 理数学習支援センター 教員支援担当
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
担当:山末 進一(ヤマスエ シンイチ)、山岸 恒夫(ヤマギシ ツネオ)
Tel:03-5214-7634 Fax:03-5214-7635
E-mail: