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開発を終了した課題の評価

課題名 「レモン果皮醗酵ポリフェノールの製造技術」
所有者 名古屋大学、株式会社 ポッカコーポレーション、JST
研究者 名古屋大学 大学院農学研究科 教授 大澤 俊彦
委託企業 株式会社 ポッカコーポレーション
開発費 約8300万円
開発期間 平成17年3月~平成21年9月
評価  本新技術は、レモン果皮に含まれるポリフェノールを醸造麹の微生物であるアスペルギス・サイトイで醗酵処理することにより、抗酸化活性の高い新規ポリフェノールを製造するものである。本技術で得られる醗酵ポリフェノールの摂取により、生体内の酸化ストレスに対する防御性を高め生活習慣病の予防効果が期待される。
 2年経過時点で、醗酵によるポリフェノールの安定した製造の確立が困難で、また、動物を用いた機能性の評価において抗肥満効果が認められなかったことから計画変更を行い、製造技術においては、中間段階であるアグリコン型ポリフェノールまでの変換に酵素処理を導入し、また、新たな機能性として、細胞レベルで有効性が示唆された血管内皮機能改善作用について有効性の確認を目標とすることとなった。
 その後高い醗酵技術を有する企業との共同研究によって安定な製造ができる醗酵条件を見いだし、より高い抗酸化性が期待される8-ヒドロキシヘスペレチンを含有する醗酵ポリフェノールのパイロットレベルでの製造技術を確立した。
 また、新規ポリフェノールの効果として期待される血管内皮機能改善作用について、動物での有効性と素材での安全性を確認し、さらにヒト臨床試験においても有効性が示されたことから、開発は成功と判断するのが妥当と考える。
 本技術により製造された醗酵ポリフェノールは、抗酸化活性の高い新規の天然由来の素材であり、血管内皮機能改善作用が示唆されたことから、生活習慣病の予防的効果を有する新たな機能性食品に用いられることが期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
プログラムディレクター
今成 真
プログラムオフィサー
中川 威雄、小舘 香椎子、吉村 進、桐野 豊
評価日 平成21年11月6日