独立行政法人 科学技術振興機構(理事長:沖村 憲樹)は、社会を支える重要な社会基盤を構成する情報システムに、大規模自然災害や情報システムの重大なトラブルなどによる大規模な障害が発生した場合を想定し、被害の波及状況予測を視覚的に表示するためのハザードマップ作成シミュレーションソフトの試作版を開発した。本成果は、社会技術研究システム ミッション・プログラムII「高度情報社会の脆弱性の解明と解決」(研究統括:土居 範久・中央大学教授)において得られたものである。本成果の一部は6月8日(火)にアカデミーヒルズ六本木フォーラムで開催される社会技術研究ワークショップにおいて紹介する予定である。
近年における情報システムの進歩は目覚ましく、私たちの社会を支える重要社会基盤のすべてにわたって情報システムが導入される状況に至っています。このような環境で大地震やサイバー攻撃(情報通信ネットワークや情報システムを利用した電子的な攻撃)などにより、情報システムに大きな被害が生じたときの社会全体への影響は計り知れないものとなります。
社会技術研究システムでは、この点に着目し、2003年度から5ヵ年の計画でミッション・プログラムII「高度情報社会の脆弱性の解明と解決」を開始し、情報技術の展開および多様化がもたらす社会への影響を調査し、想定しうる社会的リスクを最小化するための情報システムの安全性(セキュリティ)に関する基礎的事項を提示することを目的とした研究を進めています。
このたび初年度の成果として、電力、通信、運輸、金融などの重要な各種社会基盤を構成する要素(送電網、電話網、鉄道等の構成要素)間の関係、さらに社会基盤相互間の依存性を明らかにしたモデルを作成し、それに基づき大地震等の災害(インシデント)が発生した際に特定の要素の被害が時間的にどのように波及し被害が拡大していくかを表示するためのシミュレーションソフトの試作版を開発しました。
今後はこれを用いて現実的なデータに基づくモデルによるシミュレーションを実施して現在の社会における被害の拡大状況を明らかにするとともに、今後の研究により明らかにされる適切な対策を講じることにより、5年後、10年後に被害の拡大が抑制される様子を示すことを目標としています(図1、図2参照)。
ミッション・プログラムIIでは、このハザードマップの作成に加え、インシデント発生時における社会全体の被害額を明らかにするためのコストモデルの作成、高度情報社会の脆弱性に大きく関わる技術課題として、多重リスクコミュニケーション(多様なリスクに対し最も効果的な対策の組み合わせについての合意形成を図るための手法)、暗号リスク(情報システムで用いられる暗号が解読されるリスク)、ディジタル著作権管理(Digital Rights Management:DRM)に焦点をあて今年度からそれぞれワーキンググループを設けて研究を開始しました。 これらの内容に関しては下記のワークショップにおいて紹介致します。 |
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<社会技術研究ワークショップのご案内> |
ミッション・プログラムIIの初年度の研究成果としてハザードマップシミュレーションソフトやコストモデルの開発の現状をご紹介するとともに今後の研究課題と方向付けに関してご討論頂きます。 ご興味をもたれた方はぜひいらしてください。 |
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【本件問い合わせ先】 |
独立行政法人 科学技術振興機構
社会技術研究システム推進室
宮川 修治 TEL:03-5404-2800
社会技術研究システム ミッション・プログラムII
吉武 靜雄 TEL:03-5404-2837
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