JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第754号別紙2 > 研究領域:「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」
別紙2

平成22年度(第1期) 新規採択研究代表者・研究者および研究課題の概要

CREST

戦略目標:「異分野融合による自然光エネルギー変換材料及び利用基盤技術の創出」
研究領域:「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」
研究総括:山口 真史(豊田工業大学 大学院工学研究科 主担当教授)

氏名 所属機関 役職 研究課題名 研究課題概要
片桐 裕則 (独)国立高等専門学校機構 長岡工業高等専門学校 教授 Next次世代を目指す化合物薄膜太陽電池の高性能化  次世代の先を見据えて、脱希少金属系薄膜太陽電池の高性能化を行います。地球温暖化を止め、低炭素社会に向け太陽電池を普及させるには、変換効率と共に、使用する原材料の安定供給を考慮する必要があります。本研究では、希少金属であるインジウムを使用しないCZTS系光吸収層の高品質化、新規太陽電池材料、新規界面層の探索および新しいナノ構造を太陽電池に取り込むことで、産業として持続可能な新規太陽電池を開発します。
重川 直輝 日本電信電話(株)NTTフォトニクス研究所 主幹
研究員
シリコン基板上窒化物等異種材料タンデム太陽電池の研究開発  本研究では、低発電コスト、高効率、省資源の太陽電池の実現に向けて、集光型太陽光発電システムと親和性が高い、シリコン/窒化物半導体ハイブリッド多接合タンデム太陽電池を実現します。そのために、可視〜赤外光バンドギャップ窒化物半導体のシリコン基板上作成技術、太陽電池設計・作成技術、ハイブリッド化技術を開発するとともに、InN系窒化物半導体の結晶成長、材料物性及びデバイス化に係る学問・技術の進展を図ります。
末益 崇 筑波大学 大学院数理物質科学研究科 教授 シリサイド半導体pn接合によるSiベース薄膜結晶太陽電池  本研究では、資源の豊富なSiとBaで構成されるBaSi2という新しい材料を用いて、pn接合型の薄膜結晶太陽電池を開発します。この材料を用いると、1μm程度の厚さでエネルギー変換効率が25%を超える太陽電池の形成が原理的に可能になります。太陽電池の性能を左右するpn接合について、高品質なpn接合形成のための製膜技術の開発に注力し、この新しい材料の薄膜太陽電池用材料としてのポテンシャルを示すことを目標とします。
松村 英樹 北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 教授 Cat-CVD など新手法による太陽電池高効率化  本研究では、Cat-CVD(触媒化学気相堆積)法による高性能界面を持つ薄膜形成、触媒生成されたラジカルを用いた200℃での低温不純物拡散とpn 接合形成、窒素、インジウムなど深い準位を持つ不純物導入による長波長光吸収の増大(不純物光電効果)、溶液塗布で作られる表面サブ波長構造による光反射の抑制など、われわれが開発した新手法を全て駆使し、エネルギー変換効率25%以上の結晶シリコン太陽電池の実現を目指します。
山田 容子 愛媛大学 大学院理工学研究科 准教授 革新的塗布型材料による有機薄膜太陽電池の構築  本研究では、“溶液塗布が可能であり、光照射により低分子有機半導体へと変換可能な光変換型前駆体”を用いて、有機薄膜太陽電池にブレイクスルーをもたらすpn接合ナノ構造を創出します。塗布型太陽電池作製の方法論に新機軸を打ち出し、これまで不可能であった「電荷分離界面の増大」と「キャリア取り出し経路の確保」の両立を実現し、革新的なデバイス作製技術を確立し、次世代太陽電池の飛躍的な発展を目指します。

(五十音順に掲載)

<総評> 研究総括:山口 真史(豊田工業大学 大学院工学研究科 主担当教授)

本研究領域では、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池等太陽光発電技術、太陽光エネルギーにより水素等を生成する化学燃料生成技術、電気エネルギーと化学燃料を同時に生成する技術等を対象とします。但し、バイオマス技術については本研究領域の対象には含みません。太陽エネルギーを利用したクリーンエネルギーの飛躍的拡大のためには、独創的クリーンエネルギー生成技術の創製が極めて重要です。創造的研究開発の推進のため、異分野の融合を目指します。多くの視点から研究することが、創造的研究開発の推進に有効と考えます。ブレークスルーにつながり得るような発想の転換も期待しますし、太陽光利用クリーンエネルギー生成技術の実用化に貢献すべきものを期待します。また、本研究領域では、経済産業省、NEDOなどで推進されている技術開発との補完的協力も担う必要があります。

今回の応募は33件でした。半導体LSI、半導体レーザ、LED、量子効果など異分野からの提案も多くありました。本研究領域の研究総括と領域アドバイザー7名で、書類選考を行いました。評価の視点は、(1)研究の必要性、インパクト、(2)提案内容の新規性、ブレークスルーの可能性、(3)研究課題設定や研究計画の明確性、(4)研究成果および波及効果の見通し、(5)研究チームの構成の有効性および実績、(6)太陽光利用分野での実績、(7)NEDO等、他プロジェクトの補完が期待できるか、但し、重複は避けたい、としました。書類選考により10件の提案を選択し、面接選考を行いました。

その結果、結晶シリコンの新規表面パッシベーションと低温接合形成に関する研究、CIGSに代わる化合物薄膜太陽電池の研究、窒化物半導体・オン・シリコン太陽電池の研究、有機薄膜太陽電池の統合的研究、バンドギャップ1.5eVの新規BaSi材料の研究、の5件の提案を採択しました。特に、今回は、ブレークスルーに繋がると予想される新規表面パッシベーション、低温接合形成および異種接合形成技術、新規材料の研究および統合的研究を採択しました。当該領域は、戦略目標達成を目指して運営し、「太陽光利用クリーンエネルギー生成技術」の成果に繋げてまいります。

不採択提案の中には採択提案と匹敵する提案も多々ありましたが、研究構想のみで具体性に欠けるもの、目標達成の見通しが不明確なもの、チーム構成の不十分なもの、実用化への貢献が述べられていない構想、他助成との切り分けの明確化が不足した提案が見られました。来年度の募集への優れた提案を期待致します。