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別紙3

平成23年度 採択研究課題の概要

※研究課題の並びは、研究代表者名の五十音順です。

環境・エネルギー分野
研究領域「地球規模の環境課題の解決に資する研究」

研究課題名 タンザニア水域の生物多様性保全と水産資源の持続利用の両立 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
岡田 典弘
(東京工業大学 大学院生命理工学研究科 教授)
相手国名タンザニア連合共和国 主要相手国
研究機関
タンザニア水産研究所
研究課題の概要
 タンザニアのビクトリア湖水域では、移入し増え過ぎた大型の淡水魚のナイルパーチを産業化することで水産資源増産と経済基盤の確立に成功したが、熱帯魚として知られるシクリッドをはじめとする固有の湖水生態系が壊滅的なダメージを受け、現在はその回復が急務となっている。本研究では、ビクトリア湖の生物多様性を保全すると同時に経済基盤を担うナイルパーチの持続的利用を可能にする総合的な生態系管理体制作りを目指す。タンザニア水産研究所、畜産開発水産省と連携しながら、ビクトリア湖固有のシクリッドやナイルパーチの遺伝的・生態的多様性のモニタリングと、それに基づく保全案の提示・漁獲調整を行い、最終的にはタンザニア政府主導の保全政策や持続的漁業の推進を目標とする。
研究課題名 アフリカ半乾燥地域における気候・生態系変動の予測・影響評価と統合的レジリエンス強化戦略の構築 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
武内 和彦
(東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 副機構長)
相手国名 ガーナ共和国 主要相手国
研究機関
ガーナ大学
研究課題の概要
 地球規模の気候・生態系変動は、地域スケールでさまざまな影響を及ぼしつつあるが、資源管理の基盤が脆弱なアフリカの途上国では、特に、この問題に対する有効で実施可能な対策へのニーズが極めて高い。本研究は、脆弱なガーナ北部半乾燥地域を対象に、(1)気候・生態系変動が農業生態系にもたらす影響の予測評価、(2)異常気象のリスク評価と水資源管理手法の開発・適用、それらを踏まえた(3)地域住民や技術者の能力開発を推進するプログラムの形成・実施、の3点を中核とする実践研究を行う。このプログラムを通して、ダメージを受けた生態系の回復を目指す統合的レジリエンス(回復能力)強化戦略の構築を図り、「ガーナモデル」としてアフリカ半乾燥地域全般への応用を目指す。

