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開発を終了した課題の評価

課題名 「LEDモスアイ構造製造技術」
所有者 名城大学
研究者 名古屋大学 大学院工学研究科 教授 天野 浩
委託企業 エルシード 株式会社
開発費 約2億円
開発期間 平成19年3月~平成22年9月
評価  本新技術は、発光ダイオード(LED)の光取り出し効率を向上させるための製造技術で、低コスト・低消費電力LEDの実用化を可能とするものである。
 従来から、基板上にミクロンオーダーの凹凸加工を行い光の全反射を抑制するなどの方法がとられていたが、より高い発光効率を実現するためのLED基板加工技術が求められていた。
 本新技術は、低エネルギー電子線投影露光法を用いてサブミクロン周期を持つ蛾の眼(モスアイ;Moth-Eye)を模した構造を基板上に形成するもので、光の波動性を利用してLED素子内部で生じた光を効率よく外部に取り出すことが可能となる。
 本開発では、市場規模の大きい赤色LEDに用いられるAlGaInP系結晶で基本的なモスアイ構造製造技術を確立し、モスアイの周期やアスペクト比の最適化検討をシミュレーションと並行して行った。その結果、量産性に関する歩留りとスループットについても、90%以上の歩留りと、1~1.5分/枚(2インチウェーハ)程度のスループットが得られている。また、適用材料を、青色や白色LEDに用いられる窒化物系結晶やサファイア、SiCなどの基板に拡大し、試作と評価を重ねた。その結果、光取り出し効率を軸上光度で2~3.5倍まで向上させることができた。
 本技術は他のLED光取り出し効率向上の技術と比べ有望な技術であり、次世代高効率白色LEDなどの高出力化ニーズに応えるものとして幅広いLED製品への適用が期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
プログラムディレクター
林 善夫
プログラムオフィサー
小舘 香椎子、吉村 進、桐野 豊
評価日 平成22年12月21日