JST(理事長 中村 道治)は、欧州委員会研究総局(EC DG RTD)注1)と共同で「環境」に関する4件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-EU研究交流」の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「工業用ナノ粒子の健康および環境における潜在的リスク管理に関する研究」
(研究代表者:物質・材料研究機構 先端的共通技術部門 先端材料プロセスユニット フラーレン工学グループ 宮澤 薫一 グループリーダー、英国産業医学研究所 毒性部 トラン・ラング 部長)
本研究は、工業用ナノ粒子が健康および環境に及ぼす潜在的な影響を明らかにし、リスク評価・管理のための情報を交換することを目指すものです。
(2)「東シベリア北極陸域生態系の永久凍土と温室効果ガスの動態」
(研究代表者:北海道大学 大学院地球環境科学研究院 杉本 敦子 教授、アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所 地球科学部門 周氷河研究ユニット フバーテン・ハンス-ウォルフガング ユニット長)
本研究は、FP7コンソーシアムのPAGE21プロジェクトと協力し、北極陸域生態系の永久凍土と物質循環系の動態の解明を目指すものです。
(3)「天候および海洋と水についての全球地球観測システムを利用した相互流通性」
(研究代表者:東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 大学院工学系研究科 小池 俊雄 教授、ヨーロッパ宇宙庁(ESA) 地上部門 ヨハン・ヘイスベルト・ファン・ベンメレン データアクセスプロジェクトマネージャー)
本研究は、衛星などによる地球観測データを効果的に利用し、分野を超えたデータや情報の統融合によって、アフリカの水問題に関して、観測から問題解決までを支援するデータ・情報基盤の構築を目指すものです。
(4)「ストレス条件下における穀物根の養分獲得能の強化」
(研究代表者:国際農林水産業研究センター 生産環境領域 マティアス・ビスワ 主任研究員、仏国国際農業開発センター(CIRAD) バイオロジカルシステム部門 エマニュエル・ギデードニ ユニット長)
本研究は、土壌中の養水分を効率的に利用し、かつ乾燥・圧縮・リン欠乏・窒素欠乏などのストレス耐性を有する作物品種の開発に必要な科学的知見と遺伝資源を提供することを目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では、平成21年度の募集、平成22年度の募集でそれぞれ4件、合計で8件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびEU側の外部専門家により評価しました。JSTとEC DG RTDはその結果を基に協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、平成21年度募集課題からの1件、平成22年度募集課題からの3件、合計4件を日本-EUともに支援すべきと合意し、支援課題として決定しました。研究期間は、両国とも支援開始から3年間を予定しています。