環境・エネルギー分野
研究領域「低炭素社会の実現に向けたエネルギーシステムに関する研究」

研究課題名 ボツワナ乾燥冷害地域におけるヤトロファ・バイオエネルギー生産のシステム開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
明石 欣也
(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 助教)
相手国名 ボツワナ共和国 主要相手国
研究機関
ボツワナ資源省エネルギー局
研究課題の概要
 ボツワナでは乾燥と冷害のため植物一次生産量が低く、バイオエネルギーを基盤とした低炭素社会を実現する上で問題となっており、効率的なバイオマス増産のための技術開発が必要である。一方ボツワナは、乾燥冷害に高い適応を示す野生植物の遺伝子資源と、種に油分を豊富に含みバイオ燃料として有望視される樹木のヤトロファ固有種を有する。本研究では、ボツワナが有するこれらの生物資源に着目し、ヤトロファの育種に活用することで、生産性とストレス耐性を強化したヤトロファ優良品種の開発を行う。さらに、気象変動に柔軟に対応するヤトロファ栽培システムを、ボツワナ乾燥冷害地帯において確立し、自国生物資源とICT栽培管理に立脚した循環型バイオエネルギー生産モデルを構築する。
研究課題名 ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
前田 泰昭
(大阪府立大学 産学官連携機構 特認教授)
相手国名 ベトナム社会主義共和国 主要相手国
研究機関
ベトナム国家大学 ハノイ校
研究課題の概要
 ベトナムでは、焼き畑や戦争中の枯れ葉剤による土壌汚染などで広がった約900万haの荒廃地の有効利用、急速な経済発展に伴う都市部の大気汚染と、山間部の貧困問題の改善が急がれている。本研究では、これらの環境・社会問題を解決し、地球温暖化対策にも寄与する植林・製造・利用を一体化したバイオマスエネルギーの生産システムを構築する。そのために、荒廃地汚染土壌の調査、超音波法による汚染土壌の浄化、荒廃地への植林と非食用油の生産、混入物の少ない共溶媒法による少廃棄物・省エネルギーのバイオディーゼル燃料(BDF)の製造、公共交通機関での100%BDF利用と排ガス改善の技術開発を進め、これらの技術を周辺諸国にも普及する。
研究課題名 インドネシア東ジャワ州グンディガス田における二酸化炭素の地中貯留及びモニタリングに関する先導的研究 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
松岡 俊文
(京都大学 大学院工学研究科 教授)
相手国名 インドネシア共和国 主要相手国
研究機関
バンドン工科大学
研究課題の概要
 インドネシア国では地球温暖化対策として、2020年までに温暖化ガスである二酸化炭素(CO)の26%削減が計画されている。このため、ガス田から生産される天然ガスに付随して排出されるCOの大気中への放散が問題視されており、その直接的な削減法として二酸化炭素の回収・貯蔵(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)技術体系の確立が急務である。
 本研究では、インドネシア国の東ジャワ州で現在開発中であるグンディガス田において、天然ガス生産に伴い排出される年間約30万トンのCOを対象に、CCS技術を安全に適用するために不可欠となる圧入サイトでの深部地層の評価技術、地下でのCOの分布や挙動を知るためのモニタリング技術の先導的研究開発を行う。

生物資源分野 研究領域「生物資源の持続可能な生産・利用に資する研究」

研究課題名 半乾燥地の水環境保全を目指した洪水−干ばつ対応農法の提案 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
飯嶋 盛雄
(近畿大学 農学部 教授)
相手国名 ナミビア共和国 主要相手国
研究機関
ナミビア大学
研究課題の概要
 アフリカの半乾燥地には、洪水や干ばつによって食糧が不足する危険性の高い地域が多く残されている。砂漠国ナミビアでも、季節湿地の不安定な水環境が問題となっており、食糧安全保障の観点から現地農業を再構築する必要がある。そこで本研究では、洪水や干ばつ年でも常に一定の穀物生産が確保できるような新しい栽培システムを考案する。具体的には新規導入作物のイネと現地主食のトウジンビエを混作し、水収支と経済性を評価しながら新農法をデザインする。すなわち、自給自足農民の生活向上に資する農法の導入と半乾燥地の水環境保全とを両立させ、南部アフリカに広がる季節湿地を最大限に活用した持続可能なモデル農法を提案する。
研究課題名 次世代の食糧安全保障のための養殖技術研究開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
岡本 信明
(東京海洋大学 海洋科学部 教授)
相手国名 タイ王国 主要相手国
研究機関
タイ農務省水産部
研究課題の概要
 地球規模の人口増加に対する食糧供給増の担い手として、タイにおける魚介類養殖に期待が集まっている。しかし、養殖による増産は生産者の生産意欲向上によって達成される側面を持つので、社会ニーズに合った新たな魚介類を対象とした新しい養殖が必要である。本研究では、この観点からハタ、スズキ、クルマエビ類を選定し、集約的生産から販売までを視野に入れた総合開発システムの構築を行う。具体的には、分子育種、借り腹、免疫・ワクチン、代替飼料、危害因子検出について研究を実施し、産業化につながる次世代型の食糧増産技術開発を目指す。

