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別紙

戦略的国際科学技術協力推進事業
「日本−ドイツ研究交流」平成23年度新規課題 一覧

課題名 日本側
研究代表者
所属・役職 課題概要
ドイツ側
研究代表者
ミツバチ聴覚情報処理の神経基盤〜コミュニケーション信号解読ニューロンに対する計算神経科学アプローチ〜

藍 浩之

福岡大学
理学部
助教

社会性昆虫であるミツバチは、ダンス言語と呼ばれる行動によって餌場に関する情報を仲間に伝えていると考えられている。本研究交流は、このダンス言語の解読にかかわる脳内メカニズムを明らかすることを目的とする。 具体的には、日本側はダンス言語解読にかかわる脳内ニューロンの三次元形態を抽出し計測する実験を担当し、ドイツ側はそのデータに基づく計算論的モデリングを担当する。また、プロジェクトで得られたデータは、両国において公開、利用可能とすることで、さまざまな動物の脳研究と比較することが可能となる。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、ミツバチのダンス言語解読の脳内メカニズムを解明し、動物のコミュニケーションの総合的理解につながることが期待される。

トーマス・ワットラークラ

ミュンヘン大学
ルードウィッヒ-マクシミリアン校
生物U学部
教授

非定常環境におけるロバスト適応BCI

大羽 成征

京都大学
大学院情報学研究科
講師

本研究交流は、ユーザーの脳内状態を読み取ることでコンピュータを操作する装置であるブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)を、非定常な環境へ適用可能とする技術開発を目的としている。 これまでのBCI技術は、実験環境と脳内状態の時間的変動に影響を受けて、使用中に少しずつ精度が落ちていく問題があった。そこで、日本側では脳内状態の変動に対する対策を、ドイツ側では実験環境の変動に対する対策をそれぞれ研究し、相互に技術を補完し合うことで、これまでにない優れた安定性を示すBCI技術を開発する。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、最終的には障害者とのコミュニケーションや脳疾患からのリハビリテーションなどの場面でも利用されるような利便性の高いBCI技術の構築を目指す。

クラウス・ロバート・ミューラー

ベルリン工科大学
コンピュータサイエンス学部
教授

アナリシス・バイ・シンセシスによるニューロンネットワークモデルの推定と自発性同期現象を生成する神経回路メカニズムの解明

越久 仁敬

兵庫医科大学
生理学生体機能部門
教授

本研究交流は、自発呼吸に関連して生み出される同期神経活動の神経回路の全貌を明らかにすることを目的とする。 同期神経活動は、多数の細胞集団による複数の要因が相互作用して生じるため、実験結果から各要素の機能を単純に推測することは難しい。そこで、主にドイツ側は同期神経活動のイメージングデータを取得し、それをもとに主に日本側で数理モデルの構築と予測シミュレーションを行う。さらに両国でモデルを実験的に検証し、補正を行う。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、呼吸神経回路の動作メカニズムが解明され、神経疾患分野など臨床生理学へ貢献することが期待される。

スベン・ヒュールスマン

ゲッティゲン大学
神経生理学部
教授

能動的自然視条件での視覚情報処理におけるトップダウン的影響の効果:視覚経路における多領野大規模並列神経活動データ計測とその多角的解析

田村 弘

大阪大学
大学院生命機能研究科
准教授

本研究交流は、眼を動かしながら物を見るとき、網膜反応に由来する神経活動と、眼球運動に由来する神経活動が、いかにして相互に作用しつつ同時処理され外界が知覚されるか、その脳内メカニズムを明らかにすることを目的とする。 具体的には、日本側は眼を動かしながら物を探すサルの神経活動を計測し、理論解析することで、探索目標が何であり、いつ捉えられたかを解読する。ドイツ側はそのデータの統計解析によって、異なる視覚領野間の活動の相関関係や、同期現象の構造をさまざまな時空間スケールで分析する。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、能動的視知覚の神経メカニズムの解明につながることが期待される。

ソニア・グリュン

ユーリッヒ総合研究機構
グループリーダー

大脳基底核の機能と病態の解明

南部 篤

自然科学研究機構
生理学研究所
生体システム研究部門
教授

本研究交流は、大脳基底核の機能と、その障害によって引き起こされるパーキンソン病などの病態を明らかにすることを目的としている。 具体的には、ドイツ側は、計算論的アプローチによって大脳基底核の機能や、それが障害された際の病態に関するモデリングを行うとともに、臨床神経学の立場からヒトでそのモデルを検証する。日本側は動物実験を担当し、ドイツ側が提唱したモデルの検証や、実験結果に基づいた新たなモデルの提案を行う。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、大脳基底核の機能やその病態の解明し、大脳基底核疾患の新たな治療法につながる知見がもたらされることが期待される。

フレッド・ハムカー

ケムニッツ工科大学
コンピュータ科学科
教授

触覚学習および触覚フィードバックを用いた運動制御

森本 淳

株式会社国際電気通信
基礎技術研究所
脳情報研究所
室長

本研究交流は、触覚情報を用いたヒトの物体操作のメカニズムを、神経科学とロボティクスの知見から明らかにすることを目的とする。 具体的には、日本側は物体操作中のヒトの脳情報を計測し、物体の状態と脳情報を照らし合わせた上で、ヒトがどのように触覚情報を処理し物体を制御しているのか、描像を導き出す。ドイツ側は、導き出された描像をモデリングし、新しい触覚刺激提示装置および把持計測システムの開発を行う。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、人の巧みな物体操作を理解し、リハビリテーョンやロボットの開発に貢献することが期待される。

フロレンティン・ウォーガッター

ゲッチンゲン大学
ベルンシュタイン脳研究センター
教授