【用語説明】

 RNA
リボ核酸。タンパク質の生合成に重要な役割を果たす分子であることが知られている。しかしながら、近年のゲノム解析の結果、機能未知の多様なRNA分子が細胞に存在していることが明らかになってきた。
 RNA干渉
ある遺伝子と同じ配列を持つ2本鎖RNAを細胞へ導入するとその遺伝子の発現が選択的に抑制される現象のことである。実際には、比較的長い2本鎖RNAがダイサーと呼ばれる酵素で22ntの大きさにまで分解され、その低分子 RNAが複数のタンパク質と結合してRISC(RNA induced silencing complex)と呼ばれる複合体を形成して遺伝子の不活化に関わっていると予想されている。バイオテクノロジーでは、最初から22ntの二本鎖RNAを合成して細胞に導入して遺伝子の不活化技術として汎用されている。その技術をRNAi法あるいはsiRNA法と呼んでいる。
 セントロメア
細胞分裂の際、紡錘糸が結合する染色体の特殊領域を指し、動原体とも呼ばれ、そこに存在するDNAとタンパク質の複合体から成る。ヒトをはじめとする高等脊椎動物の染色体においてセントロメアを構成するDNAは、100bp程度を1単位とする繰り返し配列で構成されている。
 ヘテロクロマチン
異質染色質ともいい、凝縮した構造を維持している核内の染色質をさす。この領域内は、一般に転写が不活性であり、おもにセントロメア周辺にみられる。多くの場合構成DNAとしては、繰り返しDNA配列(サテライトDNA)をもつ。最近、ヘテロクロマチン形成に関与されると思われるタンパク質群(ヘテロクロマチンタンパク質:HP1)が同定されており、HP1が局在していないとヘテロクロマチン構造が維持できない。
 ヒト-ニワトリ融合細胞
微小核融合法という細胞融合技術によって、ヒト染色体を保有する雑種細胞の樹立が可能である。ヒト21番染色体は、セントロメアDNAの分子構造が詳細に明らかにされており、今回の実験目的には有用であった。

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This page updated on July 12, 2004

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