防災分野 研究領域 「開発途上国のニーズを踏まえた防災科学技術」

研究課題名 ベトナム及び他の大メコン圏地域における斜面災害危険度評価技術の開発と教育 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
佐々 恭二
(特定非営利活動法人 アイシーエル 学術代表)
相手国名 ベトナム社会主義共和国 主要相手国
研究機関
ベトナム交通科学技術研究所
研究課題の概要
 ベトナムやラオス・ミャンマーなど大メコン圏の山岳地域では、脆弱な地盤、雨期の激しい降雨、熱帯強風化があいまって斜面災害が多発し、特にベトナム北部と南部をつなぐ基幹道路や山岳域の住民が危険にさらされており、その安全確保のための技術開発が必要である。本研究では、国際斜面災害研究機構(ICL)を中核とする日本の研究機関がベトナム交通科学技術研究所と協力して、中部の基幹道路沿いの斜面や山岳地帯のコミュニティー周辺斜面を対象として、斜面災害危険度評価技術の開発と早期警戒・土地利用・人材育成を含む地すべり災害軽減対策技術の構築を行い、また大メコン圏山岳域を対象として斜面災害研究ネットワークの構築と人材育成を行う。
研究課題名 津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究 研究期間 4年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
富田 孝史
(独立行政法人 港湾空港技術研究所 上席研究官)
相手国名 チリ共和国 主要相手国
研究機関
チリ・カトリック教皇大学
研究課題の概要
 2010年にチリで、2011年に日本において、甚大な津波災害が発生した。チリでは津波警報や避難における課題が顕在化した。日本では想定を超える津波により津波防災を進めてきた地域にも甚大な被害が発生し、津波の破壊力の強さや津波漂流物の危険性が明らかになりつつある。本研究では、今後も起こりうる津波に対して、チリ・日本、そして世界において津波に強い地域・人づくり技術の進展を目的として、1)両国で発生した津波による被害の取りまとめとその推定手法、2)今後両国で発生する津波による被害予測や想定被害への対策、3)高い精度の早期警報手法や津波観測網、4)津波に強い地域や人づくりプログラムに関する研究を実施する。

感染症分野 研究領域 「開発途上国のニーズを踏まえた感染症対策研究」

研究課題名 ケニアにおける重要アルボウイルス感染症に対する簡易迅速診断手法の開発とそのアウトブレーク警戒システムの構築 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
森田 公一
(長崎大学 熱帯医学研究所 教授)
相手国名 ケニア共和国 主要相手国
研究機関
ケニア中央医学研究所
研究課題の概要
 ケニアと東アフリカ諸国ではアルボウイルス感染症(特に黄熱病とリフトバレー熱)が猛威をふるっており、自立・持続的に運用できる大規模感染拡大への早期警戒システムが必要である。本研究は、現地で採取した病原体を日本の先進技術で解析し、その情報に基づき当該国で利用可能な適正技術を用いた安価な診断用抗原を開発して、フィールドや地方の診療所で使用できる簡易迅速診断手法を実用化する。さらにODAによる社会技術開発を通して、地方の医療機関と中央が迅速に連携できる双方向型のネットワークを構築し、末端での迅速診断の結果が、国家レベルからの緊急疾病対策として適切にフィードバックされる早期警戒システムモデルを構築する。
研究課題名 薬剤耐性細菌発生機構の解明と食品管理における耐性菌モニタリングシステムの開発 研究期間 5年間
研究代表者名
(所属機関・役職)
山本 容正
(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)
相手国名 ベトナム社会主義共和国 主要相手国
研究機関
国立栄養院
研究課題の概要
 近年、世界を震撼させているスーパー(薬剤)耐性菌の出現は難治性の感染症を引き起こし、その背景には医療に限らず、畜産や水産における抗菌剤の濫用が指摘されている。さらに、これらスーパー耐性菌の国境を越えた拡散は地球規模での対応を迫っている。特にベトナムでは、住民の耐性菌保菌率が著しく増加しており、その発生や蔓延に関与する諸因子の調査研究は喫緊の課題となっている。本研究では、薬剤耐性細菌発生機構の解析やその蔓延に関与する抗菌剤や関連諸要因を微生物学的、薬物学的、さらには当該国の社会・経済的背景を基にした人類学・開発学的視点より研究解明し、これを基盤とした耐性菌モニタリングシステムの構築を行う。