理科支援員配置事業の概要
1.事業の目的
大学(院)生や退職教員、地域の人材などの有用な外部人材を、理科支援員として、小学校5、6年生の理科の授業に配置することで、理科の授業における観察・実験活動の充実および教員の資質向上を図る。
2.理科支援員による支援の内容
- 観察・実験などの実施の支援
- 観察・実験などの準備・後片付け
- 観察・実験などの計画立案や教材開発支援
3.実施期間 平成19~24年度(6年間)
4.配置数
- 支援員数:延べ約28,000人
- 配置校数:延べ約25,300校
- 実配置校:約14,200校(全小学校の約7割)
5.経費 JST運営費交付金 延べ97億円
6.事業のしくみ図
支援員配置実績など
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H19 |
H20 |
H21 |
H22 |
H23 |
実施機関数 |
43都道府県 12指定都市 |
46都道府県 16指定都市 |
47都道府県 18指定都市 |
47都道府県 19指定都市 |
47都道府県 19指定都市 |
当初契約額(千円) |
1,271,649 |
1,841,224 |
2,402,529 |
899,586 |
899,652 |
配置学校数(校) |
2,762 |
4,400 |
6,138 |
4,300 |
3,931 |
配置学級数(学級) |
11,051 |
17,908 |
25,953 |
17,422 |
15,744 |
配置人数(人) |
3,715 |
5,329 |
7,268 |
4,135 |
3,823 |
|
学生 |
1,816 |
2,409 |
2,712 |
1,165 |
1,019 |
退職教員 |
521 |
868 |
1,268 |
937 |
895 |
講師 |
483 |
438 |
532 |
302 |
267 |
研究者 |
50 |
65 |
135 |
83 |
121 |
企業関係者 |
191 |
296 |
527 |
376 |
313 |
地域人材 |
654 |
1,253 |
2,094 |
1,272 |
1,208 |
図1 当初契約額推移
図2 配置学校推移
図3 理科支援員配置人数推移
図4 理科支援員配置推移(人材種別)
図5 理科支援員人材種別内訳
事業成果アンケート調査分析結果(抜粋)①
ⅰ.理科支援員の活動実態
支援員活動年数推移(支-1)
支援員の学校活動時間(支-2)
理科支援員の活動時間はH21をピークに急減し、
教員および児童への実支援時間も減少。
活動推移(支-3)
活動内容は、基本活動(準備・後片付けなど)は全体の9割
発展活動(提案・助言など)は全体の3~4割で推移
事業成果アンケート調査分析結果(抜粋)②
いずれも約7~9割の肯定的回答
ⅱ.授業の充実に関して
「観察・実験の回数」は6~8割、「きめ細かな指導」「安全性」「理科室等の整理」「計画的な授業」 は9割の肯定的な回答
児童へきめ細かな指導ができるようになった(授-2)
ⅲ.教員の資質向上意識に関して
「科学に関する話題の取り上げ」「多様な考えの採りいれ」「教員の理科への関心」「教材作成能力」「観察・実験の技術」のいずれも、7~8割の肯定的な回答
科学に関する話題を取り上げた授業をするようになった(指-1)
ⅳ.児童の関心・意欲・理解に関して
「理科はおもしろい」「授業がわかるようになった」「理科の学習意欲」など7~8割の肯定的な回答
理科の授業がわかるようになりましたか?(児-2)
理科に関することを学習してみようと思うか?
H22年度小学校理科教育実態調査(抜粋)①
1.児童の回答に見られる効果
注)統計的有意差の検討のため、t検定を用い、平均値の差がない確率(p)が、より小さいほど、
有意な差であると解釈し、その程度を次の3つで表現した。「 **p<0.010,*p<0.050,+p<0.100 」
H22年度小学校理科教育実態調査(抜粋)②
2.児童の回答に見られる効果
図ⅲ-1 児童質問票「理科の勉強が好きだ」の学校平均区分の
各区分に含まれる理科支援員や理科専科教員を配置した学校の割合
図ⅳ-1 児童質問票「理科の勉強で、観察や実験をすることは好きですか」の学校平均区分の
各区分に含まれる理科支援員や理科専科教員を配置した学校の割合
H22年度小学校理科教育実態調査(抜粋)③
2.教員の回答に見られる効果
H22年度小学校理科教育実態調査(抜粋)④
2.教員の回答に見られる効果
理科支援員配置事業の課題
- ①配置期間について
- 配置方針の見直しにより単年度活用が多くなったが、理科支援員を複数年度活用した方が教員の理科指導にノウハウが蓄積し、高い自信につながるとの調査結果が見られることから、公平性の観点にも留意しつつ可能な範囲で、少なくとも2年以上継続して配置することが望ましいと考えられる。
- ②配置時間について
- 限られた時間数の中で一定水準の質と量を確保するためには、適切な配置時間数のガイドラインを示すなど、学校現場における運用を具体的にサポートすることが望まれる。
- ③人材の確保と活用について
- 地域の実情などによって、退職教員、技術者OB、学生、その他地域人材など、さまざまな属性と経歴を持つ人材を安定的に確保し、効果的に活用していくことは困難が伴うことから、理科支援員の経歴などを考慮した具体的な活動メニューを示すなど、教育委員会や学校をサポートしていくことが期待される。
- ④運営管理について
- 理科支援員の活用・活動状況を確認し指導するコーディネーターの役割は重要であり、当該人材の確保や負担軽減など、具体的なサポートが望まれる。
- ⑤理科支援員の研修について
- 希望参加でなく可能な限り悉皆参加で実施するための工夫が必要である。
- ⑥活動事例について
- 当該情報を共有し、活用していくための体制・環境整備が望まれる。
- ⑦事業の理解を広げるために
- 理科支援員による取り組みやその効果が直接支援を受ける学校や児童だけでなく、地域社会にも広く共有されることが期待される。
理科支援員配置事業の好事例