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別紙1

平成24年度 新規研究代表者および研究開発課題の概要および総評

研究代表者 所属機関・役職 研究開発課題名 研究開発課題概要
大浪 修一 独立行政法人
理化学研究所
生命システム研究センター
発生動態研究チーム
生命動態システム科学のデータベースの統合化

生命動態システム科学は「生命を動的システムとして理解し操作する生命科学」であり、新たな生命科学の潮流として21世紀の科学全体への大きな影響が期待されています。この分野の研究では、さまざまな生命現象を対象に、時空間情報の数値化を実現した新しい様式の計測データが大量に生産されています。そのため、本課題ではデータの大規模な集積に向けて、この分野の全てのデータベースの開発と並行してデータベースが統合化される体制を構築します。

<総評> 研究総括:高木 利久(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)

本プログラムは、国内外に散在しているライフサイエンス分野のデータベースについて、生物種別、分野別、目的別またはデータ種類別などで統合化を実現するものです。具体的には、ヒト、動物、植物、微生物などの生物別、疾患、脳、進化、発生、創薬、生命動態などの分野や目的別、または、ゲノム、エピゲノム、プロテオーム、グライコーム、メタボローム、インタラクトーム、フェノームなどのオーミクス単位での統合化の推進を目指すものです。このプログラムの実施により、それぞれの分野において、日本を代表するとともに、中核、拠点となる統合データベースの構築を支援します。このような方針の下に、ライフサイエンスの幅広い分野から提案を募りました。選考に際しては、多様な分野をカバーするために7名の研究アドバイザーにご協力をいただきました。

今回は、こちらの意図した通りに、基礎から応用までさまざまな分野から10件の応募がありました。データベースがライフサイエンスの多くの分野で構築され、それぞれが重要な役割を担っていることが再認識されました。全てが重要な提案であり、選考は難航しましたが、書類選考で面接対象提案を4件にしぼり、最終的には面接選考により、生命動態科学分野のデータベース統合に関する課題1件を採択しました。

選考に際しては、(1)ライフサイエンス分野の研究者、技術者にどの程度役に立つものになりそうか、(2)日本における当該分野やコミュニティを幅広くカバーしたものであるか、(3)日本を代表するデータベースであるか、今後そうなり得るか、(4)データ生産者との連携、(5)分野間のバランス、などの観点を考慮しました。今後は採択された課題を個々に推進することはもちろんのこと、これらの課題間の連携を深め、より高い次元でのデータベース統合化を目指したいと考えております。

以上