研究交流課題 | 日本側 研究代表者 |
所属・役職 | 研究交流課題概要 | |
---|---|---|---|---|
英国側 研究代表者 |
||||
1 | 多能性幹細胞のシステムズバイオロジー:転写因子ネットワークのメタ解析とシミュレーションによるロバストネスを持つ不均一性の理解 | 丹羽 仁史 | 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター プロジェクトリーダー |
本研究交流は、ES細胞の分子ネットワークについてシステムバイオロジー論的理解を進め、その生命機能の維持能力(ロバストネス)を与える分子機構を解明することを目的とする。 ES細胞の分化過程に対し、具体的には、日本側は胚体外細胞系譜への分化誘導系などを担当し、英国側は神経細胞分化誘導系や iPS細胞へのリプログラミング系を担当する。さらに双方で共有化された大規模シークエンス解析や定量的プロテオーム解析などを組み合わせ、ES細胞における分子ネットワークの動態を解析する。 本研究交流で日英が相互補完的に取り組むことにより、iPS細胞などを用いた再生医療研究に貢献することが期待される。 |
オースチン スミス | ケンブリッジ大学 幹細胞研究センター 教授 |
|||
2 | 大腸菌のゲノム変化による遺伝的変異の背景にある転写制御ネットワーク変化の動的数理モデルによる理解 | 小笠原 直毅 | 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授 |
本研究交流は、病原性大腸菌などの金属ストレス応答に焦点をあて、ゲノム構造の変化とそれに伴う転写ネットワークの変化を動的数理モデルにより理解し、病原性大腸菌の遺伝的多様性獲得の分子機構の理解を深化させることを目的とする。 具体的には、日本側は転写因子量や転写制御因子結合領域コピー数などを変動させた変異体取得やその金属ストレス応答のChIP-chip解析、トランスクリプトーム解析を担当し、英国側はこれらの情報から転写ネットワークの動的数理モデルを構築することを担当する。 本研究交流で日英が相互補完的に取り組むことにより、システムバイオロジーを取り込んだ微生物学の発展に貢献し、病原性微生物の出現モデルや制御モデルに応用されることが期待される。 |
ドブ シュテーケル | ノッティンガム大学 バイオサイエンススクール 准教授 |
|||
3 | 生命のネットワークのダイナミクスとロバストネス | 守屋 央朗 | 岡山大学 異分野融合先端研究コア 特任助教 |
本研究交流は、複雑性をもつさまざまな生命システムをモデル系として、生物の形や動き(ダイナミクス)と、生命機能の維持能力(ロバストネス)を反映したモデリング方法をシステムバイオロジーの手法で築くことを目的とする。 酵母の細胞周期やバクテリア鞭毛モーターを主な対象とし、具体的には、日本側は独自に開発した遺伝子綱引き法(gTOW)の手法を用い、細胞周期や走化性に関する定量的情報の取得を担当し、英国側はこれらの情報解析ならびに細胞周期の数理モデリング開発を担当する。 本研究交流で日英が相互補完的に取り組むことにより、細胞システムのたんぱく質コピー数変化への対応、信号伝達経路で働く多彩なたんぱく質の認識についての理解向上が期待される。 |
ジュディッシュ アーミテージ |
オックスフォード大学 生化学・統合システムバイオロジー部門 教授 |
|||
4 | 酵母におけるトランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームレベルでのレドックス制御機構のモデリング | 冨田 勝 | 慶應義塾大学 先端生命科学研究所 所長 |
本研究交流は、真核細胞の進化過程で維持されている酸化還元(レドックス)システムをシステムバイオロジーの手法で解明することを目的とする。 モデル菌株として、具体的には、日本側はS.cerevisiaeの解析を担当し、英国側はC.glabrataを担当する。これらに対し、RNA干渉法による遺伝子ノックダウンおよびリカバリー時における細胞内レドックス制御に関わる因子などを定量し、S.cerevisiaeとC.glabrataの差異からレドックス制御機構および病原性獲得機構を解析する。 本研究交流で日英が相互補完的に取り組むことにより、細胞のレドックス制御およびストレス応答反応解明が進み、S.cerevisiaeなどを用いた化合物生産、たんぱく質生産への応用が期待される。 |
ケン ハイネス | インペリアル・カレッジ・ロンドン 微生物学部門 教授 |