JST(理事長 北澤 宏一)は、欧州委員会研究イノベーション総局(EC DG RTD)注1)と共同で「超伝導」に関する3件の共同研究課題を支援することを決定しました。この支援は、国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)注2)「日本-EU共同研究」注3)の一環として行われるものです。
支援決定した課題は次の通りです。
(1) 「軽元素・分子系高温超伝導への多面的アプローチ」
(研究代表者:東京大学 大学院工学系研究科 岩佐 義宏 教授、ダーラム大学 化学科 プラシーデス・コスマス 教授)
本課題は、軽元素・分子系物質を用いて新しい超伝導体を合成、制御することにより、臨界温度が高く、環境負荷の少ない超伝導材料の実現を目指す研究です。
(2) 「鉄系超伝導体における材料ポテンシャルの開拓」
(研究代表者:東京大学 大学院工学系研究科 下山 淳一 准教授、イタリア学術会議 マリナ・プッティ 准教授)
本課題は、鉄系超伝導体における臨界電流特性などの超伝導特性を解明、改善することで、材料物質としての実用可能性を開拓する研究です。
(3) 「鉄系超伝導体デバイスの物理的・工学的基盤の構築」
(研究代表者:名古屋大学 大学院工学研究科 生田 博志 教授、ドレスデン・ライプニッツ固体・材料研究所 飯田 和昌 上席研究員)
本課題は、鉄系超伝導体薄膜の特性評価や理論的解析を通じて膜の質を高めるとともに、得られた高品位薄膜の超伝導デバイス応用を目指す研究です。
今回の共同研究課題の募集では19件の応募があり、これらの応募課題をJSTの研究主幹と日本側およびEU側の外部専門家により評価しました。その結果をもとにJSTとEC DG RTDが協議を行い、研究内容の優位性や共同研究の有効性などの観点から、日本とEUがともに支援すべきと合意した3件を支援課題として決定しました。日本側、EU側とも本年10月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。