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別紙

震災関連研究を対象とした「国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)」
採択課題の概要

課題名 日本側
研究代表者
所属・役職 課題概要
相手国側
研究代表者
東日本大震災におけるヒューマニタリアン・ロジスティクスに関する共同研究 谷口 栄一 京都大学 大学院
工学研究科

教授
東日本大震災における地震、津波、原子力発電所の事故によって避難所に避難されている方(ピーク時約44万人)、あるいは自宅待機の方に対して、行政・物流事業者などがどのように救援物資を配送したのか、あるいは配送しているのかについて、日米共同でヒアリング調査を行う。今後の災害時のヒューマニタリアン・ロジスティクスの確立のために、実際のデータを収集するとともに救援物資配送に携わった方の意見を聴取する。成功した点および失敗した点を抽出し、その原因の分析とともに、改善のための提案を行うことを本研究の目的とする。 また、被災者への供給不足およびトラックの総走行距離を最小化するような多目的配車配送計画モデルを開発し、実際のケースにおける最適化について妥当性を検証する。 本研究を行うことによって、東日本大震災での救援物資配送における調達・組織・情報収集・情報伝達・運用の問題点が明らかになり、災害時の救援物資配送改善のための提案を行うことができる。また、多目的配車配送計画モデルを実際に適用することにより、災害時の救援物資配送の最適化についてその妥当性を検証できる。
ホセ・ホルゲン-ヴェラス (米国)
レンスラー工科大学 土木環境工学部

教授
震源域における緊急地下構造調査 -日米共同によるデータ処理・解析- 小平 秀一 独立行政法人 海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域

プログラムディレクター
今回の地震では、30mを超えるような大きな滑りがプレート境界に生じ、大規模な津波が発生した可能性が示唆されている。しかしながら、津波を生成した地形・地下構造変動の実態は捉えられていない。そこで、本課題では、今後、海洋研究開発機構が実施を検討している震源域構造探査のデータを日米共同で迅速、かつ高精度に処理・解析し、大規模津波生成の実態を明らかにするとともに、将来の震源断層掘削の基礎データを得ることを目的とする。 本課題で実施する高度な深度イメージングにより、大規模な津波を生成した領域とそこでの地下構造の変動を特定できる。また、得られる地下構造イメージは断層掘削計画立案には必要不可欠である。 最終的には、上記、地下構造・海底地形調査研究と断層掘削の結果を統合し、今回の地震により大規模な津波を生成した断層の広がりとそこでの運動が把握できるとともに、断層の物性が理解され、日本海溝域の津波モデリングの高精度化に向けて重要なデータが提供できる。
グレゴリー F ムーア (米国)
ハワイ大学 地質学・地球科学部

教授
津波被害地域での復旧復興に関するロボット技術研究と調査活動 松野 文俊 特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構 副会長/京都大学 教授 今回の東日本大震災は地震・津波・原発事故の複合災害であり、人間にとって実行困難な活動に対してロボット技術を用いて支援することは社会的に重要である。 東日本大震災における津波被害地域での水中ロボットを用いた港の障害物の調査と海岸部での遺体の探索を実施し、復旧復興に直接的に貢献する。また、数種類の水中ロボットを災害現場で実運用することにより得られるさまざまなデータを整理・分析する。その結果をシンポジウムにおいて広く議論し評価することにより、技術的な課題だけでなく運用面での課題を洗い出し、今後の災害対応ロボットの展開の指針を示す。
ロビン・マーフィー (米国)
テキサスA&M大学 コンピュータサイエンス&エンジニアリング学部

教授
関東地方に広がる広域液状化による被災形態の地盤調査による解明と復旧支援に資する地盤情報の構築 塚本 良道 東京理科大学 理工学部 土木工学科

准教授
関東地方に広く分布する地盤の液状化による被災地域において、公共施設の建物や道路などの社会基盤インフラ構造物が、地盤沈下・地盤流動・すべり破壊などのさまざまな被災形態で被害を受けている。さまざまな被災形態を有する被害地点において、地盤調査を実施し、被災形態の解明をするとともに、今後の復旧支援に資する地盤情報を構築する。 さまざまな様相を呈する地盤の液状化による被災形態を明らかにすることにより、今後も発生が予想される地震による地盤の液状化被害の復旧支援に資する事例集の構築、および米国との情報共有などの着実な成果が見込まれる。
ロス W ブーランジェ (米国)
カリフォルニア大学デービス校 土木環境工学部

教授