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別紙2

「平成20年度高等学校理科教員実態調査報告書」分析結果(抜粋)

[図中の略称の見方について]


○ 担当する授業において演示実験をほとんど実施しない理科教員は、生徒による観察や実験もほとんど実施していない。

図1

図1 教員による演示実験と生徒による観察や実験との関係(物理Ⅱ)

○ 演示実験を行う割合と生徒による観察や実験を行う割合は、いずれも観察や実験の技能が十分あると肯定的に回答する理科教員ほど高い。

図2

図2 観察や実験の技能と教員による演示実験を行う程度(総合的な理科)

図3

図3 観察や実験の技能と生徒による観察や実験を行う程度(総合的な理科)

○ 大学院修了の有無別に教員の意識を比べると、修了者の方が実験や観察の知識・技能が十分あり、最新の科学技術をよく話題に取り上げている。また、教科書よりも高度な内容の指導や理解が進んでいる生徒に対する指導、理系の部活動の指導に取り組んでいるなどの質問で、より肯定的ないし積極的な回答をする傾向がある。

図4

図4 実験や観察についての技能が十分にあると思うか(普通科)

○ 物理Ⅱ・化学Ⅱ・生物Ⅱ・地学Ⅱで「大学入試を意識した指導を重視しているか」に対して「そう思う」と回答した教員の方が、生徒による観察や実験の実施頻度が少ない傾向が見られる。

図5

図5 生徒による観察や実験の実施頻度と大学入試を意識した指導を重視しているかの関係

(図中の「他」は「大学入試を意識した指導を重視している」かに対して、「ややそう思う」「ややそう思わない」「そう思わない」と回答した教員の合計である。)

○ 探究的な活動に割り当てる年間授業時数が「3時間以下」の教員の割合が高い一方で、「4時間以上」の教員は、授業時数が「3時間以下」である教員より、生徒の理解に応じて、補充的な課題や発展的な課題を与えたり、授業の合間や放課後などに指導したりしていると回答する割合が高い。

※ 探究的な活動に割り当てる年間授業時数の割合については、こちらを参照。

図6

図6 教員の探究的な活動に割り当てる授業時数別に見た、理解が進んでいる生徒に対して発展的な課題を与えたり授業の合間や放課後などに指導したりしている状況(普通科)

○ 探究的な活動に割り当てる年間授業時数が「3時間以下」の教員の割合が高い一方で、「4時間以上」の教員は、授業時数が「3時間以下」である教員より、担当する科目が好きだと感じている生徒の割合が高いと回答する割合が高い。

※ 探究的な活動に割り当てる年間授業時数の割合については、こちらを参照。

図7

図7 教員の探究的な活動に割り当てる授業時数別に見た担当する科目が好きだと感じている生徒の割合(普通科)

○ 普通科の教員について、担当する科目が好きだと感じている生徒の割合が「40%以上」と回答した教員では、「40%未満」と回答した教員より、観察や実験についての知識や技能や探究的な活動の指導技術が十分であるかについて肯定的な回答が高い。

図8

図8 担当する科目が好きだと感じている生徒の割合別に見た教員の観察や実験についての技能が十分あるか(普通科)

図9

図9 担当する科目が好きだと感じている生徒の割合別に見た教員の探究的な活動の指導技術が十分であるか(普通科)

○ 理科好きな生徒の割合が高いと回答する理科教員は、日頃の授業の指導に当たって興味・関心を高める指導や日常の問題への応用を重視していると回答する割合が高い傾向が見られる。また、演示実験を行う回数や生徒による観察や実験を行う回数も多い傾向が見られる。

図10

図10 日常の問題への応用を重視している程度と理科好きな生徒の割合(化学Ⅱ)

図11

図11 生徒による観察や実験を行う程度と理科好きな生徒の割合(化学Ⅱ)

○ 普通科高校教員に対して、12種類の項目について担当科目の授業を充実させるためにどの程度必要かを尋ねたところ、「教材研究の時間確保」「準備や片付けの時間確保」「設備備品や消耗品の充実」「優れた教材や指導法に関する情報」の4項目は、いずれの科目においても、8割かそれ以上の教員が必要と感じている。

図12

図12 普通科高校教員が、担当する理科の授業を充実させるために各項目をどの程度必要としているか(物理Ⅱ)

○ 観察や実験についての知識・技能、探究的な活動の指導技術が十分あるかについて肯定的に答えた教員の割合は、教職経験年数が多い教員ほど高い。

図13

図13 教職経験年数別に見た普通科教員の実験や観察についての技能が十分あると思う割合(生物Ⅱ)

図14

図14 教職経験年数別に見た普通科教員の探究的な活動の指導技術が十分あると思う割合(総合的な理科)

○ 今後、教員への支援策において拡大が期待される情報入手の機会や内容について、教職経験年数が少ない若手教員では、「すぐに使える優れた教材情報」、「優れた指導法に関する情報」、「知り合いの教員からの情報」、「身近に理科教育をサポートしてくれる「場」の設置や充実」などの項目で、教職経験年数が多い教員よりも大変期待する割合が高い。

図15

図15 教職経験年数別に見た普通科教員の拡大を期待する情報・情報源「すぐに使える優れた教材情報」

図16

図16 教職経験年数別に見た普通科教員の拡大を期待する情報・情報源「優れた指導法に関する情報」

○ 理系の部に所属する生徒の割合は、第3学年で普通科1%、理数科7%、SSH11%である。

図17

図17 理系の部に所属する生徒の割合

○ 理系の部がある学校で生徒の課題研究作品を校外のコンテストに出展する機会がある割合は、普通科18%、理数科48%、SSH83%であり、いずれの学科も理系の部がない学校より割合が高い。

図18

図18 理系の部の有無と課題研究作品を校外のコンテストに出展する機会

○ 2008年度に国際科学オリンピックの国内大会に参加した生徒の状況について、学校当たりの学科別に生徒1人が参加する確率は、普通科では数学が0.0008(生徒1万人当たり8人参加)で最も高い。理数科では、化学が0.0059(同59人)で最も高く、数学と生物がそれぞれ0.0034(同34人)、ついで物理が0.0033(同33人)と続いている。SSHでは、化学が0.0170(同170人)で最も高く、ついで生物が0.0148(同148人)、数学が0.0134(同134人)、物理が0.0102(同102人)の順で続いている。

図19

* 「確率」とは、例えば「SSHの生徒1人が物理の国内大会に参加する確率は0.01である」と言えば、「SSHの生徒が1万人いれば、そのうち100人が物理の国内大会に参加する」ことを意味する。

図19 学校当たりの学科別生徒1人が国際科学オリンピックの国内大会に参加した確率