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別紙

A-STEP「本格研究開発ステージ 実用化挑戦タイプ(中小・ベンチャー開発/創薬開発/委託開発)」
採択課題 一覧

中小・ベンチャー開発(採択課題3件)
【研究開発期間:5年まで、研究開発費の総額:3億円まで】

大学などのシーズについて、研究開発型中小・ベンチャー企業での実用化開発を支援

【有機化学分野(1件)】

課題名 新技術の
代表研究者
開発実施企業 新技術の内容
医薬品リード創製・最適化システム 京都大学 大学院薬学研究科
教授
奥野 恭史
株式会社 京都コンステラ・テクノロジーズ 本新技術は、医薬品の候補化合物を自動で予測するドラッグデザイン計算法に関するものである。これまでも医薬品候補のドラッグデザイン計算に関する研究が取り組まれてきたが、精度や計算時間の問題から実用化が困難であった。 本新技術では、人工知能技術を導入した独自のドラッグデザイン計算法を開発することにより、高速かつ高精度に医薬品候補化合物を自動で算出することが可能となる。本新技術の成功は医薬品開発を加速化し、さまざまな病気の治療につながるものと期待される。

【医療技術分野(2件)】

課題名 新技術の
代表研究者
開発実施企業 新技術の内容
手術中蛍光眼底造影装置 大分大学 工学部
准教授
井上 高教
西日本電線 株式会社 本新技術は、眼科手術中の眼底疾患部位を可視化するための蛍光眼底造影に関するものである。従来、糖尿病網膜症や加齢性黄斑変性症など眼底部に発生する疾患の診断方法として、蛍光造影剤(フルオレセインおよびインドシアニングリーン)を用いる蛍光眼底造影が行われていた。しかし、造影剤を蛍光させるには強い光の照射が必要であることから、フラッシュ光による眼底カメラ撮影(静止画像)が一般的であり、手術中に造影することができなかった。 本新技術では、石英ファイバープローブを利用して眼球内に直接、特定波長の生体に安全な強度の光を連続照射することで眼科手術中のリアルタイムな蛍光眼底造影を可能とする。これにより、手術の高精度化(治癒率の向上)や時間短縮を図ることが期待される。
人工核酸BNAの活用による癌遺伝子変異の高感度検出技術 大阪大学 大学院薬学研究科
教授
小比賀 聡
株式会社 BNA 本新技術は天然核酸分子の配列情報を認識し強固に結合する機能をもった人工核酸BNAを用いて、がん関連遺伝子の変異を高感度に検出しようとする遺伝子検査法に関するものである。がん疾患において分子標的薬の奏功性とがん関連遺伝子の変異が明らかになってきた現在、がん患者のがん関連遺伝子の変異状況を検査することは、有効な治療法・治療薬を選択する上で不可欠になってきている。 本新技術では新規合成したBNAオリゴをPCR法のプライマーとして活用し、同時に核酸分子プローブとしてプローブ増幅に活用することにより、従来法でのがん遺伝子の変異型/野生型検出感度を2~10倍程度向上させることが可能な状況となった。 これにより個々のがん患者の適切な治療法・治療薬の選別判断だけにとどまらず、がんの早期発見やがんの予後予測などの検査に幅広く応用されることが期待される。

創薬開発
【研究開発期間:5年まで、研究開発費の総額:10億円まで】

大学などのシーズについて、革新的な医薬品などの実用化開発を支援

採択課題はありませんでした。

委託開発(採択課題1件)
【研究開発期間:7年まで、研究開発費の総額:1~20億円まで】

大学などのシーズについて、開発リスクを伴う大規模な実用化開発を支援(開発成功後、無利子にて開発費の返済が必要。開発不成功時は開発費の90%は返済不要)

【医療技術分野(1件)】

課題名 新技術の
代表研究者
開発実施企業 新技術の内容
抗トロンビン剤を用いた冠状動脈用薬剤溶出ステント 京都大学 再生医科学研究所
教授
岩田 博夫
フクダ電子 株式会社 本新技術は、冠状動脈用薬剤溶出ステント(Drug eluting stent:DES)に関するものである。既存のDESは再狭窄の予防を狙い、細胞増殖を直接阻害する薬剤を使用している。しかしこれらの薬剤は、DES留置に伴う血管の損傷部位の回復にも支障をきたすという問題があった。 本新技術では、従来の薬剤とは異なる作用で再狭窄を抑制し得る「抗トロンビン剤」に着目し、これに高い生体親和性を示す全リンク型DLC被覆ステント、生体吸収性ポリマーによる薬剤被覆と薬剤放出速度制御、高性能バルーンカテーテルを組み合わせることにより、再狭窄率の低減と抗血栓剤服用期間の短縮が可能となる。 本DESデリバリーシステムにより、既存のDESが抱える問題の解決と、患者のQuality of Lifeの向上が期待される。