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別紙1

理科を教える小学校教員の養成に関する調査の概要

1.調査の背景・目的

JSTと国立教育政策研究所が平成20年度に共同で実施した「小学校理科教育実態調査」および「中学校理科教師実態調査」の結果、理科の指導に苦手意識をもつ教員が少なくなく、多くの教員が、理科やその指導に関する知識や技能を大学でもっと学んでおいた方がよかったと感じていることなどがわかりました。また、JST理科教育支援センターの有識者会議(理科教育支援検討タスクフォース小学校分科会および中学校分科会)の報告書において、教員養成における理科の指導を充実させる必要性が指摘されました。

そこで、小学校教員の養成段階で、理科を教えるために必要な知識・能力が、どのような環境でどの程度教育されているかについて実態を明らかにし、適切な支援策の検討に生かすため、本調査を実施することとしました。

2.調査対象

(1)調査対象校

小学校教員養成の認定を受けている学科・課程・専攻などを有し、平成22年3月に卒業予定の学生が在籍する全国の全ての大学125校注1)(国立49校、公立2校、私立74校)および短期大学30校(すべて私立) 計155校(以下では総称して「大学」とよぶ)

注1) 同一大学の中で複数の地域もしくは学部に分かれて教員養成を行っている場合、それぞれを調査対象校としました。大学を単位とした対象校数は120校(国立46校、公立2校、私立72校)です。

(2)調査対象者

(1)教員 大学にて、小学校教員免許取得に必要な理科に関するカリキュラムを担当する教員を代表する立場の教員 各大学1名

(2)学生 平成22年3月に小学校教員免許を取得予定で、平成22年4月以降に小学校での教職を希望する学生 各大学20名注2)

注2)教科ごとの専門(選修など)に分かれている場合は、理科専門の学生10名、理科以外の専門の学生10名

(3)回答数

(1)教員   77件

(2)学生  732件

  国公立 (国立) (公立) 私立 合計
男性 128 (124) (4) 83 211
女性 231 (222) (9) 286 517
無回答 (2) (0)
合計 361 (348) (13) 371 732
  国公立 (国立) (公立) 私立 合計
理科選修注3) 144 (138) (6) 19注4) 163
非理科選修 217 (210) (7) 352 569
合計 361 (348) (13) 371 732

注3)ここで「理科選修」とは、教科ごとの専門(選修など)に分かれている課程で理科の専門に所属していることを指します。

注4)「私立・理科選修」については、参考のために掲載していますが、理科選修を設置している私立大学が少なく、回収された調査票も19件と少ないため、集計結果の信頼性は高くないことに留意する必要があります。

3.調査実施時期および調査方法

平成22年1月に調査対象校の学長もしくは学部長を通じて調査依頼するとともに調査票を送付し、3月までに調査対象者からの直接郵送方式により調査票を回収しました。

4.調査内容

(1) 調査票A(教員用) 小学校教員養成の認定を受けている学科・課程・専攻などの理科に関する履修科目・教育内容・設備・入学試験科目など

(2) 調査票B(学生用) 平成22年3月卒業後に小学校での教職を希望する学生の、大学での履修科目・理科に対する意識や経験・理科指導技能の自己評価など

5.本報告について

今回は、各調査項目別の集計結果を中心とした調査結果と一部のクロス分析結果の報告であり、より詳細な分析の結果は、今後作成する調査報告書に掲載する予定です(平成22年10月頃を予定)。